【半神】と【READ】について
今回はいつもよりちょっと長いですね、でもこの世界の深堀の話なのでよろしくお願いします。
部屋に戻った俺はとてもとても疲れていた、うん、すっごく疲れたな、割れた窓から吹く風が──寒っ!
そして部屋で大人しくしているようにと言われて早1時間、社長達が呼びに来た。
「あー、春八君いるー?」
だが社長達がそこに来てからはもう───
「春八君!?」
遅いだろう
やっと………やっと来た………寒かった……
────────────────────
「いやー悪かったよ」
「いやほんとっすよ」
社長は笑いながら車に乗り込む、既にニネちゃんは車に乗っていたようだ。
「今から会社に戻りたい気持ちがあるが──春八君は【READ】からお呼び出しだ」
「え、普通に嫌だな」
【READ】出てまだ3時間も経ってないよ
って事で俺だけ戻ってきましたとさ、
ロビーで案内役が来るって言ってたけど……誰やろ
そう考えていると人混みの中から1人の凛とした女性がこちらに歩いてきた。
「お待たせしました、私【READ】【トランプ】直属の1等白銀命華上等管理・護衛官、朝見川初夏と申します」
目の前で細身な女性がお辞儀をする
肩書き長くね?そんな役職あんの?白銀命華ってカッコイイな
「こちらこそ宜しくお願いします、えっとぉ自分の名前は──」
「渋川春八様ですね、先にお聞きしております」
おお、名乗らなくてもいいのか
なんでこんな事に感心してんだ俺
「早速ですがこちらに」
通されたのはエレベーター、2人で乗り込むと、朝見川さんがボタンの下にある非常用ボタンの蓋を開ける、そして非常用ボタンを摘み、ダイヤルのように回し始めた、すると非常用ボタンがパカッと開き、その開いた穴に鍵を入れ、回すと───
ってか手順多いいな!
階数が書かれているデジタル板がバグり、
『【トランプの王国】へお送りします』
と、上のアナウンスがなる、
てか【トランプの王国】て
チンッ!とエレベーターが着く音がした
「ではこちらへどうぞ」
とりま朝見川さんについて行くと大きな扉の前に来た
どうぞと朝見川さんが扉を開ける
するとそこは広いのか狭いのか分からない部屋だった、回りは漆黒で壁があるのか無いのか分からない、そしてその部屋の中央に楕円の机が置かれていた、もう何人かは席に着いている。
うーーーーん、何この悪の秘密結社感
とりあえず空いている席に座る、んで前の人を見ようとしたが見れない、物理的に、なんかこの人だけパーテーションみたいな黒いカーテン引かれてるんだけど、カーテンの中には人の気配がするからいるんだろうけど………。
ガチャっと背後で扉の閉まる音が聞こえた、そして暗く、顔は見えないが1人の男の人が歩いてきているのがわかる。
「全員揃ったかな?」
声からして若い感じがするが───
男は楕円の1番端っこ、つまり俗に言うお誕生日席のポジションに座った。
つまるところ彼がここを仕切る立場の人間なのだろう。
「それでは───会合を始める」
一気にピリッとした空気になる。
そして彼が次に紡ぐ言葉は────
「春八君コンニチハ」
─────と、
何挨拶にシリアスの雰囲気出してんねん
「コ……コンニチハ…」
一応挨拶しないと失礼だしな!
「ソレデハ春八君、ナニカシツモンハアルカナ?」
急に質問枠来たな、こういうの最後な気がするが──せっかくの機会だ、聞けるだけ聞いてみよう。
「ア、ハイ、エットォ、今オレガマモッテルニネちゃんハナンデ狙ワレテルンデスカ?」
「彼女ニハ【ホワイトBOX】トイウモノガカラダにハイッテイルンダ」
「【ホワイトBOX】?」
「【ホワイトBOX】ハ『無白の本』の集合体……ツマリナニモカカレテイナイ本ガ突然集マッテ出来タ空白ノブッタイダ」
「ソレガナンデ?」
「『空白』ダカラコソホカノ本ヤ概念ヲトリコモウトスル………別名【白いブラックホール】ダ、マア奴ラガ求メテイルノハその力ダナ、ソレ自体ガ危険物ダ」
「モシソノ【ホワイトBOX】ガ完全ニ本トカ概念ヲ吸ッタラドウナルンデスカ?」
「【ホワイトBOX】ハ黒色へ変色シ、【ブラックBOX】ニナル、」
「ソレノドコガ危険ナンデスカ?」
「考エテミテクレタマエ、ヨク分ラナイ概念ノ集合体ダ、何ガ起コルカワカラナイ、シカモ凄マジイエネルギーノ塊トモ取レルカラネ」
「ナルホド?デ、ナンデソンナ物ガニネちゃんの────」
「あの、」
急に隣の席から声がかかる
「?」
「?」
「いや、お2人共なんでキョトンとしてるんですか、ずっとなんでカタコトで喋ってるんです?」
え?カタコト?マジ?
「アー」
本当だ!
「アー↑ァー↓あー、よし、戻った」
「本当だ、我々は今までカタコトで喋っていたのか!?」
「気が付くのが遅いですよ」
隣の席の人をよく見ると、一発で顔面偏差値バグってんなぁとしか言えない美男がいた。
「先程の質問だが、我々も何故ニネ嬢に【ホワイトBOX】が発現したのかは分からないんだ、それも含めて【READ】で引き続き見ていくつもりだよ」
「あの、【ホワイトBOX】の事は本人は知っているんでしょうか」
「いや、伝えていない、だからこの事を知っているのはこの席に着いていた者と【READ】のトップの3人と社長さんとその秘書の深見さんだけだね」
そなんだ…………
リアクション薄!俺!
「それで、秘書兼護衛という役割を俺にですか……」
「ああ、後君の【迦楼羅】とやらも気になるからね、【神話クラス】はとても貴重でね、サンプルとなる者が少ないんだ」
なるほどね、色々分かってきたわ──────
ん?
この事を知っているのはこの席に着いていた者と【READ】のトップ3人と社長さんと深見さんだけ───
この席に着いていた?
ふと周りを見渡すと俺含め目の前の黒カーテンの人と仕切ってる男の人、んで美男、後3人くらい───7人だ、
で、何故かこの机の周りに空きの椅子がもう13席ほど───
「気づいたか?」
俺がいきなり周りを見渡したからか、仕切りの人が聞く、
そうだ、秘密を知ってるのは限られた者のみ、で、何故襲って来る奴はニネちゃんに箱がある事を知っているんだ───?
そこから来た答えは───
「裏切り──ですか?」
「その通りだ、ニネ嬢に【ホワイトBOX】がある事が分かった途端、いきなり10人の幹部が突然【READ】を離れた────」
なるほどな、だからか、こんなに怪人が襲ってくるのは
「ところでふと思ったんですが、俺は今まで生きて来ましたが、怪人とか大規模な亀裂なんて聞いた事も見た事も無いんですが──」
「ソレが【READ】の仕事だからだ、【READ】は世界中に会社が置かれていてね、ここが日本本部社なんだがね?世界で起きている【アクセッサー】の事件や大規模な【本】に関する事故や事件を表世界から隠蔽するための組織だ、だから新聞社やテレビ局には規制して貰っているんだよ、まあ実際どの国の政府も【本】や、【アクセッサー】、【半神】の事なんかコレっぽっちも知らないだろうが」
「その、【半神】ってなんですか?」
めちゃめちゃ質問しちゃってるけどこの際だから聞いとこ。
「ああ、【半神】はね、我々もよく分からないが、まあ、宇宙人的な見方をしてもらってもいい、しかし、こんな記録が残っているんだ、この【READ】を設立した4人のうちの一人が昔に【半神】と対話した時の記録だ」
そう言うと、仕切りの男が楕円の机の縁に手をかける、そして数回操作すると、楕円の机の中心に四角い機械のようなものが出てきた。
もうこの技術とかどうなってんだよ………。
カチッとスイッチを押すと、ピーと機械音が鳴り、数秒後、
『ああ、ちょっと待ってね……………、もう1回言ってくれるかい?』
優しい男性の声が機械から聞こえてきた、どうやらこのレコーダーを設置したようだ。
『我々は次の統一神になる為に王冠を集めている』
すると、あの【天使】の時のような人間では無い声が聞こえる。
『統一神とは?』
『統一神とは我々──、お前らから【半神】と呼ばれている種族を創り出した存在だ、まあお前らが言う【半神】と言うのはあながち間違ってはいない』
『と言うと?』
『我々は生まれながらにして次の統一神の候補者だ、だから未完全のまま産み落とされた存在、そして統一神にならなければただの塵の存在だ』
『うーん、塵では無いと思うなぁ』
『何故だ』
『だって君たちは僕らよりも高度な生命体じゃないか、だから君たちが塵ならそれ以下──未満の生命体の僕らは塵ですらないじゃないか』
『うーむ、それもそうだな』
『【半神】、ねぇ、僕らはこう呼ぶしかないけど君たちはとても強い生き物だよ、だから、君たちに【半神】は似合わない、だから、これからは【半神】って名乗らないか?』
『ウェー……バー?』
『そう、【半神】、君たちは波だ、宇宙の波に乗ってきたからね、しかもこの世界に新しい波をもたらしてくれたからね!』
『【半神】………、中々に良い響だ』
『それは良かった、あ、それと王冠って?』
『統一神の力の一部だ、我々はソレを3つ集める事で統一神に成れる、そして──その内の一つがこの地球に落下したのだ、地球人には申し訳ない事をしたな、落下した事によって地球内の概念が地表に出るとは……』
『ああ、まあそんなモノが落下したら弾けるだろうね』
『そのせいで地球を混乱させてしまっだろう……』
『まあしょうがないよ!落ちてきたものはものでね』
『うーむ』
『じゃー、最後に、もし統一神に成れなかった【半神】はどうなるの?』
『分からない、そのままなのか…塵になるのか……はたまた宇宙の波になるかな』
『はは!やっぱり面白いな【半神】!』
プッ
そこで録音は終わった。
なんか……なんかヤバイな、神って何ぞやって哲学入るわ。
「まあ、我々は今は【半神】には近づかないようにしている」
「なぜです?」
「何もしなければ害のないヤツらだからな、余計な刺激は与えない方向だ」
「わかりました」
とりまあの【天使】には近づかない方がいいな。
「そう言えばここに俺を呼んだ理由はなんですか?」
本題って自分で言っていいものだろうか……、まあええか。
「あ、そうだった、君達には悪いが君たちの方でも箱を狙う輩を見つけて欲しいと思ってね、危険は伴うがな」
「なるほど……、分かりました、検討してみます」
「ああ、助かる」
そしたらチームみたいなの欲しいなぁ、カッコイイし。
「まあその事しか聞くつもりはなかったがね、長くなってしまって申し訳ない」
「いえいえ、こちらもだいぶ知らない事を知れたので助かりました、」
帰ろうとした時、仕切りの男性が近づいてきて耳打ちをした。
──────────────と。
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あ、後、質問あったらどんどんよろしくお願いします、ここ分かりずらいー、とか、詳しくー、とか言っていただけるとそれに出来るだけ答えたいので(答えられる範囲で答えます、後書き等で答えます)