2:札幌の異変
今日はここまでです
見えるもの、見えないもの
窓ガラスの震えが止まっても、結城智はしばらく手を離せなかった。
指先に、まだ振動が残っている気がした。
窓の向こうでは、ナナカマドの赤い実が風に揺れていた。雨上がりの庭には細い陽射しが差し込み、濡れた落ち葉が光っている。
見慣れた住宅街だった。
なのに、鳥が一羽もいない。
「……結城さん?」
背後から呼ばれ、智は振り返った。
窓の修理を依頼した女性が、心配そうに立っていた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すみません。ちょっと考え事を」
「さっきの音、何だったんでしょうね」
「分かりません。地下で何か工事をしているような音でしたけど」
「工事……」
女性は窓の外を見た。
「最近は、地下って聞くだけで怖くなっちゃいますね」
智は曖昧に頷いた。
同感だった。
昨日までは、地下という言葉に恐怖を感じたことなどない。
地下鉄。地下駐車場。地下倉庫。
どれも人間が造り、人間が使っている場所だった。
けれど今は、その言葉の向こうに、灰色の皮膚と黄色い目が浮かぶ。
智は工具箱を閉じた。
「窓の方は、もう大丈夫です。ただ、また重くなるようなら連絡ください」
「ありがとうございます」
女性は財布を取りに行き、戻ってくると、修理代と一緒に小さな袋を差し出した。
「これ、よかったら」
中には、個包装のどら焼きが二つ入っていた。
「いや、そんな。いただきすぎですよ」
「いいんです。お昼、まだでしょう?」
「……まだです」
「ほら、やっぱり」
女性は嬉しそうに笑った。
智は断りきれず、袋を受け取った。
「ありがとうございます。あとでいただきます」
「お仕事、気をつけてくださいね」
その一言に、智は少しだけ言葉を詰まらせた。
昨日も、似たようなことを言われた。
けれど、今日はその意味が違って聞こえた。
「……はい。気をつけます」
智は頭を下げ、玄関を出た。
背後で扉が閉まる。
カチャン
ごく普通の、金属製の錠前が掛かる音だった。
その小さな音が、妙に心地よかった。
*
午前十時四十二分。
作業車に戻った智は、運転席でスマートフォンを開いた。
画面には、佐伯から新しいメッセージが届いていた。
『さっき変な揺れなかったか?』
智はすぐに返信した。
『あった。地震みたいな感じだったな』
数秒後、返事が来る。
『こっちもだ。建物が一瞬鳴った』
『気をつけろよ』
そう送ると、佐伯から笑顔の絵文字が返ってきた。
智はスマートフォンを置いた。
自分だけが感じたわけではない。
それが分かったことで安心するかと思ったが、逆だった。
少なくとも、離れた場所でも同じような振動が起きている。
局所的な工事の音ではないのかもしれない。
「……何が動いてるんだ?」
智はハンドルに手を置いた。
その時、視界の端に淡い青色が滲んだ。
昨日から現れる、あの光だった。
智は息を吐いた。
「今度は何だよ」
半透明の板が浮かび上がる。
《周辺環境に変動を検出》
続いて、細い文字が現れた。
《情報の取得を試行します》
智は目を細めた。
周辺環境。
それは、さっきの振動のことだろうか?
画面の下に、何かが表示された。
《対象:未特定》
《取得結果:不完全》
それきりだった。
「……不完全、ね」
智は苦笑した。
随分と頼りない。
今朝は窓の戸車を正確に判定していた。
摩耗。
交換推奨。
あの表示は、確かに役に立ちそうだった。
しかし、今は違う。
何かが起きたことは分かっても、その正体までは教えてくれない。
智は、試しに車のダッシュボードを見つめた。
――これを調べられるか?
青白い板が、わずかに揺らいだ。
《対象物を認識しました》
《樹脂成形部品》
《状態:正常》
「……へえ」
今度は、助手席に置いた工具箱へ目を移した。
《対象物を認識しました》
《金属・樹脂複合製品》
《状態:使用可能》
智は少し身を乗り出した。
「じゃあ、これは?」
足元に置いていた古いドライバーを持ち上げる。
先端は長年の使用ですり減り、柄にも細かな傷があった。
《工具:ねじ回し》
《先端部:摩耗》
《使用上の注意:滑りやすい状態》
「……なるほど」
智はドライバーを回してみた。
確かに先端が減っている。
最近は使いにくくなっていたが、まだ使えると思って工具箱に入れっぱなしにしていたものだ。
「お前まで注意してくれるのか」
誰にともなく呟き、ドライバーを置いた。
その時、ふと疑問が浮かんだ。
この表示は、どこまで正しいのだろう。
表面から見える情報を整理しているだけなのか。
それとも、内部の状態まで分かるのか。
智は車内を見回した。
そして、助手席の足元にある小さな懐中電灯を手に取った。
仕事で使う、手のひらほどのLEDライトだ。
昨夜から点灯しなくなっていた。
電池切れだと思っていたが、まだ交換していない。
智はライトを見つめた。
《携帯照明器具》
《状態:動作不能》
《推定原因:電源供給不良》
「……ほう」
智は眉を上げた。
推定原因。
その言葉が気になった。
断定ではない。
智はライトの蓋を開け、電池を取り出した。
接点に白っぽい汚れが付着している。
「ああ、こっちか」
予備の電池に交換し、接点を軽く清掃する。
スイッチを押す。
ぱっと白い光が点いた。
「よし」
青白い板が変化した。
《状態:正常》
智は思わず笑った。
「便利だな、おい」
昨日までの恐怖とは別の感情が、胸の奥に生まれていた。
面白い。
仕組みは分からない。
誰が作ったものなのかも分からない。
けれど、目の前の不具合を調べ、直す。
その行為は、自分が長年続けてきた仕事とよく似ていた。
分からないものを、少しずつ確かめる。
原因を探す。
仮説を立てる。
試してみる。
そして、結果を見る。
智は懐中電灯を工具箱に戻した。
その時、青白い板に新しい文字が浮かんだ。
《情報取得の精度がわずかに向上しました》
「……え?」
智は顔を上げた。
しかし、文字はすぐに消えた。
代わりに、いつもの基本情報が現れる。
《個体名:結城 智》
《年齢:47》
《種族:人間》
《状態:適応済》
《固有適性:未判定》
智は、しばらく画面を見つめた。
「……使えば、何か変わるのか?」
答えはなかった。
だが、胸の奥に小さな期待が芽生えていた。
この不思議な力を、もっと知りたい。
そんな気持ちだった。
*
午前十一時二十八分。
智は、次の現場へ向かう途中で電話を受けた。
取引先の設備会社からだった。
『結城さん、今どこにいます?』
「白石の方です。どうしました?」
『ちょっと急ぎで見てもらいたい現場がありまして』
「何の不具合です?」
『小さな店舗なんですけど、シャッターが途中で止まってしまうらしいんです』
智は時計を見た。
午後の予定までは、まだ少し時間がある。
「場所は?」
『菊水の方です。規制区域からは外れてるんですけど、近くの道路が混んでるみたいで』
「分かりました。行けると思います」
『助かります。店の人が困ってまして』
「ただ、部品交換が必要なら今日中には難しいかもしれませんよ」
『それは伝えておきます』
電話を切る。
智はカーナビに目的地を入力した。
菊水。
古い建物と新しいマンションが混在する地域だった。
大通りから一本入ると、昔ながらの商店が残っている。
智は車を発進させた。
途中、信号待ちで空を見上げた。
雲が低い。
札幌の秋は、冬の入口に立っているような季節だ。
冷たい雨が降り、朝晩の気温が下がり、いつ雪が降ってもおかしくない日が近づいてくる。
そんな街で、店のシャッターが閉まらないというのは、決して小さな問題ではない。
防犯にも関わる。
風雪にも関わる。
そして、店を開けられるかどうかにも関わる。
「……早めに直してやりたいな」
智はアクセルを踏んだ。
*
正午過ぎ。
目的の店舗は、古い二階建ての建物の一階にあった。
小さな惣菜店だった。
ガラス越しに、揚げ物や弁当が並んでいるのが見える。
店の前には、半分ほど下がったシャッターがあった。
その下をくぐるようにして、店主らしい男性が出てきた。
「結城さんですか?」
「はい。お待たせしました」
「いやあ、助かります。朝からこんな状態で」
男性は、五十代半ばくらいだろうか。
白いエプロンを着て、額に汗を浮かべていた。
「今朝、開けようとしたら途中で止まっちゃって。何とか上げたんですけど、今度は下ろせなくなって」
「電動ですか?」
「ええ」
「何か異音はしました?」
「昨日の夕方くらいから、ちょっと変な音がしてました」
智はシャッターを見上げた。
スラットの一部が、わずかに斜めになっている。
ガイドレールにも擦れた跡があった。
「……少し歪んでますね」
「やっぱり?」
「とりあえず、無理に動かさないでください」
智は工具箱を開いた。
電源を確認する。
操作スイッチ。
ガイドレール。
シャッターケース。
順番に調べていく。
その時、青白い板が現れた。
《対象物を認識しました》
《電動シャッター》
《状態:動作異常》
《推定原因:機械的抵抗の増大》
智は、思わず口元を緩めた。
「……やっぱりな」
表示は、自分の見立てと一致していた。
ガイドレールの歪み。
スラットのずれ。
それらが抵抗になっているのだろう。
智は店主に声をかけた。
「少し調整してみます。危ないので、しばらく操作しないでください」
「分かりました」
智はシャッターの状態を確認しながら、調整を始めた。
レールの固定。
スラットの噛み合わせ。
異物の有無。
長年の経験で身についた手順だった。
そして、青白い板は、その作業を横から見ているように表示を変えていった。
《抵抗箇所を検出》
《調整推奨》
智は、指示された場所を確認した。
確かに、わずかな歪みがある。
「……すごいな」
小さく呟く。
こんなことまで分かるのか。
智は、少しずつ作業に夢中になっていった。
不思議な表示が教える情報。
自分の経験。
その二つを照らし合わせることが、妙に楽しかった。
やがて、シャッターの動きが軽くなった。
「……よし」
智は工具を置いた。
店主に声をかける。
「一度、動作確認します」
「お願いします」
智は操作スイッチの前に立った。
シャッターを少し上げる。
滑らかに動いた。
続いて、下げる。
途中までは、問題ない。
智は青白い板を見た。
《機械的抵抗:軽減》
《動作状態:改善》
「……いけそうだな」
智は、もう少し下げようとした。
その時。
――ぎんっ!
鋭い金属音が響いた。
智は顔を上げた。
シャッターの上部。
ケースの内側から、何かが弾けるような音がした。
「……っ!」
次の瞬間、シャッターが大きく震えた。
がたがたがたっ!
スラットが波打つ。
ガイドレールが、嫌な音を立てる。
智は反射的に停止ボタンを押した。
だが。
止まらない。
「……何だ?」
シャッターが、さらに下がる。
しかも、異様に速い。
智の顔から血の気が引いた。
「離れて!」
店主に叫ぶ。
その瞬間、店の奥から小さな声がした。
「お父さん?」
智は振り向いた。
小学生くらいの男の子が、店の入口に立っていた。
手には、小さな紙袋を持っている。
何が起きているのか分からない様子だった。
そして、その頭上で。
シャッターが、勢いよく落ち始めた。
*
智の身体が動いた。
「下がれ!」
男の子へ向かって走る。
シャッターは、すでに胸の高さまで下がっていた。
間に合わない。
智は歯を食いしばった。
右腕を伸ばす。
男の子の肩を掴む。
そして、店の奥へ突き飛ばすように押した。
その直後。
――ガシャアアン!
シャッターが、地面に叩きつけられた。
激しい金属音が、通りに響き渡った。
智は、ぎりぎりのところで身体を引いた。
シャッターの下端が、靴のつま先を掠める。
冷たい風が、足元を抜けた。
「……っ!」
智は、その場に膝をついた。
心臓が、激しく鳴っていた。
店主が駆け寄る。
「大丈夫か!」
男の子は、店の奥で尻もちをついていた。
驚いた顔で、こちらを見ている。
怪我はなさそうだった。
智は、ようやく息を吐いた。
「……よかった」
店主が男の子を抱き起こした。
「何やってんだ! 危ないだろ!」
怒鳴る声が、震えていた。
男の子は泣きそうな顔をした。
「ごめんなさい……」
智は、ゆっくり立ち上がった。
「……すみません」
店主が振り向く。
「え?」
「俺の確認不足です」
智は、シャッターを見つめた。
完全に閉じたシャッター。
その下端が、わずかに歪んでいる。
もし男の子が、あと一歩前に出ていたら。
考えるだけで、背筋が冷たくなった。
智は唇を結んだ。
自分は、何をしていた。
青白い表示に気を取られていた。
機械的抵抗が軽減した。
動作状態が改善した。
その文字を見て、安心してしまった。
本来なら、もっと慎重に確認するべきだった。
巻き取り機構。
ブレーキ。
電気制御。
異音が出ていた以上、レールの調整だけで済ませていいとは限らなかった。
智は拳を握りしめた。
「……馬鹿だな、俺」
小さく呟く。
その時、視界の端に青白い板が浮かんだ。
《対象物を認識しました》
《電動シャッター》
《状態:重大な動作異常》
《推定原因:巻き取り機構の損傷》
智は、画面を睨んだ。
「……今さらかよ」
思わず、声が出た。
画面は、何も答えない。
ただ、静かに浮かんでいる。
智は深く息を吐いた。
そうだ。
この光が悪いわけではない。
判断したのは、自分だ。
信用しすぎたのも、自分だ。
智は、ゆっくりと顔を上げた。
「……すみません。これは、今日ここで直せる状態じゃありません」
店主は、まだ男の子の肩を抱いていた。
「……そうですか」
「安全確認ができるまで、絶対に操作しないでください。専門のシャッター業者にも来てもらう必要があります」
智は頭を下げた。
「本当に、申し訳ありませんでした」
店主は、しばらく黙っていた。
そして、小さく息を吐いた。
「……子供が無事だったから、いいです」
その言葉が、智の胸に重く残った。
よかった。
確かに、よかった。
だが、それで済ませていいことではない。
智は、シャッターを見つめた。
金属の表面には、細かな傷が走っていた。
その向こうに、青白い文字が浮かんでいる。
《動作状態:危険》
智は、目を閉じた。
見える。
確かに、以前より多くのことが見えるようになった。
だが。
見えることと、分かることは違う。
分かることと、正しく判断できることも違う。
その違いを、智は痛いほど思い知らされていた。
*
午後一時十九分。
智は、店の外に立っていた。
設備会社へ連絡し、シャッター専門業者の手配を依頼した。
店主には、状況を説明し、改めて謝罪した。
幸い、怪我人はいなかった。
しかし、修理は中断となった。
智は工具箱を車に積み込んだ。
その時、店の入口から男の子が顔を出した。
「……おじさん」
智は振り向いた。
「ん?」
男の子は、少し迷ったように足元を見た。
そして、小さな声で言った。
「……ありがとう」
智は、一瞬言葉を失った。
あの時、男の子を突き飛ばすようにして助けた。
怖い思いをさせたはずだ。
それなのに、礼を言ってくれる。
智は、ゆっくりとしゃがんだ。
男の子と目線を合わせる。
「……怖かったな」
男の子が頷いた。
「うん」
「怪我、してないか?」
「してない」
「そっか」
智は、小さく笑った。
「よかった」
男の子は、少しだけ笑い返した。
その笑顔を見て、智は胸の奥が痛くなった。
もし、間に合わなかったら。
もし、あと一瞬遅れていたら。
その笑顔は、失われていたかもしれない。
智は、男の子の頭を軽く撫でた。
「……もう、あのシャッターには近づくなよ」
「うん」
「約束だ」
「うん!」
男の子は元気よく頷いた。
そして、店の中へ戻っていった。
智は、しばらくその背中を見送っていた。
やがて、ゆっくり立ち上がる。
右腕に、わずかな熱を感じた。
包帯の下。
昨日、怪物に引っかかれた場所。
そこが、じんわりと熱を帯びていた。
智は腕を押さえた。
すると、視界の端に青白い板が現れた。
《行動履歴を更新しました》
智は目を細めた。
文字が変わる。
《危険回避行動を確認》
続いて。
《判断傾向を記録しました》
智は、しばらく画面を見つめた。
昨日も、似たような表示を見た。
行動履歴。
固有適性。
そして、今の判断傾向。
この光は、何かを調べている。
自分のことを。
自分が何を見て、何を考え、どう動くのか。
それを、記録している。
そんな気がした。
「……気味が悪いな」
智は小さく呟いた。
しかし、画面から目を離せなかった。
自分の行動が、何かに評価されている。
それは、不快でもあり、不思議でもあった。
そして、少しだけ。
恐ろしかった。
*
午後一時四十七分。
智は車を発進させた。
空は、さらに暗くなっていた。
厚い雲が低く垂れ込め、街全体が薄い灰色に沈んでいる。
道路沿いの電光掲示板には、交通規制の情報が流れていた。
その下を、人々が足早に歩いていく。
智は、信号待ちでふと空を見上げた。
鳥がいない。
さっきの住宅街でもそうだった。
いつもなら、電線にカラスが止まっている。
歩道の隅でスズメが餌を探している。
だが、今日は。
空が、妙に静かだった。
智は眉をひそめた。
「……何か、おかしいな」
その時、遠くから低い音が響いた。
――ゴオオオオ……
朝、住宅街で聞いた音だった。
智はハンドルを握る手に力を込めた。
今度は、車の中でもはっきり聞こえた。
ダッシュボードが、かすかに震えている。
信号機の柱が、微妙に揺れた。
歩道の人々が、足を止めた。
誰かが空を見上げる。
別の誰かが、地面を見る。
音は、空からではない。
地下からだった。
――ゴオオオオオ……
智の胸が、ざわついた。
その時。
視界の中央に、青白い板が現れた。
《周辺環境の変動を検出》
《情報取得を試行します》
文字が、細かく揺らいだ。
そして、
《解析不能》
智は息を呑んだ。
画面が、わずかに歪んでいる。
今まで、こんなことはなかった。
青白い光が、一瞬強くなった。
その直後。
《警告》
文字が、赤く変わった。
智の心臓が跳ねた。
《周辺空間に異常を検出》
《原因:不明》
《安全な場所への移動を推奨します》
智は、ゆっくりと顔を上げた。
信号は、まだ赤だった。
前の車も、後ろの車も、動いていない。
歩道では、人々が不安そうに辺りを見回している。
その時。
道路の向こうで、何かが弾ける音がした。
――パキン。
智は目を見開いた。
アスファルトの表面に、細い亀裂が走った。
一本。
二本。
三本。
まるで、黒い線が地面を這うように伸びていく。
「……またかよ」
智の声が震えた。
そして、交差点の中央で。
地面が、ゆっくりと沈み始めた。




