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[mudai]  作者: とりゅふ
初めての世界
17/19

#17話 ~夜③~

「師匠、ありがとうございます。とても深い話を聞けました」

「そっか、なら良かった」


師匠から言われたことを脳内で反芻する

意味がわからない


師匠は僕を仲間とも思ってない?

『力』の意味って?

師匠は自らの『力』の意味を知らない?


「ごめんなさい、話が難しくてあんま理解できませんでした」

「まぁ、無理もないよ。突拍子も無いし、内容も私が勝手に思ってることをがむしゃらに語っただけ。理解は、できないと思う・・・」

「でも・・・」

「でも、知っていて欲しい。貴方がこの話を聞いても私を師と仰ぐなら、私と一緒に来るって言うなら、知っていて欲しい」

「・・・。」


静寂

師匠はそれから言葉を発することはなかった

まるで、僕の判断を待っているようだった


「・・・、お風呂に入ってきます」

「ん?あぁごめん、私だけ勝手に寝るつもりでいたね。うん、行ってらっしゃい」

「はい・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


抱きしめていたハルを解放しその背中を見送る

足取りは重く覇気もない


「そうだよね、いきなりこんな話されたって意味わかんないよね」


手を首の後ろで組み天井を見上げる

俗に言う考えるポーズ


「仲間とも思ってないは言い過ぎたかな・・・」


自分の本心のほぼ全てを語った

力についても、旅の意味も、ハルについても

これを聞いてどう態度を改めるかはハル次第

私を宿から追い出してもいい

そうされたらされたでまた適当にこの世界を見て周るだけ


「寝よ、もう頭働かないや・・・」


身体的疲労は感じない

ほぼ常に身体は『強化』で能力を高めてある

疲れたのは心と身体


「あぁ、抱くものがないから寝付けない・・・。こんなんでこの旅大丈夫かなぁ・・・お母さん元気にしてるかな・・・」


あれ?

ていうかなんで私こんな旅してるの?


「お母さん、お父さん・・・力、誰?なんか思い出せそう・・・お父さん、起きて・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


手のひらを見つめる

これは自分の癖だ


ここにあの時守れなかった皆の無念が宿っている気がする


ここを見つめると勇気を貰える

前に進む勇気を

ここを見つめると覚悟を貰える

復讐のためには手段を選ばないという覚悟を

ここを見つめると思い出す

コヨリ師匠が差し伸べてくれた手を


「師匠、僕は貴方に着いて行きますよ。僕には力を求める意味も奮う意味もある、この意味をいつか見せてみせます・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「師匠、ただ今戻りました・・・」


寝てる

本当に早寝だ


「師匠、僕の方の布団の毛布返して下さい・・・一応まだ夜は冷えるんですから・・・!」


起こさないように慎重に毛布を引っ張っていく

寝ている間は『強化』の力は使っていないのだろうか

あの怪力は感じず少しずつ毛布が抜けていく


「よし、いいぞ。師匠は何か抱いてないと寝れないって言ってたけど、寝付けばもう大丈夫だろう・・・」


スルン


「抜けた・・・これで僕も寝られる」


でも、眠くない

それもそうだ、夜は始まったばかり

いつも自分が寝ている時間にまだ及ばない


「師匠の話ももう少し考えていたいし、素振りでもしていよう」


剣を手に取り基本動作の確認

いざという時に剣筋がブレないようにひたすらに剣を振る

決して鞘から抜かず、剣とも呼べない鉄の塊を

振り続ける


「僕もできることはやり続けよう、復讐の成就のために・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん~、あの人良かったな~。【コヨリ】さんだっけ?この仕事始めてから色んな人冒険家にしてきたけど、単純な魔力でボスに匹敵するような人は初めて見たなぁ」


昼間に書いてもらった申請書に目を通ず


・コヨリ

・17

・砂漠の家

・お金が欲しい

・強化

・料理、洗濯

・危険じゃないもの、簡単なもの

・初級


「歳は17、若いっていいなぁ。出自が気になるけどそれは追々でいっか。一応ボスに報告しておこっと、こんな人が仲間になってくれた私たちの悲願すぐ達成できそう・・・」


「幸い田舎者だ、適当に依頼を紹介しながら信頼されてって徐々に引き込もう・・・あっはっはっは!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  ー残り732日ー

おやすみ

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