14 聖女は果たしてスゴイのか
そんなことやってたらユフィーが豚車に入ってきた。
「あれ? ノゾミ、お眠なの?」
言いながら座ると俺を膝に乗せる。
ああ~、布越しでもむにゅんとして気持ちいいふともも。これぞ癒しだ。
「ちょっと騒がしかったから二人で遊んでると思ったのに」
一緒に遊びたかったのか。かわいい。
だけど、外まで響いていた声は死闘の雄叫びなのだよ。
まあ、俺のTKO負けだけど。
「そんなことよりユフィー。もう話し合いはいいのか?」
「うん。基本的には騎士たちがこれまで通り豚車の前後を護衛しながら進んで、対処できない魔物や盗賊が現れたら私も行くわ」
なるほど。ユフィーさんは用心棒の先生扱いね。
となると、何もなければ一緒に豚車にいられる訳だ。
アナスタシアと二人きりでは、いつまた殺し合いが始まるか分かったもんじゃないからな。
豚車内の顔面偏差値も平均にすればトントンだ。
俺とアナスタシアの最強マイナスを帳消しにしてくれる美少女。
太ももを枕に見上げれば、そそり立つ双丘もお見事。ユフィーマジ天使。
とか思ってたら悪魔が口を開きやがった。
「そう言えばユフィーさん。今更ですが、あなたは黒竜山脈へ行く予定だと話されていましたが、どんな御用事でしたの?」
「あ、それはですね」
そこでユフィーがこれまでのことをアナにざっくりと話してきかせる。
聖女アナスタシアは彼女にとって信頼出来る相手らしく、これまでの経緯、婚姻騒動まで話している。
俺には敵だがな。
「まあ、そんなことが……」
一通り聞き終えると、アナスタシアは感慨深そうに反応した。
「貴族というものは昔から変わりませんわね。実は私もつい最近政略結婚話がありましたの」
え? ゴリラ村の村長と?
「勿論お断り致しましたわ。私には聖女としての役割があります故」
ああ、そりゃあよかったね。主に相手が。
いくら政略結婚でも、チューバッカが現れた日には生きた心地しないでしょ。
鬼嫁超えて宇宙ゴリ嫁とかシャレにならん。
「分かりましたわ。国に帰ったらその件、なんとか致しましょう」
「「なんとか?」」
あ、俺まで思わず声出しちまった。
だっていまスゴイこと言ったよね。
伯爵のスレイヴが断れない王様の謂わば命令を、このゴリ──じゃなくて聖女様はなんとかできるって。
けど、顔はともかくとして聖女って言われてるぐらいだし、国同士の任務で動いたりもしてるから、もしかして結構な権力者なのか。
アナスタシアは解決策でも思い浮かんだのか「もう心配ありませんわ」と自信ありげに答えている。
ユフィーも申し訳なさそうに少し躊躇してはいたが、
「先ほどは助けて頂きましたし、護衛のお礼ですわ」
と言われると、
「本当にどうにかできるのですか?」
と食いついていた。
まさか、力ずくってことはないよな。
アナスタシアは「大丈夫ですわ」って頷いてるけど、その容姿がゴツくてダークサイドだから、悪だくみしてるみたいに見えてしまうのは気のせいか。気のせいだよね。
まあ、容姿で言うならピンク色のブサイクなコアラには言われたくないか……。
その後は、舞踏会がどうとか二人の女子トークが始まったので、ついていけないおじさんは眠ることにしました。
勿論ユフィーのむっちり膝枕で。




