11.温かな光
ーーーーキキーッ!!
車を運転していた男が慌ててブレーキを踏む。
しかし、私は避けきれずにその車にぶつかり、身体は突き飛ばされた。
その時に私は頭を強く打ち、意識不明の状態に陥った。
周りから聞こえる悲鳴の声……。
遠くから聞こえる救急車の音……。
私は、病院に運ばれて処置を受けたが、昏睡状態のまま、なかなか目を覚まさなかった。
目を覚まさない私は、ずっと夢を見ていた……。
大好きな彼が泣きながら必死に祈っている夢……。
夢の中で、私は心が張り裂けそうになる。
私は夢の中で必死に祈った。
お願い……。
お願い……。
私は大好きな彼とまだ一緒に過ごしたいです……。
どうか、どうか、その願いを叶えてください……。
その時だった。
私の指先から……
私の掌から……
あなたの温かさが伝わってくる……。
『生きたい……』
夢の中でその思いが溢れてくる……。
その時だった。
温かな光が私に迫り、私を包み込む……。
『生きなさい』
どこからか、そんな声が聞こえる。
私は生きることを強く祈る……。
そして………、
私を包んでいた光が弾ける。
「………ん………」
現実で私はうっすらと瞳を開く。
病室の天井が視界が入ってくる。
「シズノ………」
大好きな彼の声が耳に流れ込む……。
大好きな彼が私の手を握りしめたまま、涙を流して微笑む。
「おかえり……シズノ……」
私の耳にはっきりと聞こえる声………。
大好きな……大好きな……彼の声……。
「良かった………」
大好きな彼が涙を流したまま、安心したように、そう声を発する。
「ただいま……」
私も涙を流しながら、そう言葉を紡ぐ。
私の長い夢は終わった。
そして、大好きな彼の元に戻ってきた……。
(完)




