20話
〜ガード家ルドルフの執務室〜
アロウが迷宮街へと出発した頃……
バァン
いきなり執務室の扉が思いっきり開かれた。
「いきなりなんだ!?」
扉の方へと顔を向けたルドルフが顔を顰める
「父上、アロウを追放したというのはどういう事ですか?」
殺気を放ちながらクロウがルドルフへと詰め寄る。
「どうしてお前がここに居るんだクロウ。今は遠征中では無かったのか?!」
そう、ルドルフ達はアロウの追放を邪魔されない様にクロウが中隊長として遠征に行くのを狙って追放していたのだ。
「いえ、上司がアロウの学園への入学手続がされてないことを不審に思いましてね。早馬で私に確認をして来たのですよ。そして私も不審に思い急いで帰って来たのです」
苦虫を潰した様な顔になるルドルフ。
「チッ誰だ余計なことをしたのは」
「そして私の知らない内に追放し、そして始末しようとしましたね? 父上これは恥ずべきことですよ? 分かっているのですか?」
クロウに詰め寄られ顔を赤くしていくルドルフ
「うるさいっ。侯爵家ともあろう子がハズレスキルだったんだぞ。学園へ行かせて恥を晒すより、追放して始末した方がマシだろうがぁ」
いきなり怒鳴り散らすルドルフ。
「はぁ、ここまで愚かだったとは ……
父上!スキルがハズレであろうとも。知識と剣術、魔術には何も関係がありませんよ。
文官の道だってあったはずです。
スキル至上主義では力を持つ者が上に立って力を振るい民を圧政するだけなのです。強者は強者の気持ちが分かれど弱者の気持ちが分からぬのですよ」
クロウがあきれたようにルドルフに話すが聞く耳はないようだった。
「お前に何がわかるっ、ユニークスキルを得たお前に軍の中でも幹部候補にまでなってるお前に!」
唾を飛ばしながら激怒するルドルフ
「亡き母上の『相手を思いやる心が領民からの評価に繋がる』この言葉お忘れですか父上!!」
「だっ黙れぇぇぇ」
魔術を構成しクロウへと攻撃を始めるルドルフ。
しかしクロウは雷化をしてそれを避け剣に雷魔術を付与して魔術を切り裂いて行く。
「はぁ、わかりました。私はこのガード家を継ぐ為に今まで騎士爵の拝領を断っていましたが。これまでですね貴方とはとことん合わない様です。私物をまとめて縁を切らせてもらいます」
それだけを伝えるとクロウはその綺麗な茶髪をなびかせて執務室から出て行った。
「ハァハァま、待てお前が居なくなったらガード家はどうなる。待つんだぁクロウぉぉぉ!」
ルドルフは今更散々攻撃をけしかけていたのにこの乱癡気騒ぎ。
ガード家の崩壊への始まりだった。
クロウが執務室を出て私室へと向かう途中。
とある角からこの家の主人を見ていた兵士が駆け寄る。
「クロウ様、こちらお預りの品物です」
そう言って兵士は2枚の書類を渡す。
「ん?私にかい?ありがとう」
何となく目を通すとそれはアロウからのクロウへの手紙だった。
内容は、いきなり追放されたこと。そしてこれからカロに向かい冒険者になろうとしてる事。
手紙を届けてくれた兵士さんを情報流出としてガード家から離して欲しいという心配事だった。
最後にまたいつか冒険者として名を上げて兄様に会いに行くと綴ってあった。
兵士はクロウの側でまだひざまついて居た。
「だいたいの事情はわかったよ。ありがとう。君の名前は?」
「はっ!私の名前はセルゲイと申します。」
「セルゲイ私と一緒に来なさい。アロウが君のことを心配してよろしく頼むと書いてあった。君の家族も一緒に来るといい。大事な弟からの頼みだからね。それとカロに向かったアロウの足取りを調べよう頼めるかい」
兵士さんことセルゲイは一瞬ポカンとした後に。
「は?は!わかりました。よろしくお願いします。アロウ様には息子を救って頂きましたので是非ともお願いします」
クロウはニッコリ笑うと
「セルゲイその辺りの話もよく聞かせてくれ。アロウ元気にしてるかなぁ」
2人でそのままクロウの私室へと向かい。
荷物をまとめて出て行ってしまった。
その後、クロウは最年少騎士爵として、
クロウ・アトラスと改名する事となる。
一方サマンサは
「ふふふっ邪魔者だったクロウもアロウも居なくなった。これでガード家はバルクの物よ。ふふふっ」
ほくそ笑んでいた。




