伊成琴美の想いともう一つの要件
そろそろストックがやばい...そして休みが明ける....いやだぁぁぁ.......
それではどうぞ
「お付き合いしてください、神崎直人さん」
「............よし、最古参リスナーだから俺の放送事故とかの格好良くない部分も含めて全部知ってるし、なんなら学校の誰よりも俺のことに詳しいと思う。だから、前向きに考えさせて欲しい。でも、今軽率に返事は出来ない」
「違いますよ」
「え?」
自分なりの返事を言い終えると、伊成さんははっきりと違うと言った。何が違うんだ?
「私は”神崎直人“が好きになったから告白したんです。そこに“神凪真人”っていう今話題の有名配信者は関係ありません」
あぁ、そういうことか。“神凪真人”という有名人としての俺じゃなくて“神崎直人”という一般の高校生として好きになったってことなんだな。
「........ありがとう、伊成さん。本当に前向きに、考えさせてもらうよ。でもまだお互いの事を知らなすぎるから返事は待って」
「それでこそ私が推していた人の中の人ですね、あ....ついでなのでもう一つお願い聞いてください」
言い直した返事を聞き終えた伊成さんは、また別の要求があるらしい。今度はなんだって言うんだ?
「.....正直休ませてくれって言いたいけど、聞くよ。何?」
「私、真人君のことが好きすぎてVtuberになりたいんです!原案は考えてあるので立ち絵や2Dでのアバター、一緒に作ってください!!」
「.......はい?」
再び思考が止まった気がする。だが今回も仕方ないと思う、まさか伊成さんが配信者になりたいというなんて思いもしなかった。
「今、私は今神崎さんからお付き合い出来る可能性が高いと言われました。なら次は神凪さんの方です。2Dアバターを作ってVtuberになってコラボ配信をするという夢を叶えたいんですお願いします!」
「..................」
伊成さん...いや、ミコトさんの論法がわかるようなわからないものになってる...リアルでの俺と付き合えるみたいだから次はバーチャルの、“神凪”としての俺と付き合う...というかコラボする為にVtuberの世界に入る....?ダメだ、納得いく気がするけど理解できない。
「おーい?神崎さん?」
「ああごめん、伊成...いや、ミコトさんの愛が重過ぎてちょっと困惑してた。えっと...Vtuberになりたい、だったね?原案がよく出来てるなら今度2人で煮詰めてその子を作ろうか、応援するよ」
1分近くが経った時、やっと自分が声をかけられている事実に気付いて返答を返した。多少難しくはあるけど原案があるならキャラを作るのは楽だ。他にも一筋縄ではいかない部分があるけどそこは後々決めれば良い。
「ありがとうございます神崎さん!大好きです」
「.......ありがとう」
屈託なく笑って大好きなどと言われてしまうと顔に熱が集まってしまう...いつも言われ慣れてるはずの言葉が何でこんなに恥ずいんだよ...
「これで要件は終わりです、お時間を取らせてしまってごめんなさい。それではまた明日!」
「ミコトさん待って」
「ふぇ?」
話し終えたらすぐにそそくさと帰ろうとしてしまう伊成さんを俺は呼び止めた。相手は見ず知らずのファンじゃない、ただの同じ学校に通うクラスメイトだ。なら、良いよね?
「俺の秘密を知られたわけだからさ、とりあえず....連絡先交換しない?」
「良い...んですか?」
俺の提案に伊成さんは目をパチクリさせた後首を傾げながら遠慮がちに確認してくる。...なんか可愛いな、って違う!何急に見惚れてんだ俺!
「え?あぁ...君はSNSで晒したりしないでしょ?」
「晒しませんけど...」
普通ならもっと警戒するべきなんだろうけど、彼女がどんな人かは今日のやりとりでもう十分わかっていた。だから、本当に軽く確認だけしてスマホを2台取り出した。
「それじゃ、仕事用と生活用、両方交換しとくか。どうせいつか一緒に仕事するし」
俺は自分の性分から公私混同を絶対したく無いと思い、この仕事...というか趣味を始めた時に配信でプレーするゲームのみを入れるスマホを買って連絡先も新しく作ったから普段からスマホを二つ持ち歩いている。
あぁそれと、仕事用のスマホの通信料金は自分で払っているから別に親に迷惑をかけているわけでは無いぞ?
「じゃあ...私もいつか仕事用?のアカウント作りますね?」
「おう、お願いするよ。軌道に乗ったら仕事用の通信機器を買うのもおすすめだぞ?色々バレる危険が少なくなる」
本気で配信者というエンタメの職業を行うなら芸能人と同じくらい個人情報を厳重に管理しろ、活動の場がインターネット内であるなら尚更だ....とある人に言われたことを思い出して俺がそう忠告すると、伊成さんは目を丸くしていた。
「ふふ、それはまだ少し先の話ですね。でも、神凪さんがそう言うなら早めに買います」
彼女は少し考えるように固まったが、直ぐにいい返事を返してくれた。ここで神凪さん...と言うあたり公私混同をせず配信者の先輩としての言葉だとわかってくれたみたいだ。
「じゃ、これで本当に用は終わったね」
「本当にありがとうございました。また明日もよろしくお願いしますね?神崎君」
「....目立たなくいたいから程々にしてくれよ、伊成さん」
今度もちゃんと呼び方を直して別れの挨拶をされる。.ここまで公私混同せずに接してくれるのか....結構良い配信者仲間になれそうだ。
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