表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

第5話:雨の停電。暗闇の中で、触れ合う指先

第4話に続き、第5話の更新です。


外は激しい雨。そして、突然の停電。

策士二人が用意した最高の「お膳立て」により、二人の夜は加速します。


暗闇という魔法の中で、完璧な美少女・ほむらが選んだ「嘘」と、悠真の本音。

二人の境界線が崩れる瞬間を、どうぞ見届けてください。

挿絵(By みてみん)


 窓を叩く雨音が、次第に激しさを増していく。


「……すごい雨だな。これ、帰れそうにないか?」


 悠真が心配そうに窓の外を覗き込む。私は食器を片付けながら、内心で雨の神様に感謝を捧げていた。


(帰さないわよ。この雨も、この状況も、全部味方につけてやるんだから)


「……あら、ちょうどいいじゃない。もう少し、数学の復習ができるわね」


 私が完璧な微笑みを向けた、その瞬間。


 パツン、と視界から色が消えた。


「えっ……? 停電?」


「……みたいね」


 突然の静寂と、完全な暗闇。

 雨音だけが異様に大きく響き、数秒前まで広かったはずのダイニングが、急激に狭い**【密室】**へと変わる。


「ほむら、動くなよ。危ないから。……えーっと、懐中電灯……」


 ガタ、と椅子が引ける音がして、悠真の気配が近づいてくる。

 暗闇の中、視覚が奪われた代わりに、他の感覚が異常に鋭くなる。


 バニラの香水と、彼の体温。そして、ドクドクと波打つ私の心音。


「……悠真、ここよ」


 私は闇に紛れて、わざと心細そうな声を出し、彼の手を求めて指先を伸ばした。

 触れたのは、悠真のTシャツの袖。そこからゆっくりと滑らせ、彼の熱い掌を握りしめる。


「……っ、ほむら。そんなに怖いのか?」


「……ええ。暗いのは、苦手なの。…… ()()()


 最後の一言は、雨音に消えるような小さな声で呟いた。

 嘘だ。私は暗闇が怖くない。怖いのは、このまま何も起きずに夜が明けて、また「完璧な幼馴染み」に戻ってしまうこと。


---


 その頃、駅前のファミレス『デリデリ(Deli-Deli)』。


「きたきたきた! 停電情報! 藤原家の一帯、ピンポイントで落ちてるよ!」


 あおばがスマホの停電速報画面をみもりに突き出す。二人は今、季節外れの「激辛アラビアータ」を完食し、真っ赤な唇でニヤリと笑い合っていた。


「よっしゃ、電力会社の点検作業、意外と時間かかるはず。……みもりさん、お兄ちゃんのスマホ、もう電源切れてるよね?」


「抜かりないよ。さっき『充電器壊れてるから貸して』って嘘ついて、私が預かったまま。ほむらのスマホも、あおばがカバンから抜いたんでしょ?」


 策士二人は、ドリンクバーのコーラで乾杯する。


「スマホなし、明かりなし、大人なし。……これで何も起きなかったら、あいつら一生『おままごと』してればいいよ」


「ほむら姉さまの**【執念】**なら、暗闇をチャンスに変えるはず。……あーあ、私たち、いい仕事しすぎだよね」


---


「……あ、スマホ。充電、切れてる……」


 悠真の困ったような声。私のバッグの中にあるはずのスマホも、なぜか見当たらない。


 暗闇に溶ける二人。

 握った手から、悠真の指が私の指の間に入り込み、指を絡めてくる。いわゆる**【恋人繋ぎ】**。


「……悠真」


「……ごめん。でも、こうしてると、落ち着くから」


 悠真の声が、すぐ耳元で聞こえる。

 暗闇は、普段なら口にできない本音を引き出す魔法だ。私は彼の手を引き、一歩、その胸に飛び込んだ。


「……完璧な私じゃなくても、あなたは、隣にいてくれる?」


「……当たり前だろ。俺は、……今の、ちょっと震えてるお前の方が、好きだよ」


『好き』。


 その言葉が、私のダムを決壊させる。

 私は彼の首に腕を回し、完璧に整えていたはずの髪が乱れるのも構わず、彼を強く抱きしめた。


「……離さないわよ。絶対に。……()()()()、離してあげないんだから」


 暗闇の中で、私の瞳には、獲物を決して逃さない捕食者のような熱い光が灯っていた。

第5話を最後までお読みいただき、ありがとうございます。


ついに重なった指先と、暗闇に紛れたほむらの本音。

「完璧」という鎧を脱ぎ捨てた彼女の執念は、もはや誰にも止められない領域に入りつつあります。


昨日の投稿をお待たせした分、この第5話でほむらの「熱」を感じていただけたなら幸いです。


停電が直った後の二人はどうなるのか。

そして、このまま静かな朝を迎えられるのか……。


続きが気になる!という方は、ぜひ【★評価】や【ブックマーク】で応援をお願いします。執筆の大きな糧になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
残念なことに、こういう肉食系?の女性には出会ったことが無いので、羨ましいというか。 あー、でも一人いたか,,,,って読書の感想ではなく、俺の人生の観想を語ってはいけませんね、失礼。 って前もそうか、失…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ