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第四話

 久しぶりの更新。何とか一話だけ書き上げれた……(;´Д`)



 

  



 あれから三日程経った。俺はあの日一つだけクエストをテオ達とこなしただけで、あとは街の散策にあてていた。というのも。


「すいません、ユリィさんは今現在、単独でクエストを受けることは出来ません」


 これは二日前に言われた言葉だ。

 なんでも現在俺のギルドカードの色を決める会議が行われており、それが終わるまでは単独でクエストを受けることを禁止されているのだそうだ。

 そこで俺はテオ達を探したが間が悪いことに、ここ二日の間に彼女らと会うことはなかった。ちなみに、彼女らは二人ともギルドカードが青色でEランクとなっていた。

 結果、ここ二日は街の散策にあて、初日に稼いだ金を少しずつ使い暮らしていた。おかげで、値切りは多少うまくなったし、この街の構造は大体理解できた。

 今日も例にもれず街の散策をしていたところ、ギルドカードに連絡が来た。


『昼過ぎにギルドの方へ来てください』


 どうやら、色決めの会議とやらが終わったみたいだった。

 俺は指示通り、昼過ぎにギルドへと向かった。すぐに会議室に通された。


「ここでお待ちください。すぐにギルドマスターが来ますので」


 案内してくれたギルド役員はそう言って、その場を後にした。部屋を見渡してぼーっとしていること五分。会議室のドアが開く音がした。


「すまんな、少し待たせた」

「いや、そんなに待ってませんので」

「そうか」


 ギルドマスターは手近にあった椅子に腰を下ろした。


「早速だが、お前さんのギルドカードの色の方は、灰色とすることになった」

「灰色、ですか?」


 先日聞いた説明だと、灰色なんてなかった気がしたんだが。


「そうだ。お前さんも知っての通り、灰色なんて色はない。が、他のギルマスが伝手をあたってくれてな」


 その伝手というのは、大賢者リーマという人らしい。判定紙の歴史は決して浅くなく、リーマ曰く百年以上前に一度だけ同じようなことが起きたのだそうだ。しかし、その当時のギルドカードは、今のように高性能ではなかったため、ギルドカードに色が反映されることはなかったそうだ。さらにその者は、最後にはSランクまで上り詰めたという強者であり、どんどん改良されていく判定紙の悉くを灰にしたそうだ。それによって一部の人の間では、『計測不可能者(アンノウン)』と言われたそうだ。


「その話を聞いた殆どのギルマスが灰色にしようと言うんでな。最終的に多数決で灰色となったわけだ」

「となると、俺はどのランクになるんですか?」


 この質問はここ数日の間で手に入れた情報からきた疑問だった。

 冒険者にはギルドカードによるレベル帯の表示だけでなく、個人やパーティーのランク付けがなされている。そしてそのランク付けの指標の一つがギルドカードの色なのだ。特に新規登録の場合は、ギルドカードの色でランクが決定されるようなものなのだ。

 ちなみにランク付けの方は原則として、白ならFランク、青はEランク、緑はDランク、黄はCランク、赤はBランク、黒と銀はAランク、金がSランクとなっており、今現在Sランクには五人しかいないそうだ。まぁ、金のギルドカードを持っている人数が五人だけというわけではなく、他にもいるのはいるのだそうだ。そういった人達がSランクでない大きな理由は、「老い」なのだそうだ。

 つまり、今Sランクである五人というのは、若くして金のギルドカードを手にしたという、紛れもない天才達なのだそうだ。

 すこし話がずれたが、そういうわけで俺のランク付けがどうなるのかというのは、非常に気になるところなのだ。


「あぁ、それについてはだな。今から模擬戦を行ってもらう。相手はキリカだ」

「キリカですか?確か彼女はAランクですよね?」


 なんでまたそんな上から持ってくるかな。


「キリカからの報告では、お前さんは最低でもDランクの強さはあると聞いているからな」

「はぁ……」


 気のない返事となってしまったが、それも仕方ないと思う。


「まぁ、気楽にやってくれていいからな。一応言っておくが、ランク付けの方はキリカ自身の感想と、俺が直接見て得た情報で決めさせてもらうことにしているからな」


 こうして、俺は自身のランク付けを決める模擬戦を、急遽行うことになった。





   ✛





 三十分後。

 ギルドに隣接する訓練場にて、俺はキリカと向かい合っていた。周囲にはギルドマスターしかいない。

 というのも、この訓練場は一つの大きなグラウンドのようになっているのではなく、いくつかの部屋に分かれているというものだったため、観衆の目がないという状況になったのだ。


「さてと、ユリィ君。準備はいいかな?」

「あぁ」


 俺は短刀を抜きながら答え、キリカを改めて観察する。

 防具は軽装備であり、急所を守るように装備されてある。構えている得物はレイピア。おそらくスピードと手数に重きを置いた前衛職だろう。

 対する俺は防具も身に着けていないような、防御をかなぐり捨ててひたすらにスピードと手数を求めた前衛職だ。ただ、俺には魔法があるため、こちらに分があると見た。


「おし、じゃあ、はじめ!!」


 ギルドマスターの合図と共に、キリカは飛び出してきた。そして自身の間合いに入った瞬間に、素早く突き出されるレイピアをバックステップで大きく避けて距離を取る。

 キリカは追撃はせずにその場に留まった。挨拶代りの一撃だったのだろうか。こちらとしても追撃してこないのは、考えを纏めれるからいいのだが。


「さて」


 どうするか。正直今の一撃を見る限り、キリカを負かすのはそんなに大変な事ではないだろう。しかし、ここで目立つと後々厄介なことになりそうであり、それは俺の望むところではない。ということで、ある程度粘ったら自然に見えるように負けるとしよう。

 俺が頭の中で結論を出した瞬間、キリカは再び飛び出してきた。


「ふっ!」


 先ほどと同じようにレイピアが突き出されたと思った瞬間、キリカは肘が伸びきる前にレイピアを自身の頭の上を通して、手首のスナップを効かせ横一文字に切り付けてきた。


「っと!?」


 予想外の動きに少し反応が遅れたが身を屈め避けた。それと同時に右前に一歩踏み出し、構えていた忍び刀を左に倒す。体の左側に来ていた忍び刀をそのまま逆袈裟に振りぬいた。一応峰打ちにしておいた。


「くっ!」


 峰打ちにする必要はなかったようだ。キリカは大きく横に跳び、忍び刀の範囲外に逃れていた。


「やっぱり、なかなかやるね!」


 キリカの目が輝いていた。何故だ。


「久しぶりに燃えてきたぞー!」


 燃えなくていい、燃えなくて。

 そんな俺の内心の突っ込みを無視して、キリカは構えを取った。


「はぁ……」


 俺はため息をつきながら、頭の中ではどのように負けようかということだけを考えていた。





   ✛





 あの後、五分間ほどキリカの攻撃を避け、時には受け流しとやり繰りしていたが。


「はぁ……はぁ……」


 俺は肩で息をしていた。まぁ、演技なんですけれど。

 俺が描いたシナリオは、疲れてしまい集中力が切れたところで、キリカから一撃もらい負ける、といった内容だ。

 結局、俺自身が描いたシナリオ通りに模擬戦は終わりを迎えた。


「ユリィ君、お疲れ」

「お、お疲れ様です……」


 ここでも疲れたことをアピールしておく。

 これで俺の評価は体力に難有りとなって高いランクにはならないだろう。


「二人とも、お疲れさん。お前さんはここで少し待っててくれ」


 ギルドマスターは俺の肩を軽く叩きながら、キリカを連れて訓練所のロビーに行った。

 そして十分程経った頃、二人は戻ってきた。


「お前さんのランクを発表するぞ」

「早速ですか」


 俺はドキドキしながら、ギルドマスターの言葉を待った。


「お前さんはDランクだ。これでようやくお前さんも登録が終わったな」


 俺は内心ガッツポーズを取りつつ、喜びの感情を外に出さないようにした。


「Dランクかぁ……」


 ぼそっと呟いた言葉がキリカにはどう聞こえたのか、突然フォローをし始めた。


「いや、でもユリィ君てば魔法は使ってなかったし、その気になればすぐにでもランクは上がるよ、うん!」


 一応キリカに礼を言っていると、ギルドマスターは何かを思い出したのか、声をかけてきた。


「そういや、まだお前さんには名乗ってなかったな、俺はハシムだ。グランのギルドマスターをやってる。これからよろしくな」

「はい、よろしくお願いします」


 そう言って、差し出された右手を握り返した。

 この日を持って、ようやく俺のギルド登録は正式に終わることが出来たのだった。



  

 

 何気なくアクセス解析を見たところ、総合PVが二万を超えておりました。

 

 正直目を疑って三度ほど確認してしまうほど、驚きました。

 

 まだそんなに話数があるわけでもないのに、本当にありがとうございます!これからも、少しずつですが更新していこうと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。



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