夏 その三
このごろの夏は、暑い。クソ暑い。
だけど、夜になれば、まあまあましにはなる。
ミライースの車内はエアコンがよく効き、少し肌寒いくらいだ。が、止めたら阿呆みたいに暑くなるので、丁度になるようエアコンのツマミを少し上げる。
エンジンも夜で温度が下がったせいか、元気を取り戻したようだ。
夜の高速道路クルージング。
オレはある日曜の夜、ミライースを高速道路で走らせていた。
仕事のシフトの関係で月曜日が休みになったのだ。日曜月曜との連休となった。
お盆前のある日曜の夜だった。
高速道路は、さすが走りやすい。ミライースも軽四ながらよく走ってくれる。上り坂になるとどうしても速度は鈍るけど。それでも、アクセルを踏み込めば元気に走ってくれる。
夜の高速道路ともなれば、夜で気温も下がって、速度を上げられるおかげか、エアコンもよく効きエンジンもそれなりに元気に回ってくれる。
休みの日の高速道路は交通量も多めになるんだが、夜も10時を過ぎれば一気に少なくなってがらんとし、まるで貸し切り状態だ。
たまにちょこちょこと、速い車やトラックが、ミライースを追い越してゆく。
そして夜闇の向こうへと、赤い光が消えてゆく。
高速道路は南北に走って、多くのトンネルで地元の山を掘り抜いて造られている。
山越えならぬ山抜きとでも言おうか。
人里離れた山奥を貫いてゆけば、北側の海に出る。
そこから海岸線にそって西へと走る。
高速道路から暗い海や、街灯などの街明かりが見える。
オレの住んでいる地域の高速道路は丁の字を描くように通っていて、山を抜け北側の海沿いの高速道路は東西に走っている。その東西に走る北側の高速道路になると、けっこう交通量が増える。とはいえ、オレみたいな一般車両は少なめで、多くは業務用のトラックやバンだった。
さすがにプライベートで、日曜の夜、それも深夜にうろつくもの好きは少なかった。
視界は開け、トンネルも少ない。よそ見をせずとも、高速道路沿いの町の明かりが見えるが。家屋の多くは明かりが消えて、街灯だけが細々と灯っているように見える。
町そのものが眠りについていた。
時間は11時を過ぎていた。
県境を2つ越えて、隣のそのまた隣の県だ。雰囲気も違う。
暗い海に、ぽつぽつと明かりが見える。船の灯かりだ。あるいは島の灯かりだ。この北側の海は島が多く。昼に訪れれば、多島景観を眺めることができる。
隣のそのまた隣の県に入って、最初のサービスエリアに入る。




