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『俺だけが知っているこの世界の「あらすじ」~モブ志望の俺は、神(作者)の死亡フラグをへし折る~』  作者:
王都激震!狙われた王女と……モブの俺

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脳筋たちの来訪と、乙女の罠

俺たちが『忘れられた迷宮』を拠点としてから三日後。ついに、王女アリシアの差し向けた『討伐軍』がやってきた。

ダンジョンの入り口に現れたのは、俺がかつて沼地でハメた、S級パーティ『銀色の流星』のリーダーである、あの脳筋剣士。そして、彼が率いるのは、騎士団の中でも選りすぐりの、筋骨隆々とした猛者たちばかり。その数、およそ50名。

全員が、ミスリル銀の重厚な鎧に身を包み、その手には巨大な戦斧や、城壁すら砕くというウォーハンマーを握りしめている。

俺は、ダンジョン最深部のボス部屋――今は俺の司令室となっている――に設置した、スライムの体をレンズ代わりにした『監視カメラ』で、その光景を見ていた。

(……なるほどな。小細工は通用しないと見て、純粋な『パワー』で、このダンジョンごと俺を叩き潰しに来たか)

作者の意図は明白だ。

俺が作った罠や、ゲリラ戦術。それらを、圧倒的な破壊力の前には無意味だと知らしめるための、脳筋だらけのパーティ編成。実に、単純明快で、そして、厄介な戦術だった。

「マスター、どうしますか? あの者たち、本気でこの迷宮を破壊するつもりです」

隣で、秘書役のノワールが心配そうに呟く。

「慌てるな、ノワール。脳筋には、脳筋にしか効かない『特効薬』があるんだよ」

俺は、不敵に笑うと、スライムガールズのリーダー――俺は彼女を『アクア』と名付けていた――に指示を出した。

「アクア、お前たちの出番だ。作戦コードは、『悲劇のヒロインを救え』。配置につけ」

《……はい、マスター。お任せください》

アクアは、数人の仲間を連れて、司令室から出て行った。

さて、討伐軍の猛者たちは、ダンジョンに侵入するなり、その恐るべき破壊力を発揮し始めた。

「うおおおおおっ! 道がなければ、作ればいいだろうが!」

「邪魔な壁は、全て砕け!」

彼らは、俺が設計した複雑な通路や、小細工の罠などお構いなしに、壁をハンマーで砕き、道をこじ開けながら、一直線に最深部を目指して進んでくる。ノワールズが仕掛けた落とし穴も、彼らの圧倒的なパワーの前には、ただの少し大きなくぼみでしかなかった。

「ははは! 見たか、これが我らが『マッスル騎士団』の力よ!」

「どんな罠も、筋肉の前には無力!」

監視カメラに映る、汗と筋肉と笑顔。実に暑苦しい。

だが、そんな彼らの快進撃は、ある広間に出たところで、ピタリと止まった。

その広間の中心で、一体の、醜悪な姿をした魔物――俺がノワールズの粘土細工の才能を活かして作らせた、ハリボテの『キメラ』――が、数人の『か弱き人間の少女』に襲いかかっていたのだ。

「いやぁぁぁ! 助けてぇぇぇ!」

「誰か! 誰か助けてください!」

少女たちは、怯え、涙を流し、絶望の悲鳴を上げている。

その光景を見た、脳筋騎士たちの反応は、実に単純だった。

「なっ……! 一般人が、こんなところに!?」

「くそっ! あの外道、民間人を盾にするとは、許せん!」

「待っていろ、乙女たち! 今、我らが助ける!」

正義感と、たくましい筋肉に火が付いた騎士たちは、我先にと、少女たちを救うために走り出した。

もちろん、その『か弱き人間の少女』とは、スライムガールズたちが完璧に擬態した姿だ。

そして、彼らが広場の中央、少女たちを助けようと足を踏み入れた、その瞬間。

「――今だ」

俺の合図と共に、少女たちの足元――つまり、広場の床全体が、一斉に液体化する。

床そのものが、擬態していたスライムガールズだったのだ。

「な、なんだこれは!?」

「足が……! ぬ、抜けない!」

騎士たちの自慢の重い鎧が、仇となった。彼らは、粘着質の高いスライムの海に足を取られ、身動き一つできなくなってしまったのだ。

そして、彼らが助けようとしていた『少女』たちは、その姿を元のスライムガールに戻すと、にっこりと微笑み、動けなくなった騎士たちの鎧の隙間から、その液体化した体を侵入させていった。

「ひっ!?」

「や、やめ……! く、くすぐったい……! あはははは!」

「こ、降参! 降参だ! 助けてくれぇぇぇ!」

筋肉自慢の猛者たちは、物理的な攻撃ではなく、スライム特有の『内部からくすぐり攻撃』という、あまりにも情けない方法で、次々と戦闘不能に陥っていった。

俺は、監視カメラに映る、涙を流して笑い転げる屈強な騎士たちの姿を見ながら、冷たい紅茶を一口すすった。

「だから言ったろ。脳筋には、こういうのが一番効くんだよ」

作者が送り込んできた、最強の物理攻撃マッスル部隊は、こちらの、最も効果的な精神攻撃(乙女の悲鳴)によって、一人も傷つけることなく、無力化されたのだった。

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