【第16話 決戦】
魔王の間は静かだった。
玉座に座る男は、かつて英雄だったアベル。
その目には、長い年月の絶望が宿っていた。
「また一人、覚醒を持つ者が現れたか」
アベルは俺を見た。
「お前もいずれ、私と同じになる」
「ならない」
俺は答えた。
「俺には仲間がいる」
アベルは笑った。
「仲間? 弱い者たちに何ができる」
戦いが始まった。
アベルの力は凄まじかった。
俺たちは連携して戦ったが、彼の攻撃を止められない。
ミナが吹き飛ばされ、リリアの魔法が弾かれた。
俺は覚醒を使うしかなかった。
「覚醒!」
身体が熱くなり、世界が遅くなる。
俺はアベルに挑み、何度も攻撃を繰り出した。
しかし、アベルも同じ力を持っている。
戦いは互角だった。
「なぜだ! なぜお前は絶望しない!」
アベルが叫ぶ。
「俺だって怖い!」
俺は剣を構え直した。
「失敗するのも、仲間を失うのも、自分が弱いのも怖い!」
「ならば、なぜ立ち上がる!」
「仲間がいるからだ!」
俺はアベルへ向かって走った。
「俺は一人で強くなったんじゃない! ミナに助けられて、リリアに助けられて、何度も失敗して、それでもここまで来たんだ!」
剣がぶつかり、火花が散る。
「お前にも、誰かに助けを求められるときがあったはずだ!」
アベルの動きが止まった。
ほんの一瞬。
俺はその隙を逃さなかった。
渾身の一撃が、アベルの武器を弾き飛ばした。
魔王は膝をついた。
しかし、俺の覚醒も限界を迎えていた。
身体から力が抜けていく。
俺は幼児化し、床に座り込んだ。
「……う……」
頭の中がぼんやりする。
目の前の男が怖い。
知らない場所が怖い。
俺は泣きそうになった。
しかし、アベルは俺を攻撃しなかった。
彼は、俺の姿を見つめていた。
「……お前も、こんな思いをしていたのか」
アベルの声が震えた。
彼は、かつて自分が失ったものを思い出していた。
仲間。
信頼。
そして、誰かに助けてほしいと願う心。
ミナが俺を抱き上げた。
リリアも、アベルのそばに歩み寄った。
「もう終わりにしましょう」
ミナが言った。
「あなたも、ずっと苦しかったんでしょう」
アベルは顔を覆った。
そして、何百年ぶりかに泣いた。
そして言った。
「ぼくも、なでて?」
そばにいた二人は交互に幼児二人の頭を撫で続けた
魔王との戦いは、終わった。
ミナ「きゃああああああああ!!アベル様!ギャップ萌え…」
レン「おい、俺はどうなんだよ」
ミナ「普通にこの姿でも照れ隠しが可愛い」
レン「(顔を真っ赤にして逃げる)」
ミナ「ふふふ…!」




