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またまた小林隼太のこと
近藤弥之助の内弟子の小林隼太も、とうとうおれの家来になった。
小林は毎日毎日おれの所にきて奉公したが、家がなかった。そこで、浅草の入谷にかなりの家作があるから、それを買ってやった。
剣術仲間に頼んで稽古にも出してやった。下谷の仲間連中が贔屓にしてくれたらしく、内職で大小の売り買いをしていた。
しかしそうやって金回りが良くなると、絶え間なく身上の問題を起こすようになった。悪がしこいやつで、仲間は色々と言われてはぐらかされた。
江戸で三度の借り倒しをして、ついに小林は三州へ逃げおった。逃げる時にはいつもおれに話して逃げた。
江戸を出てから小林がおれに手紙をよこしてきたので、おれも仲間連中に借り倒しの詫びをして回った。みんな損をしたことについてはそれなりに納得してくれた。
七、八十両もの金を借りて、小林はとうとう三州へ行きおった。今になっても帰ってこないが、三州でどうにかまともな人間になったということだ。
それはおれが後に銚子へ行った時、向島の兼という男に聞いた話だ。
兼が遠州の秋葉に参詣した時に、偶然鳳来寺で会ったらしい。
その時の小林は綺麗な出で立ちだったそうだ。小林と兼はおれの話をして、二時(注1)ばかり休んで別れたと聞いた。
【注釈】
注1 … 約四時間。




