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第3話 目覚めたサルガタナス


干からびた体、干からびた髪に不釣り合いな、みずみずしい目。


それがこちらを見ている。


パキパキと、何がどうなればそんな音が鳴るのかわからない音が、巨大な部屋に響く。


一歩、また一歩と私は後ずさる。


死体が、死体だったはずのものが、その体に積もった埃を、砂を落としながら、


ゆっくりと立ち上がる。


その乾いた肌は、ドクトクと健康的なうるおいを取り戻し、


骨しか無かった細かった足はあっという間に太くなる。


なんだ、何が起きてるんだ。


どう考えても常識に、物理法則に反してる。私が知るこの世の全てを無視している。


あっという間に死体は、健全な、健康的な、生きている人間となった。


それは、おそらく男だった。


中性的な美しい顔。猫っぽいツリ目。黒い髪。緑のバンダナ、そしてインディアンのような、


民族色豊かな記号で埋め尽くされたポンチョ。


なんなんだこいつは。


「君を待っていた。」


男が喋った。透き通った声で。少年のような、爽やかな声で。真っ直ぐに私の目を見て。


「あなたは一体、何者?なんなの?誰?」


私は一定の距離を取りながら、謎の男に質問する。


「ぼくの名前はサルガタナス。悪魔だ。ずっと、人間を待っていた。」


悪魔、悪魔か、あんなことを出来るのは人間じゃあ無い。


いや、すごい再生能力を持った人間・・・超能力者、それは悪魔の存在とどう違うんだ。


「悪魔・・・ね。私を待っていた、って、なんで?こんな所で?」


「この扉を開けてほしい。」


悪魔、サルガタナスは扉に手を置く。


「この扉は人間と悪魔が協力しないと開かないんだ。」


「へぇ・・・そんな仕掛けがあるんだ。・・・うん?」


一つの疑問が私の中に出てきた。


「あんた、そのために、ずっと待ってたの?ここで?」


「そうだ。」


「人間が必要なら、どっかで一人さらってくれば良かったじゃない」


「・・・そうだな。それで良かったな。」


悪魔というのは本当かも知れない。


あまりにも人間離れしてる力を持ちながら、アホすぎる。


「この扉の向こうには何が有るの?」


「・・・さぁ?知らない。」


確かに、扉の向こうに何が有るかわからない、ってのは私も同じだ。


でも、何があるかもわからない遺跡に、


来るかもわからない人間を何百年も待ってたってこと?


悪魔の感覚は理解不能だ。


「あなたはなぜ、この遺跡にいるの?」


「ぼくは・・・あるものを探している。世界中を探し回ってるがまだ見つかってない。


あるかどうかもわからない。どんなものかもわからない。でも、必要なものだ。」


子どもと話してるような気分になってくる。


「例えば、中にあるものが、ただの金銀財宝だった場合、私にくれるなら、


協力しても良いわよ。」


「ああ。それは、ぼくには必要ない。」


やったわ、これはラッキーだわ。なんだか良くわからないけど、


とにかく私にとって良い出会いだわ。たとえ相手が悪魔でも。


「なら協力するわ。私の名前はクロードルカ。よろしく。」


「ぼくはサルガタナス。よろしく。」


そして私は、サルガタナスといっしょに、扉を押した。


異常に大きな石の扉は、その大きさにもかかわらず、なんの音もせず、


重さも感じさせずに、ふわりと、ゆっくりと開いた。


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