第二十三章 古剣、炉辺に鋳剣を語り 一言、首を断ちて真心を見る
「龍淵?」
李彦が身を乗り出した。
「師兄、この剣に見覚えが?」
童淵はすぐには答えなかった。彼は古剣を膝に横たえ、指先で剣の峰をゆっくりと撫で、また裏返して反対側を確かめた。火明かりが刃の上を流れ、明るくなったり暗くなったりし、あの二文字の古字までもが、まるでそれにつれて生きているかのように見えた。
「若い頃、一巻の残簡でこの二文字を見たことがある。もし記載に誤りがなければ、この剣は欧冶子の手によるものだろう」
李彦は改めて柄を握り、古剣を完全に抜き放った。
三尺の青き刃が鞘から一寸ずつ姿を現し、火明かりが剣身を照らすと、まるでその幽かな青色に吸い込まれるかのように、刃先にはただ一筋の細い白線だけが残った。
張繡が手を伸ばして触れようとし、童淵にぱんと払われた。
「宝剣は人を見分けぬ、むやみに手で試すな」
張繡はきまり悪そうに手を引っ込め、身を翻して神像の脇から古びた幔幕の端を一条引き裂き取った。彼はその端をつまみ、布切れを軽く刃へ乗せた。まだ大して力も入れていないのに、垂れ下がった半分がひとりでに音もなく落ちていった。
一同は声を揃えて感嘆した。
張繡は切れた布を拾い上げて眺め、また自分の短刀を抜いて、龍淵の刃に軽く触れさせてみた。ちんという音がしただけで、龍淵はびくともせず、短刀の刃には小さな欠けが生じていた。
彼は慌てて刀を収めた。
童淵が言った。「伝えるところによれば、欧冶子はかつて越王のために五振りの剣を鋳た。湛盧、純鈞、勝邪、魚腸、巨闕という。後に干将とともに楚王のために三振りを鋳た、それが龍淵、泰阿、工布だ。合わせて、世に八大名剣と称される」
趙雲が尋ねた。「先生、この八振りの剣には、いったいどんな謂れがあるのですか? 普通の兵刃とは何が違うのでしょう」
童淵は首を振った。
「それは私にも分からぬ。古書にはただ幾つかの名だけが残されていて、それぞれの剣がどんな来歴を持ち、かつて誰の手に渡ったか、詳しい記録は私も見たことがない」
彼は李彦の手にある龍淵にちらりと目をやった。
「剣を鋳た者にも名があり、剣を使った者にも名がある。後に剣を語る者が増えれば、剣にも自然と名が付く。どこまでが真で、どこからが作り話なのか、いったい誰に分かろうか。結局のところ、並みの兵刃より少し鋭く、少し堅いだけのことだ」
兆雲は「干将」の二文字を聞いて、ふと一つの物語を思い出した。
「先生、先ほど、龍淵は欧冶子と干将が共に鋳たものだとおっしゃいましたね?」
「古書にはそう記されている」
「後世に、魯迅という大文豪がいまして、『鋳剣』という一篇を書いています。干将莫邪の息子が父の仇を討つ話です。俺は昔、なかなか面白いと思って、ずっと覚えていました」
張任が言った。「後世に伝わる文章とは、さぞ大儒によるものだろう」
一同はそれで納得した。
兆雲は酒碗を置き、あたりを見回すと、火の傍らから四角い木片を一枚拾い上げ、目の前に置いた。彼は姿勢を正して座り、片手を膝に、もう片方の手で木片を押さえ、ふいに声を低め、しゃがれた調子で講談めいた語りを始めた。
一同は彼の妙な仕草に何を始める気か分からなかったが、誰も口を挟まなかった。
パン!
木片が地面に打ちつけられ、殿の中がにわかに静まり返った。
兆雲は声を長く引いて言った。
「皆々様――どうぞ盃を満たされよ。これより語りますは、古来より伝わる奇なる話。まず一首、詩をもって証と致します。
炉の火、天を衝きて夜を紅く照らし
青鋒、匣を出でて鬼雄を泣かしむ
言うなかれ、王侯の身は貴しと
ついには同じく、一つ鍋の中」
彼は最後の一句を語る時、ふいに声を高め、まことに講釈師さながらの構えを見せた。
「さて、昔、鋳剣の祖・欧冶子の門下に、二人の弟子がおりました。夫婦で、夫は姓を干、名を将。妻は莫邪と申しました。夫婦二人、師の技をことごとく受け継ぎ、炉を開けば天地を驚かせ、槌を落とせば鬼神をも動かすほど――」
童淵がふいに言った。「干将と莫邪が欧冶子の弟子だという話は、聞いたことがないが」
兆雲は内心びくりとしたが、聞こえなかったふりをして、木片をまた一つ打ち鳴らした。
「さて、その楚王、世にも珍しい異鉄を手に入れ、干将を宮中へ召し出し、天下第一の宝剣を鋳るよう命じました!」
童淵はちらりと彼を見たが、それ以上は追及しなかった。
兆雲は枝を拾って火をかき混ぜた。火の粉が舞い上がり、李彦の膝の龍淵を照らして、まことに炉端で剣を鋳る光景さながらだった。
「干将は家に帰り、妻の莫邪とともに戸を閉ざして剣を鋳始めました。まる三年、炉の火は昼夜絶えることがありませんでした。炉を開けたその夜、轟という音とともに白気が天へ真っ直ぐ立ち上り、地は震え、空一面の雲が緋色に染まりました。炉の中には二振りの剣が横たわり、全身純青、まるで千年の寒氷のごとく冷たく光っておりました」
「干将は宝剣が鋳上がったのを見て、喜ぶべきところ、かえって部屋へ戻り、後事を語り始めました。莫邪が尋ねます。これほどの宝剣を鋳上げたことは天にも届く大功、なぜかえって眉をひそめるのですか、と」
兆雲は声を低め、干将の口ぶりを真似た。
「――大王は生まれつき猜疑深く、この上なく残忍な御方。世に第一の宝剣を手にすれば、同じものを鋳られる者を、世に残してはおくまい。剣を献上するその日こそ、我が命の尽きる時」
殿の中は次第に他の物音も消え、ただ薪が燃える時折の軽い音だけが残った。
「二振りの剣、一つは雌、一つは雄。干将はただ雌剣だけを楚王に献じ、こっそりと雄剣を莫邪に残しました。妻がすでに身重であることを知っていた彼は、旅立つ前にこう言いました。もし私が帰れなければ、子が育った時にこの剣を渡し、楚王の首を斬らせ、私の仇を討たせてほしい」
「翌日、干将は宮中へ入り剣を献上しました。楚王は雌剣を手に入れ、剣師の口から世にまだ雄剣が一振りあると知り、果たしてその行方を問い詰めました。干将は口を閉ざして答えず、楚王は干将自身が鋳た剣で彼を殺させ、首と身体を別々の場所へ埋めさせました。死してなお鬼となって仇を討ちに来ることのないように」
兆雲の声が、緩やかに低くなっていった。
「数ヶ月後、莫邪は一子を産みました。この子は次第に育ち、眉目は端正でしたが、ただ両眉の間が極めて広く、人は彼を眉間尺と呼びました」
趙雲が尋ねた。「眉間尺とはどういう意味ですか?」
「伝えるところによれば、両眉の間の幅が一尺あったとか」
張繡が手を上げ、自分の顔で幅を測ってみせた。
「それはどれほど大きな頭になるんだ?」
一同はしばらく笑い合った。
笑いが収まる頃、兆雲は木片をまた打ち鳴らし、話を続けた。
「眉間尺は幼くして父を持ちませんでした。郷里の子供たちは彼をいじめ、力で敵わないと見ると、後ろから父無し子と罵りました。眉間尺は最初こそ耐えていましたが、あまりに何度も聞かされ、ついに泣きながら家へ駆け戻り、母に尋ねました。皆には父がいるのに、私の父はどこにいるのですか、なぜ一度も私に会いに戻ってこないのですか、と」
趙雲は火を見つめたまま、次第に表情を引き締めていった。
「莫邪はもう隠しきれぬと悟り、あの当時のことを一部始終、息子に語りました。彼女はまた寝台の脇の板を持ち上げ、眉間尺に下を掘らせました。眉間尺が五尺余りも掘ったところで、指先にふいに冷たさを感じ、朽ちた木と黄土の間から、澄みきった青い宝剣を一振り、取り出しました」
兆雲は李彦の膝の龍淵を指した。
「その剣が土から出た時、星も月も色を失い、青き光が部屋に満ちたと申します。眉間尺は雄剣を背に負い、青衣に着替え、その夜のうちに家を出て、まっすぐ王城へ向かい、楚王の血で父を祀ろうとしました」
呂布がわずかに身を起こした。
「惜しむらくは、眉間尺には仇を討つ心はあれど、仇を討つ腕がなかったのです。彼が王城へ紛れ込んだ時、ちょうど楚王が行幸に出るところでした。王の車駕の前後は兵馬に囲まれ、道端の民は皆跪いていました。ようやく数歩近づいたところで、見物人に足を引っかけられ、さらに無頼漢に襟を掴まれ、自分の大切な丹田を踏み潰した、八十まで生きられなければお前の命で償えと、言いがかりをつけられました」
「眉間尺は怒るに怒れず、笑うに笑えず、ちょうど粟一鍋を炊き上げるほどの間、纏わりつかれました。ようやく振りほどけた時には、楚王の車駕はとうに影も形もなくなっていました」
「さらに悪いことに、すでに楚王へ密告する者が現れていました。干将の息子が雄剣を携えて城へ入り、仇を討とうとしていると。楚王は直ちに四方への捜索を命じました。眉間尺は宮中に近づくどころか、王城にすら留まれず、城外の杉林へと逃げ込むほかありませんでした」
兆雲は顔を傾け、声を陰気で嗄れたものへ変えた。
「日は次第に暮れ、林の中には人影一つ見えません。眉間尺がまさに進退窮まったその時、背後からふいに笑い声が聞こえてきました」
「――行くがよい、眉間尺。楚王はお前を捕らえようとしている。お前の腕では、この仇、討てはすまい」
「眉間尺が振り返ると、林の中に黒衣の道人が立っておりました。黒い髭、黒い眼、鉄のように痩せこけ、闇の中で二つの目がまるで燐火のように光っておりました」
「黒衣の道人は言いました、自分が代わりに仇を討ってやろう、ただし眉間尺は二つのものを差し出さねばならない、と」
兆雲は言葉を止め、一同の顔を一人ずつ見渡した。
「一つは、彼の背にある雄剣」
「もう一つは、彼自身の首!」
一同は思わず声を上げた。
張繡が眉をひそめて言った。「その道人め、まさか彼の首を持って賞を取り、剣を我が物にしようというのではないか?」
張任も兆雲を見つめ、続きを待った。
「眉間尺は道人に尋ねました。あなたと私は縁もゆかりもないのに、なぜ私のために仇を討ってくれるのですか、と。道人は忠義も同情も語らず、ただこう告げただけでした――」
兆雲はまたあの陰気な口調に戻った。
「――信じるなら、私は行く。信じぬなら、ここへ留まる。すべてはお前自身が決めることだ」
「眉間尺はその燐火のような両の目を見つめ、長いこと言葉を発しませんでした」
火が音を立て、殿の外から風が破れた戸口を吹き抜け、炎が高く低く揺らめいた。
「やがて、眉間尺はふいに肩越しに雄剣を抜き放ち、逆手で自らの後ろ首から前へ一気に薙ぎました!」
兆雲は掌で首の前を一度切る仕草をした。
「青光が過ぎ去った後、首が落ちました。眉間尺の身体はなおそこに立ったまま、右手だけが宝剣を黒衣の道人へと差し出しました。道人が剣を受け取って初めて、首を失った身体はようやくゆっくりと崩れ落ちました」
一同はまた驚きの声を上げた。
「その道人は片手に剣を提げ、片手で眉間尺の髪を掴み、切り落とされたばかりの首を持ち上げると、その死せる唇に二度口づけをし、続いて甲高い冷笑を漏らしました」
「林の狼どもが血の匂いを嗅ぎつけ、群がり寄ってきました。またたく間に眉間尺の身体は骨だけになってしまいました。道人が剣を振るって群れの頭領を斬ると、狼たちはすぐさま頭領の亡骸へ群がり、二度と彼を追おうとはしませんでした」
「道人は眉間尺の青衣で首を包み、雄剣を背に隠し、王城へ向かって歩いていきました。歩きながら、誰にも分からぬ奇妙な歌を口ずさんでいました」
兆雲は声を張り上げ、調子外れに歌った。
「ハハ愛や愛や愛や――
愛しき青剣、一人の仇、自ら屠る――
首と首を換え、二人の仇、自ら屠る――」
張繡が言った。「お前のその歌、ずいぶん下手だな」
兆雲は聞こえなかったふりをして、木片を地面に打ちつけ、続きを語った。
「この道人、自ら宴之敖者と名乗り、王宮の外まで来ると、自分は空前絶後、天下無双の見世物を心得ている、必ずや楚王の御心を晴らし、天下泰平をもたらすと申し出ました」
「楚王はこのところ退屈を持て余しており、目新しい見世物と聞いて、すぐさま宮中へ召し入れました。宴之敖者は言いました、この見世物にはあと二つのものが要ります。一つは金龍、もう一つは金鼎、と」
兆雲は腹を突き出し、楚王の口調を真似た。
「楚王は聞いて思いました。金龍? 寡人こそがそれだ。金鼎? 宮中にちょうどある。そこで大きく手を振り――持って参れ!」
「宮中から牛を煮るための大きな金鼎が運び出され、清水がなみなみと注がれ、下には獣炭が積み上げられました。火はどんどん盛んになり、鼎の湯は次第に沸き立ちました。宴之敖者は青い包みを解き、中から眉間尺の首を取り出すと、この首は湯へ入れば歌い舞い、大王の御長寿を祝うことができると申しました」
「彼は首を鼎の中へ放り込みました。ぼちゃんという音がし、熱湯が五尺以上も跳ね上がり、その後は何の動きもありませんでした」
「楚王はしばらく待ちましたが、顔つきはどんどん険しくなっていきました。今にも武士に命じて宴之敖者も鼎に投げ込ませようとしたその時、首がふいに沸き立つ湯の面から浮かび上がってきました」
兆雲は両手で身振りをした。
「その首は湯の勢いに乗って上下し、回転し、宙返りをし、時には湯に逆らって泳ぎ、時には鼎の底から湯面へ真っすぐ突き上がり、殿中いっぱいに熱い雨を降らせました。宴之敖者も鼎の脇で手足を舞わせ、声を張り上げて歌いました。
『ハハ愛や愛や愛や!
彼は百の首、千の首、いや万の首を用いる!
我は一つの首をもって万夫に勝る――』」
一同は聞いていて、背筋に冷たいものがゆっくりと這い上がるのを感じ、腕には鳥肌が立った。
「この一節を歌い終えると、眉間尺の首はふいに端正な様子になり、楚王のほうを向いて、今度は寿の言祝ぎを歌い始めました。王恩浩蕩なにやら、万寿無疆なにやらと歌い上げ、楚王は上機嫌になりました」
「ふいに、首は鼎の底へ沈み、二度と浮かんできませんでした」
「楚王はどうしたことかと問いました。宴之敖者は跪いて申し上げました、首は今、鼎の底で世にも奇妙な団円の舞を舞っております、この舞は鼎の底でしか舞えぬもの、遠くからでは見えませぬ、と」
兆雲は木片を勢いよく地面に打ちつけた。
「楚王は本当に金の階を降り、鼎の傍らまで歩み寄り、熱気を浴びながら首を伸ばして中を覗き込みました。見れば眉間尺が仰向けに湯の中に横たわり、両の目がまさに楚王を見つめています。四つの目が合った瞬間、その首がふいに、にっこりと笑いました」
兆雲は手を上げ、剣の形を作った。
「楚王がこの顔にどこか見覚えがあると感じたその時には、宴之敖者はすでに雄剣を抜き放ち、その後ろ首から一剣で斬り落としていました!」
「ぼちゃん!」
「楚王の首も、金の鼎の中へ落ちました!」
呂布が掌で地を叩き、大きく叫んだ。
「よし!」
道観の屋根から埃がさらさらと落ちた。
「仇同士が相まみえたからには、多くの言葉など要りません。王の首が湯に落ちた途端、眉間尺は飛びかかり、その耳に噛みつきました。二つの首は沸き立つ湯の中で転がり噛み合い、たちまち二十合以上噛み合いました」
「あの楚王、残忍で愚かとはいえ、争いになるとひどく狡猾で、眉間尺の背後に回り込み、その後ろ首に噛みつきました。眉間尺は頭を返せず、少しずつ噛み殺されようとしていました」
「宴之敖者は鼎の外でしばらく見ていましたが、ふいに首を伸ばし、雄剣を自分の背後へ回しました」
兆雲の声が、緩やかになった。
「一剣が振り下ろされました」
「彼もまた、自らの首を斬り落としたのです」
道観の中は、一瞬にして針の落ちる音さえ聞こえるほど静まり返った。
誰もが息を止め、大きく息をつく者さえなく、ただ兆雲を見つめ、次の一言を待った。
「宴之敖者の首は鼎の中へ落ちると、まっすぐ楚王のもとへ向かい、その鼻に噛みつきました。楚王は痛みに口を開け、眉間尺はその隙に逃れ出て、振り返ってその顎に噛みつきました。二つの首、一つは鼻を、一つは顎を噛み、まるで二羽の飢えた鶏が米を啄むように、たちまち楚王の顔を歪め、鼻を潰し、二度と動けなくしてしまいました」
「楚王の死を確かめると、眉間尺と宴之敖者は互いに顔を見合わせ、同時に微笑み、目を閉じて、鼎の底へと沈んでいきました」
しばらくして、呂布がようやく長く息を吐いた。
「あの道士、まさに言行一致、敬うべし、嘆ずべし!」
彼は趙雲を見やり、その表情はきわめて真剣だった。
「小師弟、いつか大難があって俺自身では駆けつけられぬ時は、俺もあの者に倣って首を斬り落とし、頭だけでもお前を助けに行かせよう」
李彦が一喝した。「何を馬鹿なことを!」
呂布はからからと笑って、それ以上何も言わなかった。
張任はしかし勢いよく酒碗を掲げ、朗々と言った。
「大丈夫たる者、天地の間に立ち、人の一分の情義を受ければ、命をもって報いるべし! 師や友に危難があって、我が身の安泰だけを惜しむようでは、いったい何の英雄豪傑と言えよう? 奉先師兄、今日のこの一言だけでも、あなたに一碗を捧げます!」
呂布は酒甕を持ち上げ、張任の碗へ軽く当てると、頭を仰いで一気に飲み干した。
兆雲は火のそばに座り、手にはまだあの木片を押さえたまま、しばらく続きを語らなかった。
呂布のあの一言が彼に与えた衝撃は、先ほどの金鼎の中の三つの首の死闘よりも、なお大きかった。
彼の知る呂布とは、二転三転して信を裏切り、利のためなら義理を忘れる、三姓の家奴だった。だが目の前のこの呂布は、ただ一つの物語を聞いただけで、皆の前で首を斬って助けに行くとまで言い切った。あの表情、あの口調は、とても演技には見えなかった。
兆雲は酒碗を取って一口飲んでから、ようやく改めて木片を手に取った。
パン!
「さて、宮中の人々は金鼎の中を半日かけて探ったものの、ただ三つの真っ白な頭骨と、ひと山の黒や白の髪だけを引き上げました。三つの首は、どれもすっかり煮清められていて、誰にも、どれが楚王のものか見分けがつきません」
「王后は楚王の額に傷があったと言いましたが、二つの頭骨に似たような跡がありました。王妃は楚王の鼻筋が高かったと言いましたが、見比べても三つの鼻骨に大した違いはありません。後には髭についても議論になり、楚王の髪は白くとも、髭には黒いものが混じっていたと言う者もいました。王公大臣は一晩じゅう話し合いましたが、誰も間違って捨てる勇気がありませんでした」
「結局、三つの頭骨は楚王の身体とともに、すべて金の棺に納められ、王の礼をもって葬られました。一人は高きにいた楚王、一人は自ら王宮へ踏み込むこともかなわなかった少年、一人は素性の知れぬ黒衣の道人。生きている時には天と地ほどの隔たりがあったのに、死後は誰もそれを見分けられず、すべてを大王として弔うほかありませんでした」
兆雲は木片を最後にもう一度打ちつけた。
「その墓は、後に――三王墓と呼ばれるようになりました」
語り終わると、殿の中はしばらく誰も口を開かなかった。
火の中の薪はすでに一角が崩れ落ち、赤い炭が灰の下で明滅していた。殿の外では風の音がなお続き、あの破れた木戸が時おり揺れて、軋んだ軽い音を立てた。
童淵は火を見つめたまま、ゆっくりと言った。
「楚王は一国の君主、眉間尺はただの父無き少年、宴之敖者に至っては素性さえ知れぬ者だ。生きている間には天と地ほどの差があったのに、死ねば頭骨は入り混じり、もっとも近しい王后や妃さえ見分けがつかぬ」
彼は酒碗を手に取った。
「だが眉間尺は父のために命を捨て、宴之敖者は一つの約束のために首を斬った。世に本当にこのような二人がいたのなら、この物語が千年伝わるだけの価値はある」
李彦が言った。「宝剣が千年伝わり、人もまた千年前に死んでいる。今日、乗龍が語らなければ、いったい誰が彼らを覚えていただろうか」
張繡が酒碗を掲げた。
「小師弟のこの話は実によく語れていた、もう一碗、飲むに値する」
兆雲はそれを聞いて顔をほころばせ、彼と碗を打ち合わせた。
呂布は酒甕を受け取り、皆に改めて注いで回った。張任は彼と昼間の槍戟の手合わせについて語り合い、張繡も寄ってきて、枝で地面へ線を引きながら加わった。話が乗ってくると、三人は今すぐにでも立ち上がってもう一戦交えたいような様子だった。
童淵と李彦はもう一方に座り、若い頃の同門の思い出話をしていた。二人はある昔の出来事について意見が食い違い、しばらく言い争ったが、どちらも相手を説き伏せられなかった。季安は火のそばで薪をくべながら、時おりこちらの話を聞き、また向こうを眺めた。
殿の中は酒の香り、肉の匂い、笑い声が入り混じり、実に和やかだった。
やがて三甕の酒も次第に底を見せ、火も暗い赤の残り火だけになると、皆の声も次第に低くなっていった。
兆雲は壁にもたれ、酔いが頭に回ってきて、目を閉じた。
呂布が先ほど言葉を発した時の様子が、まだ脳裏から離れなかった。あの英気に満ちた、まぶしいほどの顔には、少しの躊躇いもなかった。まるで自分の兄弟のために首を斬るのが、当然のことであるかのように。
これが本当に、彼の知っているあの漢末三国なのだろうか。
それとも、自分がたどり着いたのはまったく別の並行世界で、ここにいる人々の名だけがかつてと同じで、ほかのすべてはすでに似ても似つかぬものへ変わっているのだろうか。
兆雲はぼんやりと考えた。
そうか。
もともとの歴史には、尸人もいなかったし、内力もなかったのだ。
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**脚注**
¹龍淵――のちの唐代、初代皇帝・李淵の諱を避けて「龍泉」と改名された。日本では「龍泉」の名で知られることが多い。
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