10.大好きな君へ
「……どうして?」
私は目の前の現実を受け入れられない。
白く、冷たい身体……。
ずっと、ずっと、一緒に居たかった……。
あなたと、未来を歩みたかった……。
あなたが、病にかかり、床に伏すことになっても、いつかは、また良くなることを信じていた……。
だから、あなたを失いたくなくて、必死に祈った……。
でも、あなたは私を置いて逝ってしまった……。
それから、私は毎日のように泣いた……。
あなたを失いたくなかった……。
また、二人で笑い合える日が来るのを信じていた……。
そして、私は魂が抜けたまま、あなたの遺品を整理していく。
その時だった。
あなたが仕事で使っていた机の引き出しから一通の手紙を見つけた。
私宛ての手紙だった。
何が書かれているのだろうと感じながら、手紙の封を開ける。
『大好きな君へ
この手紙を読んでいるとしたら、僕はもうこの世には居ないときだろう……。
でも、僕はいつまでもセナのことを愛しているよ。
そして、愛しているからこそ、セナには未来を生きてほしい……。
僕がいなくなっても、セナは僕の分まで精一杯生きてほしい……。
僕の一番愛しているセナが、生きるために、他の人を選んでも構わない。
でも、誰も選ばずに、一人で生きるなら、セナが終わりを迎えた時に、必ず迎えに行くよ。
セナは僕にとって最高の妻だよ。
セナ……、愛しているよ……。
生まれ変わったら、また、セナと一緒になりたいな……。
だから、来世でも一緒になれるように、セナには1日1日を大切に生きてほしい……。
愛しているよ……。
何度生まれ変わっても、ずっと一緒にいたい……。
空の上で待っているからね。
セナ…君は僕にとって、一番素敵で大切なお姫様だよ……。
ずっと、愛しているよ……。 トウヤ』
ポタ……ポタ……ポタ……。
瞳から涙が溢れて止まらなくなる。
「トウヤさん……」
私は覚悟を決めた。
泣いてばかりいたら、トウヤさんが悲しむ……。
「頑張ろう……」
私は涙を流しながら、そう決意する。
それから、毎日を1日1日精一杯生きた。
トウヤさんを想いながら、手紙をお守りにして、1日1日を過ごしていく。
月日が流れた……。
私はお婆さんになり、施設に身を預けた。
新しい人は作らなかった……。
私が愛したのは「彼」だけだから……。
ある日の夜、私は眠りに就いた。
その日は、身体が凄く眠たくて、そろそろ私に最期が近づいているのだと感じた。
その時、私は温かな光を感じ取り、夢の中でうっすらと目を開ける。
「……迎えに来たよ。頑張ったね、セナ」
大好きな彼が目の前にいる。
私の瞳から涙が溢れる。
「トウヤさん……、私、頑張って生きたよ」
私の言葉に彼は微笑む。
「生まれ変わったら、今度はもっと一緒に沢山の時間を過ごそうね」
大好きな彼の言葉に、私は涙を流しながら頷く。
また、彼に出会いたい……。
きっとまた、出会える……。
光が溢れ出す……。
私たちは手を繋ぎ、光の方に向かって歩き出した……。
私たちの願いが叶うのを信じて………。
(完)




