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宝くじを売ってみよう

新サーバント誕生です

(不幸にも影が薄いですが)


 「家が欲しい」「店が欲しい」「土地が欲しい」レジャーマンションやらモールやらで誤魔化して来たが、未だに根強い・・・って言うか、東部伯と知り合って以降、やっぱこの国の商会で大手ってのは国王が中立でいい意味でも悪い意味でも善良なんで、東部に力を持ってて東部伯とのつながりが強い連中が多いらしいんだな、なもんでそういう話が来る様になった。


 西、北、南と通信用の水晶球渡して東にだけ渡さない訳にもいかないだろ?

 なもんで、東部伯にも渡したんだが、あの爺さんを装った魔王、「お願い」というより「雑談」という形で話を持ってきやがるんだわ。

 「まあ、なんとか出来る様考えてみます」って言うしかねえわな?

 「善処します」じゃ済まねえんだよ!


 とは言っても、素直に土地を売ったり、建物を建てたりすんのは性に合わない。

 「負けた」気がするしな(まあ、魔王に勝てるとは思わないんだけど)。

 だから「こうする」事にしたんだ。


 『阿地都宝くじ発売! 一等賞品は阿地都に豪華邸宅、二等は一戸建て、三等でもマンション2LDK。貴方にも夢のマイホームが!』ってな!?



 その気になれば日本銀行券すら作れる城の生産ユニットを使って宝くじを印刷。

 偽造は不可能、っていうか当選チェックは専用のマジックアイテムで確認するからな?

 外見同じでも無意味。

 当選した後で取り上げたり、盗んだり、なんて世知辛いことも起こりかねないんで、購入時に買った人間がくじに登録される超ハイテク、超高度魔術だ。

 一枚銀貨一枚。

 連番とバラで十枚ずつの購入も出来るが、一人百枚を上限にしている。

 集めた金は俺には使い道が無いから、西部伯を通じて王様に話を通して、王国に渡して災害や飢饉などの時に使用することになっている。

 

 過去に送り込まれた連中が誰もやらなかったようなんで、この世界で宝くじは初の試みだ。

 「うまく行けば今後、学校を建てる費用を集めるのに使える手法では?」などという話も出ているらしい。

 まあ、インチキさえしなければいい話じゃねえの?

 目的とプランがしっかりしてれば、今回使った道具一式を貸してもいいしな。


 発売はそれぞれの地方の都と王都の冒険者ギルド、それに巡回ギルド支部。

 これを機に南部にも東部にも冒険者ギルドの支部が出来る。

 ゴルテックスは「くああ、体が二つや三つ有っても足りねえぞ!」とか喚いているが、そっちはいいにしてもトパーズが限界なんで、新たな高級サーバントとしてスフェーンが生まれた。くすんだ金髪のトパーズに良く似たサーバントで、二人で並ぶと姉妹に見える。

 まあ、実際姉妹なんだが、そういう意味でなく「血のつながり」がある様に見えるってこったな。

 末っ子扱いだったエルバイトが一番喜んでいた。

 トパーズも当然喜んでいたが、どことなく少しほっとしている様にも見えた。

 やっぱ、ゴルテックスのフォローとギルドの仕事を一人でってのはキツかったか、正直スマンかった。


 南部と東部に関してはガワと必要な機器とノウハウは提供するが、人員に関してはほぼ丸投げである。

 まあ、マロはどうせ琥珀と瑪瑙に丸投げするんだろうが・・・。

 

 


 「で実際のトコ、どうなってんのよ?」

 おーい、範囲限定引きこもりが何身軽なフットワークで来ちゃってるのよ!?


 マロがやって来た。

 一緒に来たのは瑪瑙の方だけで、琥珀は南都に残っているのだとか、うーむ、不憫だなぁ、まあ、瑪瑙の表情を見てる限り、不満とかは無いみたいだから一安心だけど。


 「ここが一等の邸宅。城を除けばここで一番豪華な建物だ。まあ逆に一般民衆が当選しちゃうと維持するだけでも大変だな?」

 「貴族が見栄で欲しがるだろうから、売って現金化が賢いだろうな?」


 「で、あっちに並んでる四棟が二等の一戸建て。家の面積と同じ広さの庭も付いてるし、全部道に面してるからな。少しいじれば店にも出来る。その辺は当選後に要相談だな。」

 「ほう、人海戦術でくじを買ってる商会とか、裏で協定組んで買取を考えてるトコもありそうだ。」


 「ここがマンション。全戸2LDK、まあ、親子程度の家族なら住んでもそんなに狭くは感じないだろ?」

 「リゾートマンションの間取りよりは狭くしてるんだな。まあ、その辺気を使わないと騒ぐ連中が居るだろうからな。」


 既に建築済みの賞品を見せて紹介したが、マロの関心はどっちかというと宝くじの仕組そのもののようだ。


 「今回は上から下まで賞品ってことになってるが、これ、別に金とかでやっても構わねえんだろ?」

 相変わらず、見てくれはだらけまくってるのに鋭いな。


 今回、俺がやった宝くじの場合、末等でも遊園地とテーマパークどちらでも使える一日フリーパスだ。

 当初の目的が家やなんやらへの口出し対応だからってのもあるが、現金の支払は発生しない形にした。

 現金ってのはダイレクトに欲望を喚起する。

 「ダンジョンで魔法のアイテムを手に入れた」と聞いても「スゲー!」と感心出来るが、「昔の金貨100万枚見つけた」となると「少しくらい貰えないかな」と考える人間が出易い。

 それとおんなじで「屋敷を貰った」なら「凄い!」となるけど、「大金を貰った」だと「くれ!」「貸してくれ!」になるだろ?

 

 そういった点を考えて金じゃないものにしたが、本来は金で行われていたものだ。

 元手をさほどかけずに金を集める手法だからな。

 

 「いやな、大きな船を作る時や、道や橋の整備する時に使えるだろ、これ? でもウチはお前さんトコみたいに欲を煽れるもんも無いしな、なら金しかないだろ?」

 「今回はウチがやっちゃいましたが、国か地方、あるいはギルドの様な公的な集団以外にはやらせないようにした方がいいかもですね。」

 「あー、そういう面倒なのはゼルエルの爺さんに頼もう、うん、そうしよう。あっちも橋の改修とかでやるだろうし。」

 面倒そうなことを他人に押し付ける手口では右に並ぶ者が居ないマロだ。

 ちょっとでも面倒そうなことが起こりそうな情報を与えれば、「自分が楽をするために」動いてくれるだろう。

 計算どおり・・・(ニヤリ)。





 これまで遅れを取って来た西部が発展して来ていることもあって、宝くじは予想を遥かに上回る収益を上げた。

 なんせ、王様から直々に名誉男爵の称号をいただくほどである。

 うん、俺が名誉男爵だってさ、なんのギャグだよ。

 先祖代々由緒正しき庶民だぞ?

 少なくとも六百年くらい遡っても農民らしい、俺の家系。

 これがウチの先祖は武士だっただの豪族だっただのなら嘘くさいが、代々農民だったということだから、たぶん本当だろう。

 まあ、元の世界での話なんで関係無いと言えば関係無いんだが。


 西部伯経由で来た話だったらなんとかして断ったんだが、その辺、王国側でも分かっちゃってるのか東部伯が自ら足を運んで持って来た話なんで、有り難く受けるしかなかったのだ。


 生きるか死ぬかとか、身内が酷い目にとかなら東部伯でも逆らうが、俺的に「これはないだろ」的なこだわりレベルの話では東部伯には逆らえない。


 でもって宝くじの当選発表の方だが、一等や上位の賞品を獲得したのは知らない顔ばかりでほっとした。

 身内が取っちゃってたらな。気まずいなんてもんじゃないだろ、この場合。

 身内は博士が当てた遊園地一年間ファミリーフリーパスが最高。

 アクアマリンにしっかり取り上げられてたがな。

 

 一等賞品は最終的には王が買い取って第四王女へ与えるという形になったらしい。

 上位貴族の面子だのなんだのが出てきてしまって、上限が無くなる勢いだったのでそうせざるを得なかったのだそうだ。

 下手したら借金で破産する貴族が出ていたらしい。

 王様にはいらん手間をかけさせてしまったが、姫さんは喜んでるらしいんで結果オーライじゃね?


 一戸建ては全て最終的には大手の商会が買い取った。

 一般人でも住めるサイズなんだけどな、まあ銀座に一戸建て建売り住宅を建てちゃったようなもんか?

 こっちも熾烈な争いだったそうで、結局は金が飛び交う状態で「なんだかなぁ」って感じが俺的にはする。

 ま、ただでさえ考え足らずの俺が考え無しにやった結果だから仕方が無いのかもしれない。

 北側は農地になってるが、その内、今の外壁の更に外側に壁を作って、そちらに農地を移転して、住宅地に変えるなんてことになるのかもなぁ。


 面倒だな、誰かかわってくんね?

 シモーヌさん、おまけに爵位つけるからどう?

 「スパーン!」

 だからルビー、俺の頭は打楽器じゃないって!!



爵位貰っちゃいました

延々と王国に居続けてなんで、遅いって言えば遅いんですけどね

(好き勝手やってただけですが、貢献は凄いんで)

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