第7話:ライバル?白石かれんの襲来
昨夜の甘い余韻も束の間、学校では新たな嵐が待ち受けていました。
悠真の周りに現れたギャル系美少女、白石かれん。
彼女の「可愛げ」という言葉が、ほむらの完璧なプライドを逆撫でします。
策士二人の新たな企みも加わり、ほむらの嫉妬心は限界突破へ――。
昨夜の停電。暗闇の中で触れ合った指先、重なった鼓動。
電気が復旧した瞬間に、弾かれるように離れてしまったけれど、私の手のひらにはまだ、悠真の温もりがこびりついている。
(「……俺は、今の、ちょっと震えてるお前の方が、好きだよ」)
悠真のあの言葉を思い出すだけで、朝の洗面台の前で私の顔はゆでダコのように赤くなる。
「……落ち着きなさい、近衛ほむら。あれは停電による吊り橋効果の一種よ。……でも、私のことが『好き』って言った。それは事実……!」
私は鏡に向かって、完璧なポーカーフェイスを作り直す。今日の私は、昨日よりもさらに美しく、隙がないはずだ。
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学校。登校するなり、教室の空気がいつもと違っていた。
悠真の席の周りに、派手な笑い声が響いている。中心にいるのは、**【白石かれん】**。
ゆる巻きの茶髪に、短すぎるスカート。校則ギリギリのメイクで、クラスの男子を翻弄する「ギャル系美少女」だ。
「えー、マジで!? 藤原くん、サッカー部の遠征、選抜入りしたんだ! お祝いに今度遊びに行こうよー」
「あ、ああ……。白石さん、近いよ……」
悠真が困ったように笑いながら、少しずつ椅子を引いている。
その光景を見た瞬間、私の中の**【独占欲】**という名の猛獣が、牙を剥いた。
(……白石かれん。よりによって、私の悠真に馴れ馴れしく……。その茶髪、文芸部の墨汁で染め直してあげましょうか?)
私は優雅な足取りで、彼らの輪へと近づいていった。
「あら、白石さん。朝から賑やかね。悠真、……昨日の復習の続き、部室でやりましょうか?」
私が割って入ると、白石かれんは挑戦的な笑みを浮かべて私を上下に見た。
「あ、近衛さん。おはよー。近衛さんって、藤原くんと幼馴染みなんでしょ? でも、あんまり**【束縛】**しすぎると、男子って逃げちゃうよ?」
「……束縛? 誤解しないで。私はただ、彼の成績を心配しているだけよ」
「ふーん。勉強もいいけどさ、もっと『可愛げ』ってやつを磨いたほうがいいんじゃない? 近衛さんって、綺麗だけど……なんか、強そうだもん」
教室にピリついた緊張感が走る。
その時、教室の入り口から「あーあ、やってるねー」と能気な声がした。みもりだ。
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いつものファミレス『デリデリ(Deli-Deli)』。
今日の「反省会」には、珍しくあおばだけでなく、みもりも不敵な笑みを浮かべていた。
「出たね、白石かれん。ほむらの天敵」
みもりが『デリデリ特製ハンバーグ』を突きながら言う。
「でもさ、みもりさん。これって逆にチャンスじゃない? ほむら姉さま、今まで余裕ぶってたけど、かれんさんみたいなタイプに煽られると、本気で『女』を出してくるはずだよ」
あおばはメロンソーダをすすりながら、スマホに新たな作戦を打ち込む。
「作戦名:**【ライバル出現による危機感煽り作戦】**。……お兄ちゃんには悪いけど、少し白石さんと仲良くしてるフリをしてもらおうかな」
「あおば、あんた鬼だね。……でも、いいよ。乗った。ほむらの**【完璧な仮面】**が、嫉妬でボロボロに崩れるところ、最高に面白いもんね」
二人はフライドポテトをクロスさせ、悪魔のような乾杯をした。
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放課後。文芸部室へ向かう廊下で、私は目撃してしまった。
悠真と、楽しそうにスマホの画面を覗き込む白石かれんの姿を。
(……許さない。悠真に触れていいのは、私だけ。悠真の隣に立っていいのも、私だけよ)
私は握りしめたカバンを指が白くなるほど強く握りしめる。
完璧な美少女としてのプライドが、音を立てて崩れていく。
その後に残ったのは、ただ一人の男を奪われたくないという、狂おしいほどの**【執念】**だけだった。
「……見てなさい、白石かれん。パーフェクトガールの本気を、教えてあげるわ」
(第7話・完)
第7話を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ついに登場したライバル(?)、白石かれん。
正反対のタイプに煽られ、黒い感情を隠せなくなっていくほむら。
「墨汁で染め直す」という発想が、すでに彼女の余裕のなさを物語っていますね。
次回、第8話。
嫉妬に狂うほむらが仕掛ける【放課後の罠】とは。
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