赤い亀を作ってみよう
三倍速くは無いです
「海難救助?」
「ああ、おかげさんで海賊の方はなんとかなったんだがな? たまたま近くに居ればあの『守護神』は救助とかしてくれてるみたいなんだけどよ。やっぱそれ専門の備えがあった方がいんじゃねえかなぁって。」
実はあの後居座っていたマロ。
瑪瑙は忙しそうだが、すっかりとだらけきっている。
瑪瑙と琥珀には今度何か贈り物してねぎらっておこう・・・。
「なんだかんだ言って南部の要は海だしな? いい船乗りを育てるのは金も時間もかかるだろ? 失わずに済めばそれに越したことは無いわな。人道的云々ってよりも金目線の汚ねえ話で悪いけどな。」
「いや、使い捨てとか考える奴よりはマシだろ? で、どの辺までやるんだ? 方向としては二つあるんだろ? 救える設備や体制を整えて、お上主導でやんのか、それぞれの船自体の備えを高めた上で、救難の方も民間に道具を貸与なり販売なりしてやんのか?」
「民間主導の方がこっちは楽なんだがなぁ。やっぱ最初はある程度こっちでやらんとあかんわな? 民間は救助が来るまで命を保てる『なんか』と、助けを求められる『なんか』を義務付ける程度だなぁ・・・。」
「こっちって浮き輪とか救命胴衣とかあんのか?」
「なんだ、それ?」
過去の俺の先人たちが一人でも海に乗り出してりゃ、その辺作る人間居たんだろうに、無いのか。浮き輪とかなら俺みたいなチート無くても知識だけで作れるじゃんな?
ゴムやビニールの空気で膨らませるタイプじゃなくても、軽い素材を形状にして壊れにくくすれば用は足りる。
まあ、城の生産設備使えば作れるけど、需要状況とか考えると南部に生産設備作っちまった方がいいだろうな。
って、俺また南部に行くのか?
陸路だと時間かかって仕方ねえし、高速飛行艇で行くか?
いつも留守番だし、ブロンズも連れて行ってやるか?
俺の南部行きだが何故か学校行事の遠足になった。
社会見学だとさ?
南部は初めてだという子が多く、目をキラキラとさせている姿は微笑ましい。
砂浜に駆け出していって、砂に足を取られてこけている奴も居る。
そつの無さそうに見えるリュックとかな?
将来のイケメンフェイスを砂まみれにして、タムルに笑われている。
この為に大型高速飛行艇を作らされた。
博士やゴルテックスは喜んでたがな?
民用の個人所有の筈が何故大砲やミサイルを搭載してるんだ?
ミサイルなんか羽根の付いた蛇の形で、空中でのたくるんだぜ?
あれ、標的になった側からするとすげえ怖いよな?
近衛用にペガサス型ガーディアンとかも作る羽目になったし・・・。
かっこいいなあ、スナふ・・・じゃないや近衛騎士。
ワクワクして、用も無いのに「周囲を警戒してきます」とか飛び出していくのはどこか微笑ましかったがな。
これに銃とか遠距離武器を与えちゃうとヤバ過ぎるんで、流石にその辺は自重している(つい雷光を飛ばす槍とか作っちゃって、ヤバさに封印したなんてことはないぞ?)
遠足はついて来た学校関係者やパールたちに任せ、本来の目的であるマロ関連に引き摺られていく俺。
うん、海で遊ぼうとしたらルビーに有無を言わさず叩かれた。
だから俺の頭は打楽器じゃないと何度言えば!
とりま、サクッと民間に渡す分の品物を作れる生産設備を海沿いに建設。
見た目は古ぼけた小屋なのに中身は最新の生産拠点だ。
ここで生産されるのは浮き輪とゴムボート、発炎筒、それに救命胴衣。
機械の操作は物凄い単純なもので、作るものにダイヤル(絵で作るものが表示されているので文字が読めない人間でも扱える)を合わせて、作る数をこれまたダイヤル錠みたいな形で揃えて、スタートボタンを押すだけ。
材料はゴミ。
生ゴミだろうが、瓦礫だろうが、何故か作れてしまう。
なんらかの事情で漁師や船乗りをリタイアした人間の働き先としても有望という一挙何得か分からないくらい凄いと自画自賛。
「ってなわけだ。港や町のゴミ処理にも役立つ優れものだろ?」
「おお、特に頭が良くなくても、力が無くても出来るのがいいな! で、この出来たものなんだけどよ。浮き輪に救命胴衣に発炎筒だっけ、それはいいんだけどな? このゴムボートって、軍事用に使えちゃうだろ? ちとマズくねえか?」
気付いたか。
まあ、下手すると個人単位でも運搬出来ちゃう「船」だもんな。
元の世界でも特殊部隊やら揚陸作戦やら浸透作戦なんかに使われてた。
ただ、現在使われている船に大きな負担をかけずに作れ、載せられる救難用具って言うとそうなっちゃうんだよ。
これとは別にマロ側からやってもらう救難信号を出すマジックアイテムと合わせて、他の国に流れてしまうとそういう使われ方もするだろうが、超ハイテクや超魔術を使う(ゲートとか、転送とか)んじゃなきゃ、そういうリスクと人命を天秤に乗っけるしかない。
「ま、しゃあねえか、そのへんは。作りとかはそれほど複雑じゃねえし、材料がなんとかなればその辺の連中でも自作出来ねえわけじゃないわな。」
「まあ、モンスター素材・・・内臓とか使えば作れるだろうね。」
「で、オイラがまた忙しくなる・・・と。」
その辺は諦めてもらうしかない、こっちは要望に応えただけだからな?
「この辺は民間用で、言ってしまえば一時しのぎだ。本格的な救助はどういう方向で行くか? 海軍とかの演習とかにもなるだろう?」
「まあ、最終的には大きな船に乗せて陸に運ぶってことになるんだけどな。ゴムボートに乗ってる場合はともかく、浮き輪や救命胴衣の場合、あんまり長時間ってのも厳しいだろ? あんまり体力とか消耗しない内に、陸に運ぶまでは行かなくても海に浸かっている状態じゃないように出来れば有難いな。」
そんな経緯で誕生したのが亀形大型ガーディアン。
普段は海底に沈んだ形で待機モード。
救難信号を受取ると一番近い位置に居る個体が救助に向かい、その甲羅の上で休ませる。
そういう目的のため、普通の亀だと盛り上がっている甲羅は、山ではなく台になって、一番上が平らになっている。
また、海で目立ち、遠くからも確認出来るように色は赤い。
夜間には昼の内に溜め込んだ光で発光する。
陸まで運ぶことは考慮していない。
基本待機地点から一定の範囲しか活動しないのだ。
そうした一連の作業というかお仕事を終え「さあ、だらけるか!」と思ったところで「それではそろそろアジトの方に戻りましょう」とルビーの宣言。
え?
遠足は?
レジャーは?
くそっ、本当に仕事に来ただけじゃねえか、俺は!
次の分のネタもあるんで、次回は早めになる予定です
(予定はry




