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伊成琴美の要件

1/3 日間ランキング76位になっていました。皆様、評価ありがとうございます。


まだもう少しだけ毎日更新が続きます。

「クラスで空気やってる俺と新入生である君が一緒にいると色々面倒だから、屋上に連れて来た。他意は無い」

 

今日の授業が終わり、伊成さんに群がっていたクラスメイト達が全員いなくなったところで俺は伊成さんの希望通りに時間を作り、話すために屋上に来ていた。

 

余談だが、俺の通っているこの高校は屋上は開放されているがベンチなどもないため利用者があまりいない。独りでいる場所が欲しい場合はとても有用な場所となっている。

 

 

 

「ええ、分かってます。要件は3つあるんですけど、良いですか?」

 

伊成さんは静かに微笑むと、俺に“長い時間が掛かりますよ”という宣言をして来た。...帰りたいです

 

「何がすぐ済むだよ....思いっきり時間かかるだろ」

 

「一つ目はこれです。貴方のですよね?走り去ってしまった後に落ちていたので拾っておきました」

 

「あぁ...落としてたのか」

 

俺のぼやきを柳に風と受け流した彼女は淡々とそう口にすると、生徒手帳をブレザーのポケットから出して手渡してくる。....最初の要件これって、と言うかこれならいつでも渡せたろ!....落ち着こう。

 

 

「私が通う予定だった学校のもので驚きましたよ」

 

「...そうだろうね、ありがとう。続けて?」

 

心底可笑しいといった様子で笑う彼女を見ていると毒気を抜かれてしまう。

....もっと自然体になっても良いのかもな。

 

「2つ目の似たようなことですけど、貴方が渡したままにしたお菓子類、どうしたらいいでしょう?」

 

 

「.............好きにしてくれて良い、俺が忘れたのが悪いし、どうせ少し君に渡す予定だったから」

 

正直そこは聞かないで欲しかった....めちゃくちゃ恥ずかしいわ、返せなんて絶対言えねえ。まあ返してもらう気ないけど。

 

「何故ですか?」

 

...そう来るかよ。予想がついてなかった。...まぁ理由を言うくらいどうってことないか。

 

「嫌なことがあったら甘いものを食べて幸せな気持ちになるのが良いんだよ、今回みたいに怖いことがあったら安心出来る人と食べるのがもっと良いけどな」

 

正直とてもカッコつけで、臭いセリフだとは思うけど、俺は配信者だ。こんなセリフは言い慣れてる....ことも無いな、ちょっと恥ずかしい。

 

「ふふ、貴方って本当に...」

 

「どうした?」

 

俺が理由を言ってから、伊成さんは急に満面の笑みを浮かべてこっちを熱を帯びたような目で見つめて来た。なんで?

 

「気付いてないんですね?そのセリフ、一年前の一周年記念の雑談配信で神凪真人さんが言っていた嫌なこと、怖いことの対処法そのまんまですよ?」

 

「.....!!」

 

困惑した表情を見せていると彼女は理由を教えてくれるが、それが俺=神凪真人だと言うことを確信したから、というもので俺は思わず後ずさってしまった。....配信者にとって身バレは死、配信者人生が終わるかもしれないのだ。逃げたとしても俺は悪くない。

 

「逃げないでくださいお願いします。中の人の情報なんて晒したりしませんから。まぁでも、この反応を見れば貴方が神凪真人さんですか?って質問をするという3つ目の用事は無くなりました。でも、今別の用事が出来ました」

 

 

「この際だ、言ってみてよ」

 

覚悟を決めよう。相手は俺の最古参のファンだと言ってくれた人だ。多少の要求は飲んでも良いだろう。

 

「神崎直人さん、いえ、今に限っていえば神凪真人さんといえば良いでしょうか?どちらにも言いたいことがあるのでどちらでも構いませんが」

 

「?」

 

言いたいことがわからない...呼び方で変えることなんてあるのか?

 

「神凪真人さん、私はミコト、貴方がデビューしてからファンであり続けて来たファンの1人です。実際にお会いすることが出来て光栄に思います。これからもずっと、推していきますね?」

 

彼女はとても晴れやかな顔で挨拶をして、応援の言葉をくれた。

 

伊成さんがミコト?.....伊成さんの名前は琴美だし、アナグラムしていけばミコトになるのか、やっと理解した。応援のお礼をしなきゃいけないな...何言えば良いんだろ...

 

「そして神崎直人さん、昨日の今日で私は貴方がどうしようも無く好きになりました。いきなり過ぎるので返事は今じゃ無くて良いですが、いつか私とお付き合いしてください」

 

「え...?」

 

応援に対する感謝の言葉を考えていた俺は、この言葉を聞いて頭をフリーズさせることとなった

 

 

 

作者のモチベーションが向上するので


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