感情の混乱
中国へ行ける列車を捜していくも、まぁ韓国は初めてなのだからどこへ行けばいいのやら。
初めての海外がこんな形になるとは思ってもみなかったな。
そう思いながら、空を仰ぐと小雨が降ってきた。
ふと横を見ると男女の若いカップルが手を繋いで歩いている。
羨ましくは無いんだよ?ただ、こんな昼間からイチャコライチャコラされても、ね?
見ててイライラするんだよなー・・・
リア充退散!!
なんかフラフラする・・・
頭を押さえながらケースを置いた。
先程のリア充が二人一つの傘の下になって歩いている。
俺はそのままスーツケースに座った、雨が馬鹿にするように俺の体を打ち付ける。
こんな雨だとあの時の事を思い出すな。
“辛いか?苦しいか?・・・案外そうでもないだろ?”
物思いに更けていた、そんな時だった。
「あの~・・・大丈夫ですか?」
顔を上げると、そこには一人の女性が傘を持って立っていた。
「あ、はいぃ」
声が震えてしまった、引かれただろう。
「ずぶ濡れですよ、どうぞ入って下さい。雨宿りできる場所まで行きましょう。」
笑顔が可愛いその女性に湧いた、長い間忘れていた感情が心に空いた穴を埋めていく。
そんな久しぶり過ぎて慣れない感情を胸に、徐に立ち上がった。
近くのカフェの様な場所にやって来た。
その女性は日本人の女の子を探している様で、一緒に中国まで行く予定らしい。
だが俺は、鏡を見て濡れたコートを脱いだ自分の格好に恥ずかしさを感じ、その事で頭がいっぱいになってしまい、その事以外は頭に入らなかった。
彼女が俺を凝視している、恥ずかしい事この上無い。
そして彼女が口を開きこう言ったのだ。
「興奮してますね」
!?
予想だにしない一言に耳を疑った。
なぜそうなる!?
彼女は驚いた様子の俺を見て、微笑みながら再び口を開いた。
「当たって驚いてます?貴方の『キノコの山』が『テント』を張っていたので・・・男性は興奮するとこうなるんですよね?」
表現が上手いのはさておき、恐らくこの人は無垢だ。知らないから公衆の面前でこのような事が言えるのだ。
すると女性は時計を眺め、思い出したように言った。
「出発まで少々あるので、少し探しに行ってきます」
そう言うと頭を下げ、その女性は去っていった。
様々な感情を抱え、俺は店を出た。




