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夏 その二

 で、この道は何年かぶりに入る。久しぶりの道だった。

 橋は折り返しで、険道を経て国道に戻れる。と、思っていたのだが……。

 看板があった。通行止めのだが、その上に解除中と貼られていたので、オレはそのまま険道を進んだ。

 主要道ではない、おそらく旧国道の道で。交通量は皆無だった。オレしかいない。寂しい道だ、だがそれがいい。

 うっそうとした木々に囲まれ昼でも薄暗い、くねくね道。木々の間からちらちらとダム湖が見える。

 石や木の枝が落ち、それをよけながら、とことことミライースを転がすように走らせる。

「……え?」

 オレは向こう側に見える、信じられない景色を目の当たりにして、慌ててブレーキを踏んで停まった。

「道が、ない……」

 そう、道がない。山崩れだ。山崩れで道が途切れていた。これ以上進むな! とコーンが置かれている。

 山崩れがあって、茶色い土の部分がむき出しで、雑草がちょこちょこ生えていて。多くの木々がなぎ倒されて。土砂に埋もれながら、あるいはかろうじて根がつながって流されなかった多くの木々が、ダム湖に浮いて、浸り、横たわっていた。

 ダム湖に浮かび、あるいは浸る木々の、なんと儚い姿か。

 薄暗さもあって、一気にこみ上げる恐怖を禁じ得なかった。

「マジかよ」

 この険道を通って国道に戻って、そのまま帰路に就こうと思っていたが。それは出来なかった。

「ってゆーか、通行止めの看板に解除中って貼ってたのは、なんでだ?」

 あれがなければ、そうなんだと引き返したのだが……。工事関係者の視察のためなんだろうか?

 まあまあともあれ、やむなくミライースをUターンさせた。

 長居をする気は起きなかった。写真を撮る気すら起きなかった。こんなことになっていたなんて、というショックが思った以上に大きい。

 あーあー、と思いつつ、元来た道を戻って、国道に出て。そのまま帰路に就いた。

「雨が多くなったからなあ」

 雨量が一気に増えたことで、各地で山崩れ土砂崩れが頻発し、ところによっては復旧のめどが立っていない道もある。さっきの険道も、その中のひとつだった。

 国道に出て、ダム湖沿いで、見晴らしのいいところで一旦停まって、ダム湖を覗けば。なるほど山崩れがあり、多くの木々がダム湖に浮かんで横たわっているのも見下ろせる。が、気付かなかった。

 まさかそんなことになっているなんて思わなかったし。気付かないものなんだなあ。

「自然は、怖いなあ」

 自然を制圧することなどできない。災害が起こらないようにすることも出来ない。せいぜい、災害の被害を少しでも減らす努力をするしかない。というのを改めて思ったものだった。

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