表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽善者は宴に酔いしれる  作者: 星胤ヒカル
第伍章 輝きの夏休み
PR
26/36

青春の一ページを携えた夏の訪れ



「じゃあこれで連絡も終わったし、終わりにしましょうか。砂川(すながわ)さん」



「起立。気を付け。礼。」



「「「ありがとうございました」」」



 遂に一学期が終わり、夏休みに突入した。宮島(みやじま)政哉(まさや)も一安心して帰宅の準備をしている。色々とあった一学期だったが、幸いなことに落ち着いて終えることが出来た。

 六月に祖母が来た時はどうなることやらと思っていたが、美佳(みか)との関係に亀裂が入ることは無かったので一安心である。…何故か、美佳が手を握ったりくっついてきたりと軽いスキンシップをとるようになってきたが。





 家に帰ると、玄関のドアを開けた瞬間に美佳が満面の笑みで出迎えてくれた。



「お兄ちゃん、お帰りなさーい!」



 と言って飛びついてくる。政哉が驚きながら辛うじて躱すと、美佳はショックを受けたような表情をした。漫画ならばガーンという吹き出しが出そうである。



「なんで避けたの!?」



「いやこけたら大惨事になるじゃん…」



 夏休み初日から怪我でもすれば身体的にも精神的にもダメージが大きい。それに何より…美佳を傷つけたくはない。そういう意味での発言だったが、美佳は顔を赤らめてすごすごと退散した。政哉はその真意を測り兼ねて、結局首を傾げて靴を脱ぐしかなかった。

 佐野(さの)雄輝(ゆうき)らと共にプールへ行く為にも、早めに課題をこなそうと思いながら。





 宮島美佳は兄の発言に恥ずかしさを覚えて表情を見せない様に逃げ出した。兄の発言を兄の意図とは違う形で受け取っていた。



「こけたら…大惨事…大惨事…」



 後になって、兄がそういう意図(いちゃいちゃ)でないことを理解したが、一度そういう想像をしてしまった以上、そのイメージを崩すことはそう簡単には出来なかった。

 だがしかし、一方でそんな関係を望んでいる自分がいるような気がした。何故だろうと思った。自分は兄弟であることを望んでいた筈ではないのだろうか。

 自分自身が関係の変化を望んでいるということなのだろうか。でも、それは一か月の行動を否定することにならないのだろうか?

 美佳は再び考え込む羽目になっていた。





 砂川百合奈(ゆりな)はドキドキを隠せないでいた。政哉と一緒にプールに行くことを決められたのである。安濃(あのう)香保(かほ)にはニヤニヤと笑われてしまったが。恋だね、とも言われた。

 だが、百合奈はこれを恋心と言っていいのか分からなかった。自分が政哉に対する感情は、秘密を共有していることに対する信頼なのではなかったのだろうか。しかし、政哉といると変に心臓がバクバクして仕方がない。これが恋というものなのだろうか。だが、少なくとも






 もし政哉の隣に立つことが出来れば、これほどうれしいことはないとだけは言える。





そしてこれは彼女なりの決意であった。






 薔薇色を滲ませ、夏が産声をあげる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 美佳ちゃん、頑張ってアピールしてますね!ちょっと可愛い(笑) そして百合奈も……夏休みに一緒にプールだなんて、青春っ! 「薔薇色を滲ませ、夏が産声をあげる。」 この一文、すごく素敵です(…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ