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第六話



 まさかの連続投稿



   



 フィルを引きずるようにして、ギルドまで戻ってきた俺は早速、ハシムさんに会えないか受付の人に尋ねた。


「どのようなご用件でしょうか?」

「そうですね、フィルのことについて聞きたいことがあると伝えてください。たぶんそれで伝わると思いますので」

「はぁ……分かりました。少々お待ちください」


 首を傾げながらも、受付の人は奥に消えていった。


「あのぅ、本当に今から行かなきゃいけませんか……?」

「もう諦めろ」

「そんなぁ……」


 幾分か落ち着きを取り戻したのか、フィルは先程みたくつっかえることなく話せている。

 数分待っていると奥からギルド長が顔を出して、こちらに向かって手招きしていた。それに応じて奥に行き、ギルド長室に入った。


「よく来たな。まぁ、遅かれ早かれ気付かれるとは思ってたが、こんなに早いとはな」

「あうぅ、すいません……」


 フィルは項垂れて謝罪の言葉を口にした。


「別に責めているわけじゃないさ。気にするな、フィル」

「え、本当ですか?助かりました……」

「たまたま通りすがっただけで、四日間も拘束しちまったからな。ここまで仕事をこなしてくれたことに対して感謝こそすれ怒ることはしないさ」


 フィルはその言葉に満面の笑みを浮かべて安堵している。しかし、通りすがりの冒険者に頼むとは、それだけ俺を観察することが重要だったのか?


「それで、なんで俺を観察してたんです?」

「そうだな、簡単に言うと戦力になるかどうかを見させてもらっていたんだ」

「戦力?」


 こりゃまた物騒な言葉だな。


「あぁ、『闇』に対抗するためのな」

「『闇』?」

「む、そうかお前さんは極東の方から来たんだったな。極東の方は『闇』が来ていないと聞いている」


 ハシムさんの説明によると、年に二回程大きなマナの乱れが生じる時期があり、マナの乱れによって魔界へと繋がる空間の歪みが出来てしまうのだそうだ。そして、そこから魔族や大量の魔物が流れ込んでくるのだそうだ。それを『闇』と呼んでいる。


「前回の闇はいつもより規模がデカかった。そのせいで負傷者や死亡者が多く出てしまってな、次の闇が間近に迫っているってのに、未だに人手不足が続いている状態なんだ」

「なるほど……」

「そこにだ、初登録にしては優秀な三人が来た。さらにだ」


 そこでハシムさんは一度口を閉じ、俺に鋭い視線を向けた。


「理由は分からないが、お前さんはキリカとの模擬戦で手を抜いた。違うか?」


 その言葉に、ドキリとした。


「これでもギルド長やってんだ、人を見る目はあると思っている。俺はあれがお前さんの全力だったとは思っていない」

「……」

「別に手を抜いたことに関してはお前さんにも事情があるんだろうから、問い詰めることはしない」


 それはありがたい話だが、正直バレてるとは思わなかった。


「それでだな、手を抜いていてもキリカと戦えていたことから、お前さんに黙って観察させてもらっていたってわけだ。嫌な思いをさせたなら、すまんな」

「いえ、気にしてませんよ」

「そうか。フィルの報告によると、魔法はかなりの腕前らしいな」


 その時、今まで黙っていたフィルが口を開いた。


「ユリィさん、今日なんて凄かったんですよ。突然消えましたし」

「どういうことだ?」


 「突然消えました」なんて説明を受けたら、誰だってハシムさんみたいな反応になる。

 フィルは自分の目で見たことを言っただけであるためそれ以上説明できず、俺は二人から説明を求める視線を向けられた。


「簡単に言えば、目にも留まらない速さで動いたってことですよ」

「ふむ」

「えぇ!そうだったんですか?僕はてっきり魔法だと思ってましたよ」


 ハシムさんは短く答え、少し思案顔になった。


「そうか。よし、ユリィ。次の闇にはお前さんにも参加してもらいたい」

「断ったら?」

「それは個人の自由だからな、止めたり責めたりはせんよ。誰だって命は惜しいものだ」


 人手不足です、なんて話聞かされたら断りにくいがな。人手不足ということは、キリカはまず間違いなく参加するだろうな。もしかしたらテオ達にも声がかかるかもしれない。テオ達のことだし、この話を断ることはないだろう。話を聞く限り、参加者は皆無傷というわけにはいかないのは、簡単に想像出来る。


「まぁ、俺だけ参加せずに逃げるってのも、なかなか寝覚めが悪そうだしな……」

「ということは、参加してくれるのか?」

「ええ、参加しますよ」

「助かる!」


 ハシムさんは俺の両肩に手を置き、感謝の言葉を言った。


「お前さんには前線に出てもらいたい。目にも留まらないほどの素早さに魔法の腕前も良し、だからな」

「了解です」


 正直、いきなり前線に行ってくれなんて言われるとは思っていなかった。まぁ、それだけ人手が足りないのかもしれない。

 その時、ギルド長室のドアが勢いよく開け放たれた。ギルド長室へ駈け込んで来たのは一人のギルド役員だった。


「どうした?」

「た、大変です!たった今魔法庁の方から、マナの乱れを観測したと連絡が!」

「なんだと!?」





   ✛





 緊急報告から三十分後。ギルド内にある、大会議室に俺はいた。他にも冒険者が百人ほどいた。その中にはキリカとテオ達の姿も確認できた。


「緊急招集という形になってしまってすまなかった。だが、先程魔法庁の方からマナの乱れを観測したという連絡が入った。推測では闇が来るまでに後一時間もあるかどうかというところだそうだ。場所は、北のルル平原だ」


 ハシムさんの言葉にざわつく冒険者の面々。ルル平原は確かここから徒歩で一時間はかかる場所のはずだ。周囲の冒険者達も時間的に厳しいものがあることに不安を感じているようだ。


「静粛に!……今から作戦の内容を話す。よく聞いておけよ」


 ハシムさんから伝えられた作戦内容はこうだ。

 俺を含め、まずここにいる冒険者達を前線で闇を食い止める者と後方で前線の支援と住民の避難を行う者に分けるそうだ。ただ、住民の避難には城の騎士達も出てくるそうなので、全体の二割ほどを後方に分け、残りは全て前線に出てもらうことになった。


「毎度のことながら、城の騎士を前線には出してくれなかった」


 ハシムさんは憎たらしげにそう付け加えた。

 なんでもギルドが闇を押し返せれなかった場合は、騎士達は城に大量に残り、城に居る貴族達や王を守り抜くのだそうだ。そのため、住民避難を終えた騎士達もそのまま城に戻るのだそうだ。

 なんとも胸糞悪い話である。


「まぁいい、とりあえず前線に出る者には三人か四人でチームを作ってもらう。同じチームになった者同士でフォローしあい、出来るだけ被害を抑えろ」


 その言葉に冒険者達は頷いた。


「後方支援の方は、幸いというべきか今回闇が発生する場所の付近には住民が比較的少ない。騎士達と協力していち早く住民避難を終えてほしい。終わり次第、前線同様でチームを作り前線の支援を始めてくれ」


 そしてハシムさんは前線での組分けを、早口に告げていった。


「組を作った者から準備を始めてくれ。チーム内での確認も怠るなよ!」


 俺と同じチームになった顔ぶれはキリカと、驚いたことにテオだった。

 テオもノアと同様に後方支援になると思っていたんだが。


「ユリィもいたんだ」

「それはこっちのセリフなんだが」

「二人ともよろしく。この面子だったら特に確認する必要はないと思うけど、一応ね」


 キリカの声掛けに従い、お互いの装備やスキルの確認を行った。


「よし、確認終わったな。馬車をギルドの外に用意しているから、乗り込め!急げよ!」


 ハシムさんの指示に従い、俺達を含めた冒険者達はギルドの外にある馬車に乗り込んだ。

 馬車といっても貴族が乗るようなものではなく、大人数が乗り込めるような荷馬車だった。それに乗り込み、闇との戦場になるルル平原へと揺られていくのだった。



 



 やや急展開かなと思いましたが、キャラが出きってない状況での短編もぐだってしまいそうなので、少し早目に展開を用意しました。

 以上、作者の言い訳。


 次話は少し遅くなるかもしれません。では。


 

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