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『俺だけが知っているこの世界の「あらすじ」~モブ志望の俺は、神(作者)の死亡フラグをへし折る~』  作者:
フラグ回避とテンプレキャラ

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英雄(素材)の回収とハイエナの流儀

作者の殺意トラップ地帯と、哀れなリザードロードの死体を抜け、沼地の最深部にたどり着いた。そこには、一つの巨大な洞窟が口を開けており、中から微かな光が漏れている。

中に入ると、S級パーティ『銀色の流星』の四人が、無残な姿で転がっていた。

彼らは、洞窟の中央に咲く一輪の妖しい花――『千年睡蓮』の魔力によって、全員が深い眠りに落とされているようだった。ラノベでよくある、精神攻撃系のトラップだ。彼らを助けるには、特殊な魔法か、高純度の解毒薬が必要になるのだろう。

そして、その睡蓮を守るように、クリスタルでできたゴーレムが一体、静かに佇んでいた。作者が用意した、最後の番人だ。

(さて、どうするか)

普通なら、ここでゴーレムと死闘を繰り広げ、激戦の末に勝利し、睡蓮を破壊して彼らを助ける、というのが王道テンプレだ。だが、そんな面倒なことを俺がやるはずもない。

俺はゴーレムには目もくれず、洞窟の壁際をそっと伝い歩き、眠っているS級パーティのリーダー、あの脳筋剣士のそばにしゃがみ込んだ。

「さてと……『回収』の時間だ」

俺は剣士の腰にぶら下がっていた、立派なポーチに手を伸ばす。中には、回復ポーションや万能解毒薬といった、いかにもS級パーティらしい高級品がぎっしり詰まっていた。

「お、ラッキー。これなら経費が浮くな」

俺はその中から最高級の万能解毒薬を一本抜き取ると、躊躇なく剣士の口に流し込んだ。

数秒後、剣士がうめき声を上げて目を覚ます。

「……う……はっ! 俺は一体……!?」

「よお、目覚めはいいか?」

「き、貴様は! あの時の……!?」

剣士は俺を見るなり、驚愕に目を見開いた。

俺は、彼の言葉を遮って、にべもなく言い放つ。

「ギルドからの依頼で『回収』に来た。状況は見ての通りだ。お前ら、そこの花のせいで眠らされてる。仲間も起こしたいなら、さっさと手持ちの薬を使え。俺はそこの置物と戦う趣味はないんでな」

俺はそう言うと、クリスタルゴーレムを指差した。ゴーレムは、俺たちが目覚めたことで、ゆっくりとこちらに敵意を向け始めている。

「なっ……! 貴様、我々を助けに来たのではないのか!?」

「助ける? 違うな。俺が受けた依頼は『救出』だ。つまり、お前らが無事に生きてさえいれば、それでクエスト達成だ。戦闘は専門外なんで、あとはプロ(おまえら)に任せる」

俺はそう言い捨てると、さっさと洞窟の入り口まで後退した。

剣士は一瞬、呆然としていたが、すぐに状況を理解したらしい。ゴーレムが動き出すのを見て、慌てて仲間たちに解毒薬を使い始めた。

やがて、全員が目を覚ます。彼らは俺の無責任な態度に文句を言う暇もなく、襲いかかってくるクリスタルゴーレムとの強制戦闘に突入した。

「おい! 手伝え、貴様!」

「いや、俺はB級冒険者なんで。S級の戦いにはついていけませんわ」

俺は、洞窟の入り口で腕を組みながら、高みの見物を決め込む。

彼らが満身創痍になりながらも、さすがはS級パーティ、見事な連携でゴーレムを打ち砕くのを、俺はあくびをしながら眺めていた。

戦闘が終わり、疲弊しきった彼らがこちらを睨みつける。

「貴様、いったい何様のつもりだ……」

「しがないモブ冒険者様だよ。さて、依頼は達成だ。じゃあな」

俺は彼らに背を向け、さっさと帰ろうとした。

その時、俺の頭の中に、ずっと待っていたチャンスが訪れる。ギルドから救援のために派遣されたであろう、第二、第三のパーティが、ようやくこの洞窟に到着したのだ。

「おお! 『銀色の流星』の皆さん! ご無事でしたか!」

「我々が助けに来ましたぞ!」

後から来たB級、C級のパーティが、英雄たちの無事な姿を見て歓喜の声を上げる。

俺は、その騒ぎに紛れて、あるパーティのリーダーにそっと声をかけた。

「よう。大変だったな」

「お、おう。あんた、先行してたっていう……」

「ああ。見ての通り、S級のお歴々はボロボロだ。とても自力じゃ帰れまい。お前ら、街まで担いでいってやれよ。英雄を助けたってんなら、ギルドからの特別報酬も弾んでもらえるだろうぜ?」

俺はそう言って、ニヤリと笑った。

その言葉に、後続パーティの男たちの目が、ギラリと光る。

「そ、それは本当か!」

「ああ。俺はもう帰るから、手柄は全部くれてやる。その代わり」

俺は、人差し指を立てた。

「報酬の『おこぼれ』、少しでいいから分けてくれよな。情報提供料ってやつだ」

男は一瞬考えたが、すぐに下卑た笑みを浮かべた。

「へへっ、わかった! 話が早いじゃねえか! 乗ったぜ、その話!」

こうして、S級パーティ『銀色の流星』は、手柄と報酬目当ての後続パーティによって、まるで荷物のように担がれて帰ることになった。

俺は、英雄救出という最大級のイベントを、自分ではほとんど何もせず、最小限の労力で完了させた。そして、ちゃっかりその他大勢モブに手柄を譲ることで、自分への注目を避け、さらには分けおこぼれまで約束させたのだ。

これぞ、ハイエナ流のクエスト達成術。

神(作者)よ、お前が描きたかったであろう、感動の英雄救出劇は、金と手柄に目がくらんだモブ共の、醜い手柄争奪戦に成り下がったぞ。満足か?

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