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[mudai]  作者: とりゅふ
初めての世界
16/19

#16話 ~夜 ②~

「ねぇハル。アナタは【力を持つ者】、【力を求める者】、【力を奮う者】のどれかな?」

私は指を3本立てハルにそう聞く


「えっ・・・」

「ごめんね、急に変なこと聞いちゃって。でも、大事なことだからさ?」


こんなことを聞かれても困惑するのもよくわかる

でもこれは、本人の口から聞いておきたい


「僕は・・・僕は、【力を求める者】・・・だと思います。今の僕は弱いです。師匠のような力を持っていません、だから奮うこともできません・・・。どんな時だって・・・」

「うん、ありがとう」


布団に横になる

ハルの言葉を聞いてあの話をする決心がついた


「そうだ、ハルもこっち来てよ。私の布団」


掛け布団を開け中に入れとアピールする

ぽんぽんと手を叩く


「えぇ!ちょっとそれはまずいんじゃ!二人で入ったら狭いですし!」

首を横に振り拒絶の意を示すハル

「いーから、私なんか抱いてないと寝られないんだし。言う事聞かないと話ししないよ」

それに対し脅しで応戦する私

「ヒドイ脅迫だ・・・」

折れるハル


こんなやり取りも楽しい

それ故に辛い


ハルがおずおずと足を運ぶ

「失礼します・・・」

申し訳なさそうにといった様子で布団に横になり入ってくる


「さっきまで真剣な感じだったのに・・・」

「私もう寝るし、こっちの方が集中して話できる」

「早寝なんですね・・・」

「その代わり朝は早いよ」


布団に入って来たハルを後ろから胸の部分で抱きしめる

いいサイズ感


「えっ!ちょ!」

いきなりのことに慌てて取り乱すハルを力で抑える

「もう、暴れないで」

「なんて力・・・」

「じゃあ続きね、もう質問はしないから目瞑ってていいよ」


緊張してるのかな

小さくうなづくのを確認して口を開く


(まずいって、お風呂入ってないよ・・・)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここからの話は私個人の思想、思考、倫理観

これが本当に正しいなんてこれっぽっちも思ってない

でも、確かにある心の支え、確かにある折れない芯

それを汲み取って、聞いて欲しい


「私ね『強さ』ってものには、必ず理由があると思ってるんだ。まぁ強さって言っても千差万別、肉体的な強さ、精神的な強さ、経済的な強さ、能力的な強さ、才能的な強さ、色々あるんだけど人一人が持ってる強さには理由があると思ってる」


「で、その『強さ』ってのが言い換えたところの『力』。いつの時代も『力』は【持つ者】と【求める者】と【奮う者】が居る。だから、強さに理由っていうかこの持つ、求める、奮うって行動に理由があるってことになるのかな」


「貴方の前に一回私の話をさせてね。自分で言うのもアレなんだけど、私はこの3つの種類の中だと【力を持つ者】に該当すると思ってる。まぁ、私が凄いんじゃなくてただお父さんお母さんがすごいってだけなんだけどね」


「授かっただけの『力』。別に私が望んだわけでも、望まれたわけでもない。本当に、ただ単純に生まれ持っただけ」


「私は私が持つこの『強さ』に全うな理由があるとは思ってないんだ。私なんかこの『力』が無かったらただの女の子。普通のね。さっきの私の袋持った?重かったでしょ?あれを持てるのだってこの『力』があるお陰、『強化』がなければ持つことすらできない。昼間の件だって、一方的にやられてたと思う・・・」


「そこで、私は旅に出ることにした。私が持つこの『力』の理由を知るために。自分の『強さ』が何のためにあるのかを知るために。変でしょ?そんなもの家を出ただけで見つかるのか、そもそも存在しているのかすらわからないのに」


「そしたらね、出会っちゃったんだ。私を助けようとして我が身も顧みず果敢?無謀?まぁ、とにかく何も考えずに飛び出してきたであろう【力を持つ者】に。でも、その人は自分は弱いと、もっと『力』が欲しいと言っている。自らを【力を求める者】と銘打って」


「すごいよね、その後どうなるかもわからず飛び出して来るんだから。私はそんな人の言葉、態度、空気、眼それら全てを感じて私は思った、”この人はどんな理由があってそんなに強くなりたんだろう”ってね。だから一緒に居ることに決めたの。その言動に危なっかしさを覚えたのもあるんだけど、本当に興味が湧いたんだ」


「あんな場面で他人を助けるために身を挺すことができるのは本当に強い人だけ、その『強さ』の理由も知りたいかな。だからね、厳しい話をするとすれば私は貴方を弟子にしたとは思っていない。仲間とも。ただ出会って、興味が湧いて、どんな人か気になっただけ」


「でも多分これは貴方も同じ、貴方も心のどこかで私を師とは思っていない所がある。心のどこかで暗い感情が渦巻いてる。その感情も同時に知っていけたらいいな、私は貴方をもっと知りたい。昼間見た覚悟の根源を。いつでもいい決心ができたら私に全てを話してちょうだい、そしたら貴方と本当の意味で仲間になれると思うから」


「貴方を通して、私も私のことをもっと知っていきたいから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんだよそれ

僕が強いって?

僕が【力を持つ者】だって?

そんなことあるわけないじゃないか・・・


そんな力があればあの時家族を救えたはずだ

貴女に頼ることもなかったはずだ

自分だけが助かる道を選ばなかったはずだ・・・


復讐のために、貴女を利用しようとすることもなかったはずだ


恐ろしいですよ

そんなことを言えてしまう貴女が

心の底から恐ろしく思う


仲間に、なれたらうれしいです

師匠の『強さ』の理由になれたら嬉しいです


いつか僕の過去を話せたら嬉しいです

次で終わり

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