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第21話:新学期の火花。――ほむらvsエリカ、直接対決!

冬休みが明け、冷たい風が吹き抜ける校庭。


私はいつも以上に完璧な身なりで登校した。背筋を伸ばし、一歩一歩に「藤原悠真の恋人」としての誇りと執念を込めて。


冬休みの「お泊まり勉強会」で、私は悠真の過去を暴き、彼を私の体温で上書きした。けれど、それだけでは足りない。彼の過去に土足で踏み込み、勝手な約束を盾にする神崎エリカ。彼女を排除しない限り、私の心に真の安寧は訪れない。


「あら、近衛さん。冬休みで一段と『重厚感』が増したみたいね」


放課後の廊下。待ち構えていたかのように、エリカが壁に寄りかかって私を呼び止めた。その唇には、相変わらず人を食ったような笑みが浮かんでいる。


「……神崎さん。悠真から聞いたわ。中学時代の、子供じみた『約束』の話」


私は立ち止まり、彼女を冷徹な瞳で見据えた。


「子供じみた? 失礼ね。あれは私にとって、過酷な海外生活を耐え抜くための唯一の光だったのよ。……それをあんたみたいな、箱入りのお嬢様に否定されたくないわ」


エリカが数歩歩み寄り、私と視線がぶつかる。火花が散るような緊張感が走る。


「過去がどうあれ、今の彼は私のものよ。……あなたの席なんて、彼の隣には1ミリも残っていないわ」


「……ふーん。自信満々ね。でも、悠真の『本当の顔』を知ってるのは、私の方じゃないかしら? あんたに見せてるのは、あんたが望む『理想の彼氏』だけでしょ?」


エリカの言葉が、私の胸を鋭く抉る。


完璧でありたい私と、それを窮屈に感じているかもしれない悠真。その隙間を、彼女は的確に突いてくる。


その頃、いつもの『デリデリ(Deli-Deli)』の窓際。


「……きたきた! 廊下でのキャットファイト(直接対決)! みもりさん、これ動画で押さえたらバズるよ!」


あおばがスマホの録画ボタンを押し、みもりが隣でポテトを齧りながら戦況を分析する。


「……エリカ、いい攻めだね。ほむらの『完璧主義』という弱点を突いてる。……でも、あおば。ほむらはそこで折れるようなタマじゃないよ。……ほら、見て」


みもりが指さした画面の中、ほむらの口角が微かに上がった。


「作戦名:『()()()()()()()()()()()()()()()()』。……ほむら、あんたの執念を見せてやりなさい!」


「……理想の彼氏? ええ、そうね」


私は一歩も引かず、エリカの耳元で囁いた。


「でも、その理想を形作っているのは、私の圧倒的な(しゅうねん)よ。……あなたがいない数年間、彼の隣で笑い、彼を支え、彼を私なしではいられない身体にしたのは、私。……過去の記憶なんて、今の私の『実在』には勝てないのよ」


「……っ」


エリカの表情が、初めて強張った。


「神崎さん。……悠真の隣に立ちたいのなら、どうぞ、やってみて。……ただし、私の執念を越えられる覚悟があるならの話だけど」


私は彼女を置き去りにして、悠真が待つ部室へと歩き出した。


カバンに揺れる、お揃いのキーホルダー。それが私の勝利の証。


けれど、背後でエリカが低く呟いた言葉を、私は聞き逃さなかった。


「……分かってないわね。悠真は、あんたが思っているよりずっと、脆いのよ」


冬の嵐は、まだ去ってはいなかった。


(次回予告)

次は第22話、「揺らぐ信頼。エリカが仕掛けた巧妙な罠」

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