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[現代語訳]夢酔独言  作者: 雪邑基
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十九歳のころ

 十九の年、正月の稽古初めは男谷の道場でするつもりでいた。

 その稽古の際、東間陳平と平川左金吾が大喧嘩を始め、互いに刀を持って稽古場で騒いでいた。その時も、おれが間に入って二人を引き分け、よくよく言い聞かせて仲直りをさせた。


 おれは諸方の剣術遣いを大勢子分のようにしていたが、この年はそいつらを諸国へ行かせた。

 そいつらがみんなおれの弟子だと言って歩くから、名だけ広く知れわたってきた。


 本所でいい顔をしているのらくら者(注1)共を残らず退治してやると、みんながおれの差図に従うようになった。怖い者はいなくなったのだが、こういう親分稼業には金がいる。付き合えでは見栄も張ったから、たいそう借金が出来た。


 また、その頃は他流試合を商売のようにして、毎晩喧嘩をしにみんなを連れて歩いた。

 ある時は、平山行蔵という先生を訪ねた。そこで和漢の英雄の話を聞いては、連れ歩くみんなを扱う時の参考にした。


 それからも色々馬鹿ばかりをしたから、身の上は悪くなってきて、借金も増えるばかり。しかたなく返すあてもないのに無闇に借金をしていたが、二十一の年には一文もなくなった。

 しょうがないから、腰の物を金に変えようかとも考えた。差料の刀は終屋久米座衛門という道具屋で仕立てた盛光(注2)で、値四十一両で買ったものだ。

 これを売ればなんとかしこげる。そう思ったが、売る段になって惜しくなったからやめた。

 逢対するにも着ていくまともな服もないから、気休めに吉原へ行った。


【注釈】

注1 … 怠け者。ごろつき。

注2 … 長船派の刀工で、南北朝初期に活躍。備州長船盛光。


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