#15話 ~夜 ①~
宿でのおはなし
大事なおななし
次もあるよ
「師匠」
「なぁに?」
「宿屋を使うにしてもですよ?」
「うん」
「僕と一緒の部屋じゃなくも良いんじゃないですか?」
「えー?値段変わんないって言ってたしいいじゃん」
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宿屋に着いた私たちは早速中へ
1人分の部屋でいいのだがどうやら空きが無いみたいで
どうしようかと悩んでいたら受付の人が
"ボウズの連れだろ?ソイツの部屋なら2人泊れるぜ"
って言うので
「じゃあそれで」
と即答する私と
驚くハル
そして今ーーー
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「じゃあ私お風呂行ってくるね、寝るとこ作っておいてくれると嬉しいなぁ、なんて」
「はぁ・・・」
思わずため息が出てしまった
師匠と宿屋に来たはいいものの、なぜか一緒の部屋で泊まることになってしまった
「『寝るとこ作っておいてくれると嬉しいなぁ、なんて』って、何も気にしないのかな師匠は。一応女性なのに」
部屋に着いた途端に放り出した日中買った物でパンパンの袋を机の上に置く
「重いなこの袋・・・、こんなものずっと持ってたのか。改めてすごいな師匠は」
とにかく寝床を作らねば
こだわりが無いのなら自分のと同じでいいだろう
「一応夜間は冷えるし、毛布を厚めに置いておこう」
手際よく布団を整えていく
狭い部屋に二つ寝台を置いているのでほぼ隣合わせだ
いっそのことくっ付けてしまうか?
荷物の置き場所もないし
「いやいや、それはないだろう・・・」
「はぁ・・・」
師匠を寝床を作り終え、自分の布団に横になる
激動の1日を振り返りながら
(師匠、【コヨリ】さん。自分で頼んでおいてなんだけど、なんで師匠になって欲しいなんて突拍子もない頼みを快諾してくれたんだろう。ほんの少しの間しか顔を合わせてないのになぁ)
暴漢に絡まれ困っている(と思っていた)現場に後先考えず自ら乱入
師匠が強い人じゃなかったらどうなってたんだろうか
(でも、結果として幸運だった。今の自分は弱い、コヨリ師匠のような腕の立つ人の下で鍛錬できるのはまたとないチャンス。あの人から技術を盗み、強くなって、必ずこの手で【あの時の復讐】を成し遂げてみせる・・・!)
自分の手を見つめる
あの時何もできなかったこの手
他者から守られるだけだったこの手
剣を振るうことのできなかったこの手
復讐を誓ったこの手
剣を手に取り軽く振る
嫌な思い出しかない託された刃の無い剣
「こんな感じに何もできなかったあの時を思い出して夜を迎えるのは何回目だっけ。もう覚えてないや。今日も何も手がかりを見つけられなかったし・・・。まぁ焦っても仕方ないんだけどさ」
僕には時間はある
必ず強くなって、【血染めの男】に追いついてやる
(ごめんなさい、コヨリ師匠。まだ、貴女には僕が弟子入りした本当の目的は言えません・・・。言ったら止められそうですし。でも、いつか必ず言いますから)
あんないい人を騙し利用し復讐を成そうとしてるのか自分は
しょうがない、手段は選べない
「力が欲しい、か。自分でも変だってわかる、でもどうして貴女は僕の頼みを引き受けてくれたんですか?なんて・・・」
「そうだよね、やっぱり気になるよね」
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「師匠!?お早い戻りですね!」
「軽く浴びて来ただけだしね」
横になっていたハルが驚いた様子でこちらに振り返る
きちんとベッドが作ってある、感心
「って、師匠すごい恰好ですね・・・」
「そう?なんか変かな」
ハルが私の姿を見てそう言う
家から持ってきた寝やすい動きやすい暑くないの三拍子揃ったお気に入りの服だ
「なんか、下着みたいと言うか・・・。下は長丈ですけど上が・・・」
「下着って、そんなわけないじゃない。失礼ね」
「ご、ごめんなさい」
「ふふ、いいよ別に」
ハルの作ってくれた布団に腰掛け彼の質問に答える
「なんで私が貴方の頼みを引き受けたかが気になるんだよね?」
「あぁ、聞いていたんですね」
ハルが少し驚いた後に申し訳なさそうに呟く
「そんな悲しそうな顔しないでよ。本当は貴方の『目的』ってやつを知ってから本格的に一緒に行動するか決めたかったんだけど、まだ話してくれないみたいだし私から話しちゃうよ」
「ありがとうございます・・・」
ハルの顔から私に言いにくい事情があるってことはよく判る
そのことについて言及するのはまた今度にしよう
「ねぇハル。アナタは【力を持つ者】、【力を求める者】、【力を奮う者】のどれかな?」
【コヨリの情報】その1
寝間着:母お手製の服。肌に優しい素材で作られており、伸縮性・通気性バツグン。上下別れた物であり、上は腕、背中、腹は大胆に露出しており寒い時は寒い。が、大抵その時はもう一枚着る。下は長めのズボン。腰周りの締め付けは強くない。股を大きく開いても裂けないようになっている。製作者の母曰く「昔行った世界でこの恰好を見た。父のウケが良かったのが悔しくてマネした。娘には寝起きの型の練習の時に邪魔にならなそうだったから持たせた。」




