【第8話 嬉し泣き】
リリアには秘密があった。それを知っているのはこの三人だけだ。
彼女はかつて、魔法の暴走で故郷を壊してしまったことがある。
その事件以来、誰かを傷つけることを恐れ、強い魔法を使うときに躊躇するようになっていた。
ある任務で、俺たちは魔物の群れから村人を守ることになった。
敵の数は多く、普通の魔法では押し切られてしまう。
リリアは杖を握りしめたまま動けなかった。
「私が撃ったら、また誰かを傷つけるかもしれない……」
俺は彼女の隣に立った。
「リリア。俺だって怖いよ」
「あなたは覚醒すれば何とかなるじゃない」
「覚醒したって、全部を救えるわけじゃない。俺も何度も失敗してる」
俺は彼女の目を見た。
「でも、今ここで助けたい人がいるんだろ?」
リリアは唇を噛んだ。
やがて、彼女は杖を構えた。
「……私の魔法を、信じて」
俺は頷いた。
リリアの魔法が空を裂き、魔物の群れを押し返した。
ミナが村人を避難させ、俺は残った敵を引きつけた。
戦いは終わった。
村人たちは無事だった。
リリアは杖を抱きしめ、静かに泣いた。
「……今度は、守れた」
俺は彼女の肩に手を置いた。
「うん。守れたよ」
彼女は涙を拭き、いつもの顔に戻った。
「次に失敗したら、あなたのせいにするわ」
「感動を返せ!」
ミナが笑い、俺たちも笑った。
仲間の弱さを知ることは大切だと深く再確認できた。
嬉し泣きってイイヨネ…




