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[mudai]  作者: とりゅふ
初めての世界
4/19

#5話 ~世界のこと ①~

雨の降り続けるある日の夜

事件が起こりました

「雨、止まないね。お母さん」

「そうね・・・」


お父さんが最後に帰って来てからもう3年

あの日からここら一帯の空気が変わっている


「ご飯はどうする?コヨリ。簡単な物しか作れないけど」

「今はいいかな、お腹が減ったら自分で何か作るよ」

「そう、じゃあお願いね」


お母さんは疲れ切っている

帰って来ないお父さんの身を案じて心労が尽きないみたい


「ねぇコヨリ、今日は一緒に寝ない?」

「どうしちゃったの?お母さん」

「いや、今日は特に冷え込むしね・・・」

伏せてはいるが母の目に覚悟の色が見える


「うん、わかった。何か話たいことがあるんでしょう?」

「さすがね」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あらコヨリ、貴女まだ何か抱かないと眠れないの?」

「いいでしょこれぐらい。何か抱いてた方があったかいしね」


母と一緒に寝るなんていつ振りだろうか

昔はこれが普通だったのに大きくなるにつれて恥ずかしくなってきてしまう


「目を瞑りながら聞いてね。今から話すのはお父さんに頼まれていたことよ。この世界のことと、私たちの置かれている状況についてを伝えるわ」


「この世界のこと・・・」

ずっと疑問に思ってたことがついに知れる

聞いても良いものかとずっと胸に秘めていたこと


「お願い、お母さん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「まず、今私たちの住んでいる世界は【ワタリの世界】と呼ばれているの。遥か昔に私たちのご先祖様方が創り出した【ワタリの秘術】と呼ばれる大きな魔法で多大なる利益を得ていたことに由来するわね」

「【ワタリ】か、聞いたことの無い言葉」

「そう、聞き慣れない言葉よね。お父さんも私もなるべく使わないようにしてたから」

布団の中でゆっくりとした時間が進む


「この世界は大きな地続きの大陸になっていてね、外側から人々の住む世界である【グリーンエリア】、魔獣やかつて栄えていた魔法使いが未だ住んでいるとされている【レッドエリア】、より危険な魔獣が生息し魔法使いですら近づかない【ブルーエリア】」


母の口から淡々と語られる生きてきて知らされてこなかった世界のこと


「そして、悪魔が守護する失われた秘術の地【ホワイトエリア】」


「で、今私たちの住んでいる場所は【レッドエリア】に該当する所でしょう?」

「あら、察しがいいのね。なぜわかったの?」


「察しも何も、家の周り私たち以外誰も住んでないじゃん。今ならわかる強固な結界、これは恐らく魔獣除けのものね」


「あたり」母が小さく告げる


「私たちがこんな場所に住んでいてコヨリにはずいぶん寂しい思いをさせたと思うわ、同年代の友達なんて一人も居ないんですから」

「別に、寂しくなんてなかったよ。ずっとお母さんと一緒に居て家事手伝って、たまにお父さんが帰って来たら魔法の勉強して、楽しかった」


「そう言って貰えると助かるわ。どうしましょうか、まだまだ話したい事、話さなきゃいけないことは沢山あるんだけど、それは明日からにしましょう」


「終わり?なんだか、物足りない」


「ごめんなさい。でも、大事なことだから少しずつね」

「うん、わかった」


「暖炉の火を消すわ、おやすみなさい」


「おやすみなさい、お母さん」


(【ワタリの秘術】、【ワタリの大陸】。それに4つあるエリア。なにがなんだかさっぱり、まだまだ知らないことだらけなんだろうな。もう少し考えてみよ)


「・・・・・・。」

「・・・。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつの間にか寝てしまっていたらしい

一緒に寝ていたハズの母の姿が見当たらない


「・・・!」


感じたことの無いような危機感を覚える

強大な力を持つナニカが近くに居る!


『・・・。』

「・・・、・・・!」


「おかあ・・・さん・・・?」


窓から見える光景に目を疑った

倒れる父と寄り添う母

そして謎の男


「何が起きたって言うの!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一目散に駆け出し裸足のまま外に飛び出す

あんなに降っていた雨がなぜか止んでいる


『ふむ、其方がコヨリか。確かに強い力を感じる』

低く、落ち着いた声

人とは思えないほどに暗く

それでいて大きな圧力を感じる声


「誰?なぜ私の名前を知っているの?」

『アイツから聞いた』

謎の男が父を一瞥しそう告げる


「ダメ!コヨリ!今すぐ逃げて!」


『なに、今すぐには手を下さん。品定めだ。それに、其方を討つのは我の役目では無いからな』

「そんな殺気向けてよく言うよ。お父さんをあんなにしたのはアナタなの?」

いつでも前に出られるように構えを取る


『我を前にして戦う気を失わないか、その勇気称賛に値するな』

「回答と行動によっては行くよ。お母さんとお父さんは私が守るんだから」


「コヨリ逃げて!ソイツは本当に危険なの!」


『あの古の大賢者と呼ばれ敬われていた者どもが今や守護対象か。力を失うとは恐ろしいものだ』


全身から嫌な汗が噴き出て息が詰まりそうになる

コイツを前にしていると平行感覚すら失いそうになる


「それで、ここに来た目的は?」

『目的もなにも其方の父が倒れたのでな、ここまで運んでやっただけよ』


「嘘よ!この奇術はこの世界では見たこともない!カークに何をしたの?」

お母さんが謎の男に向かって焦ったように聞く


『【呪い】だ。あまりにしつこかったものでな、少しの間眠ってもらうことにしたのだ。効果が強すぎていつ目覚めるかは我にも判らぬがな』


「そんな!お父さんが!」


『父を救いたいなら我の元へ来るがいい。その力を我に示し、世界の行く末を救う資格があるかどうかを見せてもらおう』


謎の男が転移用の紋を空に描き始める


「待て!アナタの所に行くもなにも、ここでお父さんを助けてもらう!」

一瞬で自分の身体を強化し大きく跳躍、拳を打ち込む


『成程見事、素晴らしい術の完成度だ』


謎の男が消えていく、間に合わない!


『【ホワイトエリア】、【穴】で其方を待とう。強くなれ、世界を背負う者よ。我とてこの力無暗に使っている訳ではない、目的は其方等と同じ。救世よ』


「・・・!」


謎の男の身体が完全に消え拳が空を切るのと

男の言葉が耳に入って来たのは同時だった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・。」

「お母さん・・・」


「大丈夫よ、お父さんは本当に寝ているだけ。眠りが深すぎて心配になっちゃうけどね・・・」


泣きそうな顔をしている母を見るのは心苦しい

こんなこと生きてきて初めてだ


「お母さん、アイツはなんなの?私を待ってるって言ってた。しかもあの力、ただの人間じゃ考えられないよ」


「こうなってしまった以上もう余裕はないわね、コヨリ貴女に全てを伝えるわ」

「さっきの続きね?」

「そう、改めてこの世界のことを教えます」


「お願い、私にも知る権利があるから」

①です、6話で完結します

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