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置いていかれる
「ゆー、お前はなんでこの大学に入ったの?」
チャラめの黎人にそう聞かれた。
「……別に。お前は?」
「やりたいことがあったから」
「やりたいことって?」
「……別に」
同じ学科だけど、話すのは今日初めて。たまたま帰りの電車で一緒になったから話す。おれの長年のインキャセンサーが、黎人の陽キャ度を一瞬で感じ取った。てか、金髪だし、ピアスにネックレス、ワイドジーンズは少しダメージ入りで。
「……みんな、あるのかな。やりたいこととか」
「……うん。あるよ。それで学部選んだんじゃないの?」
黎人はそう言って、席を立ち、電車を降りていった。
なんでだろ。また、辛くなってきた。やりたいことってなんやねん。高校の頃、みんな、やりたいことなんてないって言って、言っといて結局、自分の進路ちゃんと見据えてるじゃん。黎人だって天馬だって、華蓮もこうちゃんもあかりちゃんも。
なんなんだよもう。ほんと嫌になってくる




