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秋月藩の仲間親方
「なんにしろ、杖をついていてはらちがあなかい。籠に乗れ」
親方はそう言って籠を雇い、毎日よく世話をしてくれた。
「ちゃんと江戸の家まで送ってやろう」
そういう約束で、府中まで連れてこられた。
府中での晩、おれを連れてきた親方は博打の喧嘩で大騒ぎをして、国に帰ると言い出した。くれたはずの単物をおれから取り返し、代わりに木綿の襦袢を渡して、すぐに出て行きおった。
もう一人の親方も、「ここまで連れて来て貰ったことをお前の幸運だと思って、明日からは一人で江戸に行くがいい」と五十文ばかりくれて立ち去りおった。
仕方がないからまた乞食をしてぶらぶら進んで、どこだったか忘れたが、ある崖の所でその晩は寝た。はずが、どういうわけか崖の下へ落ちた。




