第13話:初めての登校。――完璧な彼女と、不器用な独占欲
いつも応援ありがとうございます!めびうすワークス代表のまりもちゃんです。
連続投稿、第13話からはついに「恋人編」がスタートします!
文化祭という大きなイベントを乗り越え、ついに「彼女」という公式な称号を手に入れたほむら。
朝の校門、いつもの通学路。
景色は昨日までと同じはずなのに、隣を歩く悠真との距離感は劇的に変化しています。
「完璧な美少女」が「完璧な彼女」として振る舞おうとする、少し空回り気味で愛おしい独占欲をお楽しみください。
「……よし。今日から、私は悠真の『彼女』」
午前六時。鏡の中の自分は、昨日までと同じ完璧な姿。けれど、胸の奥で鳴り響く鼓動は、昨日までとは決定的に違う。
昨日、文化祭の雨の中で交わした約束。
私はついに、悠真という名の、世界で一番欲しかった宝物を手に入れたのだ。
「……ふふ、ふふふふ……」
思わず頬が緩むのを、冷たい水で無理やり引き締める。
今日からは「完璧な美少女」に加え、「完璧な恋人」として、彼の隣に君臨しなければならない。
*
校門の前。いつものように悠真が待っていた。
けれど、私の姿を見つけた瞬間の彼の顔が、昨日までよりもずっと赤く、視線を泳がせているのを見て、私の独占欲が甘い疼きを上げた。
「……おはよう、悠真。……私の、彼氏さん」
「……お、おう。……おはよう、ほむら。……その、……似合ってるぞ、今日の髪型」
たったそれだけの言葉で、私の理性が吹き飛びそうになる。
私は周囲の目を気にすることなく、彼の腕に自分の腕を絡めた。
「ちょっと、ほむら!? 学校だぞ!」
「いいじゃない。私たちは、昨日『約束』したんだもの。……それとも、私に触れられるのは嫌?」
上目遣いで覗き込むと、悠真は「……嫌なわけないだろ」と小さく呟いて、観念したように私の手を握り返してくれた。
教室に入った瞬間のどよめきを、私は優雅な微笑みで受け流した。
「……ねえ、見た? 近衛さんと藤原くん、手、繋いでなかった?」
「マジかよ、あの『高嶺の花』がついに……」
ざわつくクラスメイトたち。その中で、一番に駆け寄ってきたのは白石かれんだった。
「近衛さーん! やったじゃん! 昨日の後夜祭の後、なんかあったでしょ?」
「……白石さん。ええ、正式にお付き合いすることになったわ。……だから、これからはあまり悠真に近づかないでくれるかしら?」
完璧な笑顔のまま、私はかれんを牽制した。
「わー、怖っ! 独占欲全開じゃん。でも、おめでと!」
*
その頃、いつもの『デリデリ(Deli-Deli)』のランチタイム。
「……見た? モーニング・校門・ランデブー。ほむら姉さま、もう隠す気ゼロだね」
あおばが、新作の『デリデリ・デラックスバーガー』を頬張りながら、タブレットに記録を入力する。
「……『付き合うまでは策士が必要だけど、付き合ってからは制御不能』。……みもりさん、これ、私たちの出番、もうないんじゃない?」
みもりはアイスティーを飲みながら、窓の外を眺めて不敵に笑った。
「甘いよ、あおば。ほむらの性格からして、これから『初デート』『クリスマス』……イベントごとに、ありえないくらいの重圧を悠真にぶつけるはず。それを中和して、適度なカップルに保つのも、私たちの重要な任務でしょ」
「……あはは、確かに。作戦名:『恋人生活・ソフトランディング』。……まずは今週末の『初デート』、私たちがプロデュースしちゃおうか」
二人の策士は、ハンバーガーを掲げて、新たなる「戦い」の始まりを祝した。
*
「……悠真。放課後、一緒に帰るわよ。……寄り道も、していいわよね?」
授業中、回ってきた悠真からの手紙(という名の数学の質問の裏)に、私は力強く『YES』と書き込んだ。
完璧な彼女。
けれど、その実態は、彼の一挙一動に一喜一憂し、誰にも彼を渡したくないと願う、一途で重たい一人の女の子。
「……覚悟してね、悠真。私の愛は、昨日までよりずっと、深いんだから」
(第13話・完)
第13話をお読みいただきありがとうございました!
ついに学校公認(?)のカップルになった二人。
朝から腕を絡めたり、かれんを笑顔で牽制したりと、ほむらのブレーキが完全に壊れ始めています(笑)。
一方で、悠真も照れながらも彼女を突き放せない、甘い空気が漂う朝となりました。
そして、やっぱり黙っていないのが妹たち。
「デリデリ」で新作バーガーを頬張りながら、早くも「初デート・プロデュース」の作戦を練っています。
彼女になったほむらの暴走を、あおばとみもりがどう「ソフトランディング」させるのか。
次回、第14話「初デートは戦場!? 策士たちの遠隔操作」。
二人の初めてのデートは、やはり一筋縄ではいかない予感……!
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