#9話 ~『身体検査』~
王都へ入る前のひと悶着
怪しい門番に後を行くと・・・?
「何をしている?早く見せろ」
(あああ、やっぱり何か必要なんだ・・・)
「わ、私あの今旅をしていて、その・・・それ!落としちゃったんですけど・・・」
「?何をだ?ここでやっているのは王都内への持ち込み物の検査だぞ?その袋の中身を早く見せろ、危険な物は持っていないだろうな?」
「え、あっあっ、持ち物検査なのね!わかってる、わかってます!今見せます」
(良かった、ただの持ち物検査か。助かったわ・・・)
「・・・。よし、変わった物はないな。袋の中は大丈夫だ。あとはそれだ、ローブの中を見せろ。だいぶ大きな物を羽織っているようだが、武器などは持っていないな?」
「持ってなんかないです!わかりました、すぐ脱ぎます」
(そんな物持ってるわけなじゃない、この服に収納できる場所なんて無いんだから)
私は門番に言われた通り羽織っていたローブを脱ぎ確認を促す
「これで大丈夫ですか?お願いします」
「・・・!なんだ、その恰好は・・・?」
「え?」
ローブを脱いだ瞬間から辺りがザワつき始める
門番の目の色も変わった、これは好奇の目だ
「おい、見ろよあの姉ちゃんの恰好、だいぶ攻めてるぞ」
「うわ、身体の線ガッツリ浮いてんじゃん。よくあんなもん着れるな」
「おかーさん、あの人へんなかっこう・・・」
「あっちの列に並びましょうか」
(え、え、え?なに?私の服そんなに変なの!?)
今着ている服は母から出る前に貰った戦闘に向いた物
可能な限り無駄を無くし、身体全体にフィットするため可動域も広く動きやすい代物だ
日光は通し難く、内側からの熱は外へ逃がし易い優れもの
確かに身体に張り付き過ぎてラインが浮いてる気がしなくもないが・・・
「・・・。よし、わかった、お前はこっちに来い」
「・・・?わかり、ました」
(どうしよう、まだ王都に入ってすら無いのに目立ってしまった・・・)
門番が私のカバンを持ったまま森の方へ歩いて行く
それ返して欲しいんだけど・・・
「それより、振り向く前のあの眼。悪いこと考えてる眼だった」
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「あ、あのどこまで行くんでしょうか?」
「・・・。」
門番の後を追うようにしてかれこれ15分は歩いている
周りには人の気配もなく、完全に森の中だ
「よし、ここらでいいだろう」
「やっとですか?私早く中に入りたいんだけど」
門番が振り返る
今まで前を歩いていたため気づかなかったが、だいぶ醜悪な顔をしていた
「何を言っている?身体検査の続きだ。そんな恰好は今まで見たこともない、お前はどこから来たんだ?もしかして魔法使いなんじゃないのか?」
門番が迫り来る
「危険人物かもしれん、ローブだけでなくその服も脱いでもらおう。その上での『身体検査』だ」
「あの、私はもうこの服しか着てないから無駄だと思うんですけど?」
私の勘が言っている
この門番は必ず仕掛けてくると
(武器はなんだ?素手か?さあどう来る、初撃はどこだ)
一定の間合いを保つようにして後ろに後ずさる
(リーチは相手の方が上、初撃さえ捕まえてしまえば勝ちね)
「お前、よく見たら綺麗な顔をしているではないか。少し若そうだが十分だ」
(ふーん、顔狙い?相手も一撃で決める気ね、でもそれを口にした時点で貴方の負け)
「なに、初めてだろうと痛くはしないさ。お前が暴れなければな!」
「来る!」
背中が後ろの木に付いてこちらの動きが止まった瞬間に仕掛けて来た
相手は両手を前に構えている
(打撃じゃなくて掴み?まあいいや!)
左足を踏み出し右手で相手の顔に狙いをつけ打ち込む
身体を前に倒し相手からの一撃を避けられるよう意識を集中させる
「なっ!」
一瞬後、私の拳は相手の顔を鋭く打ち抜き
相手の手のひらは私の胸を覆っていた
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「すまなかった、ほんの出来心で・・・」
「私も少し力を強めすぎました、初撃の予測も外しましたし。ごめんなさい」
「俺に謝るだと?女神か、お前は・・・」
殴った門番は膝から崩れ落ち20分ほど気絶していた
目が覚めた後はなぜか私に謝罪し国内へ入る許可証をくれた
「これが許可証だ、これを首からぶら下げていれば大丈夫だ。迷惑をかけた分少しいいやつだ、物なんかも安く買える」
「あら、ありがとう。助かるわ」
これをくれるための試練だったのだろうか?
なによりこれはラッキーだ、王都に入る前から良いことが起きた
「お前、強いんだな。俺は仕掛る気は無かったとはいえ一撃で意識を飛ばされるなんて思いもしなかったぞ。また鍛えなおしだな」
「戦う前のブラフは良かったわよ、私も反応できなかった。胸を狙うっていうのも意外性があった、もし貴方が武器を持っていたら危なかった」
「はははっ!」
唐突に門番が大きく笑う
「武器だと?お前初心すぎるだろ、あーあもったいねぇ。喰っておきたかったぜ」
「これはありがたく受け取るわね、強くなったらまたやりましょう」
「またやりましょう、ねぇ。ダイタンな女だぜ」
地面に寝たままの門番に別れを告げ場を後にする
「お前、名前は?俺は『ジーク』、よろしくな」
「私は【コヨリ】よ、またね」
「本当に武器を持ってなくて助かった。・・・、喰っておきたかったってなにかしら?」
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「わー、ここが王都!広いのねぇ!」
貰った許可証を他の門番に見せたら本当にすんなりと通してくれた
「よし色々見ておきたいけど、ますはご飯ね。腹が減っては戦はできないっと」
食べ物、服、武器、宿、色々確かめなくちゃ
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「おい、見たかよあの女」
「あぁ、一級品だ」
「期待で胸が膨らむぜ」
「てめえらの考えてることは手に取るようにわかる、俺も同じだ」
「しかも田舎者ときた、こりゃ楽勝だな」
「「「「ふふふふふふふ・・・」」」」
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ー残り739日ー




