第1話 異常な遺跡
表紙
登場人物紹介
サルガタナス
邪神の血を受け継ぐ悪魔。
己の呪いを消し去りたいと思って世界中の遺跡を旅している。
ミノタウロス
小細工無しの真っ向勝負が大好きな単純バカ悪魔。
単純故にその力は凄まじく強い。
今回はこの迷宮の試練として呼ばれて参上する。
ウリエル
四大天使の一人。天使で一番強い四人のうちの一人。
糸を司る。糸、それは人類文化において最も重要な要素の一つ。
布を纏わない人間は居ない。それだけでなく、船の帆、電線、インターネット。
人類文化において最も広く浸透しているものを司る事が、
四大天使の条件である。
■ 第1話 異常な遺跡
匂いが違うことには理由がある。
一度開けられた遺跡ってのは、空気の通り道ができるから、
生き物の匂いがする。草、カビ、生命活動が発する青い匂い。
一度も開けられてない遺跡は、それがない。粉っぽい、石の壁が劣化して落ちて積もった石粉。
それが舞い上がって感じる煙のような無機質な匂い。
この遺跡はアタリだ。と思った。
一人で遺跡に入る事には理由がある。
まずバカが居ない事。遺跡には罠が仕掛けてあることが多い。
一人バカが交じることで、迂闊に罠を作動させ、全員を危険に晒す。何度死にかけたか。
そして仲間割れの危険がないこと。
遺跡荒らしをするような倫理観の無い犯罪者が集まり、大金になるお宝を見つけたとき、
仲間割れが起きる。それもほぼ確実に。一人死ねば取り分が増える。二人死ねばその倍増える。
ロクデナシ共が集まれば必ずそうなる。
だから私は一人で入る。
だがこれにもデメリットがある。
遺跡が崩れて閉じ込められたら、一発で終わりだ。
誰も助けてくれない。
罠、低酸素、一酸化炭素、崩落、死の危険が山程ある。
それでも私は一人で入る。
一人のほうがマシだからだ。
ノルウェー北部地域にあるヘルゲランで最も古い町、モシェーン。
その近くにある山の氷食谷の間にその遺跡はあった。
横穴式石室で通路の長さはすでに100mを超えている。
こんな遺跡はあり得ない。
まず北欧に横穴式石室があるのもおかしい。それに普通は石室まで直線の10m前後しか無い。
北欧は花崗岩や片麻岩が多く、古代の青銅器では加工が難しい。
故に船葬、墳丘墓が広まったのだ。
文化的、技術的、地質的にこんな遺跡はあるわけがない。
私は好奇心、ワクワク感と、嫌な恐怖感に苛まれながら、疑い深く進んだ。




