#4話 ~魔法の才能~
コヨリは14歳になりました
自らの才能を父に問います
こんな朝は大好きだ
太陽よりも早起きで、誰よりもこの世界を見ていられるような気がして
なにより、勉強に集中ができる
「今日はもう少し火力を上げて試してみよう・・・」
イメージはできている
手のひらに意識を集中する
まずは小さな火種を生み出し、それを大きく・・・
自分の手の上でゆらゆらと揺らめく炎に徐々に力を流していく
「決して焦らないこと。少しずつ、少しずつ・・・」
今日は今までで最大の大きさにしたい・・・!
「大きくなれ、大きくなれ・・・。念じながら願いながら・・・」
「できたっ!」
「記録更新だ!あとはこれをいかに保てるk・・・」
「いかに保てるか、だな?コヨリ」
「お父さん!?」
家の天井を少し焼いてしまった
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「もー!ほんとにお父さんったら!娘の秘密の特訓を盗み見するなんて!」
「はっはっはっ!すまないな!なにやら不安定な魔力のゆらぎを感じてな、家を燃やされちゃかなわんから一応見ていたのさ。あと不意に話しかけられた程度で水平を失わないこと」
「見ていたのさ。じゃないの!そう口出しされないようにコッソリやってたのに!」
私の怒りはこの能天気な父には届かないだろう
不機嫌なまま父のことを睨み付けていると
「まぁまぁコヨリ、あなたの言いたいこともわかりますけど、あんまりお父さんにキツく当たっちゃダメですよ?」
そう母が優しく諭してくる
「でもさぁ、お母さん。毎回こうなのよ?ちょっかいかけてきて!」
「ははっ、愛情の裏返しさ」
「それからあなたも、コヨリをからかいすぎないこと」
「わかってるって、ごめんなコヨリ」
「ほんとにわかってるのかしら・・・」
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母の料理を食べ、落ち着きを取り戻した私は父に何気なく聞いてみる
「ねぇお父さん」
「ん?どうしたコヨリ」
「私ってさ、魔法の才能ないのかなぁ?」
そんな私からの質問に父は
「その質問に対する回答は二択だな。慰めか、叱咤か。どっちがいい?」
「もちろん、叱咤。厳しくきてちょうだい」
「OK!」
「まず、コヨリは魔法で何に悩んでいる?」
「悩みというか、上手にできないと思っているのは流す魔力の調節ね。ちょっとでも気を抜くと流しすぎちゃってすぐに暴発するの」
指先から小さな炎を生み出し大きくして見せる
「実はその悩みはな、非常に贅沢なものなんだ」
「贅沢なもの?」
結構な課題だと思っていたのに贅沢なんて言われてしまうとなんだか腑に落ちない
「コヨリの年頃の子たちの悩みと言えば大抵は魔力を流せなかったり、そもそも魔力自体を保有していないなんてものが多いんだ」
「ど、どういうこと?」
わけもわからず聞いてしまう
「簡単に言ってしまえばだな」
「言ってしまえば・・・?」
「・・・。」
謎の沈黙、なんなのよこれ・・・
「簡単に言ってしまえばヘタクソなだけだ、才能は大いにある」
「なに!?今の思わせぶりな沈黙は!普通に言ってよ!」
もう!こんな時までふざけて!
「て言うかやっぱりヘタクソなんだ~・・・」
ストレートな父の一撃に覚悟していたとは言えかなりヘコむ
「そもそも、コヨリは今練習しているような魔法には向いてないんじゃないか?その歳で初歩的とは言え属性魔法を扱えているのはさすがお母さんの娘と言ったところだがな」
「向いてないって言ったって、簡単な魔法の練習なんて第五元魔力のトレーニングしかなくない?それとも秘術に分類されるような魔法ってこと?」
「まぁ、コヨリレベルになってくるともはや秘術と言ってもいいかも知れないな」
父の言っていることがいまいち理解できない
「秘術って、そんな大層な魔法使えた試しないんだけど?」
「なーに、別に火を起こしたりするだけが魔法じゃないさ」
「私には別の魔法が向いてるってこと?」
「そうだ」
「俺の目で見た感じだが、コヨリ。お前は多分【増幅】の力の使い方に長けているぞ」
父から提示された新たなる道に、私は疑問を覚える
「【増幅】?それって、第五元魔力に分類される基礎的な魔力の使い方よね?名の通り魔法の力を強くする、あの【増幅】?」
「あぁ、その【増幅】の力で間違いない。本来はコヨリの言う通り魔法のパワーを高める基礎的な力なんだが・・・」
「なんだが?」
「コヨリの力は使い方と練習次第では【増幅】の更に上、『強化』の段階まで昇華させることができるこも知れないんだ。それが秘術レベルと言った理由だ」
「『強化』。私がそんな力を使えるなんてとても思わないんだけど・・・。実感湧かないし」
私に秘術を扱う力が?
「確かにお父さんもお母さんも凄い魔法使いってのはわかるんだけど、そんな・・・」
思い悩み考え込んでいると母が頭を撫でてくる
「コヨリ、なに思い詰めて暗い顔してるの?確かに秘術はとても強力で扱えるか不安な気持ちだってわかるけど、喜ばなくちゃ。お母さんはそんな力使えるのは羨ましいわ、お買い物が楽になりそうだもの」
優しい母の言葉に少し勇気づけられる
「そうだぞ、コヨリ。物質強化や身体強化は利便性ばっちりでやれることに事欠かない。将来沢山稼げるぞ」
もう、お父さんったらまたそんな下世話な
ははは
「魔法の才能は人それぞれ、なんで私に『強化』の力が」
「でもなコヨリ、一つだけ約束してくれ。その力は、誰か大切な人を守る時に使うって。もちろん、自分の身を最優先に考えてな。それを誓えるなら、『強化』の力の扱い方をお父さんなりに教えよう」
「もう、お父さんったら。守るもなにも、私暴力は嫌いよ」
「それでもな、いつか本当に必要になったらその力を振るわなくちゃいけないかも知れないんだ。それだけは覚えておいてくれ」
「わかった」
まぁ、そんな世界にさせないためにお父さんたちがいるからな!
安心しろ、コヨリ!
(お父さん・・・?)
その時の父の微笑みが、なぜかとても強く印象に残った
「じゃあ、外に行こう。さっそく練習開始だ」
「頑張る!」
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「まず、魔力が身体全体に巡ってい行くのを感じろよ?次に、徐々に身体に力を込めていく。意識するのは身体機能の強化、関節のバネや筋肉の伸び縮み、地面を蹴って飛ぶ真上への力の流れ・・・」
「いや、多いってお父さん!しかもすごい気が散るんだけど」
「とにかく、いくら秘術の力と言えどそこまで融通の利くもんじゃない。魔力の通ってない肉体なんてそのままなんだから、気を抜くとケガするからな」
「わかってる。ちょっと集中して感じてみる・・・」
(魔力の発生源、心臓。そこを中心に身体全体にまんべんなく巡らせる・・・。今回は上に飛びたいから脚を強化ね。腰を落として、伸びバネを意識して。力の流れと呼吸のタイミングを合わせて・・・)
「跳ぶ!」
(すごい風・・・。足に地面の感触はない、私本当に飛んでるの?)
「コヨリ、目を開けて!」
(お母さん?目を、開ける・・・)
「・・・!」
「成功だ」
「すごい!すごい高い!!お父さん、お母さん!これすごいよ!まさか私にこんな力があったなんて!こんなに遠くまで家の周りを見たのは始めてだわ!」
「はしゃぐのもいいが、着地には気をつけろよー。足に意識向けないとケガするからなー」
「わかってるってー!あはははは!」
「あああああああ!高い!落ちる!」
まさかこんな高くまで飛び上がっていたなんて!目を瞑っていたのが失敗だった!
「まったく、世話の焼ける愛娘だ」
恐怖で目を閉じ風を感じていると身体が何かに包まれる
「お父さん!」
「子供を守るのが親の仕事ってね」
一瞬で私の居る高さまで飛び上がり抱きかかえてくれた
「お父さんもこの力を使えるのね?」
「当たり前だろ?お父さんは凄い魔法使いだからな」
そのまま二人分の力が加わっているとは思えないほど身軽に着地する
「危なっかしいな。やっぱり今はそのパワーのコントロールが最重要だな。魔法に流すか物に流すか、その違いだ。基礎練習を繰り返していけよ」
「う、うん!やってみる!」
「・・・・・・。」
「・・・。」
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「さすがですね、お父さん。あの子の才能には感服させられます」
「・・・、そうだな」
「順調と言ったら残酷ですが、私たちの予想を超えるスピードであの子は成長しています。言い換えれば、あの【奇術】の力も強まっていると言う事ですが」
「覚悟の時は近いかも知れないな。私も近々より深くへ行ってみようと思う、アイツと話しをしておきたい」
「どうか、お気を付けて。あの子を悲しませるようなことだけは決してしないで下さいね」
「わかってる。次はいつ帰れるかわからないからコヨリのことは頼んだぞ。それと、時間がある時でいい、この世界のことを教えてやってくれ。私の代わりにな」
「冗談には聞こえませんよ?」
「あの子の力を使わない、その一番の平和な道を歩みたい」
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ー残りXX日ー
第五元魔力→「火」「水」「氷」「電撃」「増幅」
「増幅」は力を高め『強化』となる




