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夏 その六

 誰かが中に入ってきて、自動販売機で缶コーヒーを買って、すぐに出てゆく。オレは素知らぬ顔でポテトスティックをぽりぽりぽりぽり食った。

 明るい時間ともなればここも多くの人々で賑わっているが。今は静かなものだった。テレビの音だけが静かにさえずる。

 ふとふと、前にも同じようにこの大橋の島のパーキングエリアに来た時のことを思い出した。今より少し早い時間だった。時間は午後11時少し過ぎ。テレビでは海外ドラマが放映されていて。何の気なしにそれを見ていたが。

 サスペンスで面白くて、ついつい終わるまで見てしまった。しかし、その話で最終回だった。

 帰ってからウェブサイトの見逃し配信で改めて観たんだけど、それも一週間限定だ。ソフト化の予定もどこかのサブスクでの配信もなし。

 シーズン2の放送が予定されているけど、それもまだまだ先の話。

 知るタイミングが悪いことに、もやもやしてしまったものだった。

 それはさておき。

 ポテトスティックを食い終えて、缶コーヒーも飲み終えて、所定のごみ箱に袋と缶を入れて。帰ってからまた食べるためのポテトスティックを買い求め。ミライースに戻って。

 ぐるぐる回るループの道で瀬渡内海大橋せどのうちうみたいきょうに戻って。

 自宅を目指し、与一島をあとにし、帰路に就いた。

 眠っている。

 余計な灯かりはなく、橋から見える景色は、眠りについているように思われた。

 橋の交通量も少ない。ほぼ独占状態だった。

 夜でも土曜の夜ならそれなりに交通量もあるけど、日曜の夜は、一気に減るものだった。

 日曜の深夜に隣のそのまた隣の県まで高速道路でぶらっと来るような酔狂なやつは、そうそういないものだった。

 とにもかくにも、世の中が眠っていた。それを一番感じられるのが、日曜の深夜だった。

 帰り道では、内陸側の車線を走る。黒い海沿いに明かりが点在するのとは違い。夜の闇に溶け込んだ山地の稜線がおぼろげに見え、まるで何かしらの妖怪の入道がたたずんでいるようだった。

 家屋は完全に明かりが消え。街灯や信号だけが、細々と灯る。

 眠っている。町が眠っていた。世の中そのものが眠っていた。

 そんな中を、ぶらつく酔狂なオレ。土曜の深夜では決して味わえない、この日曜の深夜の味わいが、オレは好きだった。

 ジャンクションを経て、東西に走る北側の海沿いの高速道路から、地元へと帰る南北に走る高速道路に入って、南下する。

 行きはまだほかの車も見受けられたが、帰りはいなかった。完全に貸し切り状態だった。

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