第2話 迷宮を進む墓荒らし
遺跡の中を真っ直ぐに進んでいくと、何かの入口にたどり着いた。
入口には、看板があり、なにか書いてある。
アルファベットでこう書いてある、「真実を答えよ」
中に入ると、T字の分かれ道、壁には左右それぞれに「男」「女」と記されている。
なんだこれは。・・・つまり、これを作った文明では、遺跡に女は立入禁止で、
女を選ぶと罠で殺されるってことか?
それともその逆で、男は立入禁止で・・・、わからんな。
真実を答えろと言うので、女を選ぶ。
罠が無いか神経を張り巡らせながら、
罠を調べる方法は単純だ。石を投げる。
これが結構有効で、重量式、衝撃式、運動センサー式の罠はこれで作動する。
持ってきたレンガを投げ、棒で地面を叩く。なにか仕掛けがあれば空洞があり、
他の場所より反響音が高くなる。
何もなさそうなので進む。
しばらく進むと、またT字路に、問いかけが合った。
「嘘をついたことがあるか?」
・・・
あるでしょ。そりゃ。人なら。
「ある」の道を進む。
何なんだこの遺跡は。
「人を殺したことはあるか」「無い」
「盗んだことはあるか」「有る」
「人を助けたことはあるか」「有る」
もしかして、何を選んでも、何もないんじゃないか?
そう思って進むと、次の問いかけがあった。
「母親を救えなかったことを、後悔しているか。」
それを見たとき、全身に鳥肌が立った。全身に走る恐怖。
いや、偶然だ。大抵の場合、母親との死別に後悔があるのは、普通のことだ。
満足する親との別れなど無いだろう。
誰でも当てはまることだ。
荒くなった呼吸を整え、答えを選ぶ。…YESだ。
迷宮に入って、かなりの時間、かなりの距離を歩いている。
確かに山の中にある遺跡だが、いくら山の中でも、水平に移動をこんだけしてれば、山の逆側に
出るんじゃないか?
そう思うほどに広い。こんな遺跡は初めてだ。
次の問いかけが見えた。
今度はT字路じゃない。扉があった。
石で出来た分厚い扉。
扉の真ん中に看板があった。
「お前の名は?」
どういうことだ。王族の名でしか開かない仕掛けか?
声で開く仕掛け?
そう思ったが、とりあえず私はその問いに答えることにした。
「テーブル・クロードルカ」
扉が開いた。重い石の扉が上がっていく。
その中は、左右対称に柱が並び、磨き上げられた隙間一つ無い石壁。
そしてその奥には、とんでもなくデカい扉があった。
どうやって入れたんだ。この扉を。一体何が通るための扉なんだ。
私は前に進み、その扉に近づく。
ふと気づく。扉の前に何かがある。布でくるまれた、人間1人分ぐらいの膨らみ。
私はそれに近づき、中を見る。
おっと、死体だ。
ちょっとビックリしたが、遺跡探索にはよくあることだ。
そこまで驚いたりしない。
死体を良く観察する。遺跡の死体には意味がある。罠、事故、生贄、
死因を探すことは、自らが生きるための情報に必要。
黒い髪、ミイラのように干からびた肌。座り込む形で事切れている。
死んでから相当の時間が経っている。少なくとも100年は。
この密閉された空間ゆえに、クモの巣が張ったりはしてない。生物は存在していない。
外傷は・・・無いようだ。直接触ると病気になるかも知れないから、棒でつついて調べる。
ということは、例えば毒ガスで死んだ、閉じ込められて餓死、または何らかの病死。酸欠や一酸化炭素中毒の事故死、
などが考えられるだろう。
しかし、もし侵入者を殺すのなら、あの迷宮に罠を仕掛ければいくらでも殺せると思うんだが・・・
そう思いながら、髪の毛を棒でつついていると、中に光るものが見えた。
なんだ?と思い詳しく掘り出すと、ピンク色の宝石があった。それもかなり大きい。
私はこの死体は、やはり何かの生贄ではないのか?と考えた。
宝石のついた死体、何かの文様が描かれた布でくるまれている。
ではこの扉はなんだ?ふつー、こーいう生贄は扉の中の墓に供えるものなのでは?
などと推察していると、
ぴくりと、死体が動いたような気がした。
私は思わず飛び退く。
「いや・・・びっくりした・・・」
棒でつついていたから、バランスが崩れて動いた用に見えたのだろう。
そう思い、再びじっと死体を観察する。
「うわっ」
・・・目が、目が開いた。
死体の、目が開いた。




