塾バイト
「次の授業は、中高一貫の賢い子も担当してもらうから」
「わかりました」
中学の頃、個別指導に入ってて、高校では、映像授業の塾だったけど、いつかおれも、塾講師で誰かに教えてみたいとか思ったりしながら勉強してた。
大学に受かって、入学する前に、バイトを始めた。合格発表で叫ぶCMで有名な、スクールラウドで働き始めた。
中3の生徒のこなつちゃんから渡されたのは、その頭のいい中学の問題集。
座標平面に一次関数の直線、それに頂点が0で下に凸、つまり中学で習う範囲の二次関数の曲線、そして四角形。確かに、中学の範囲で作れる中でも結構難しい問題だと思う。
この手の問題は確か、頂点を平行移動させて、それで……
って説明してる。
「先生、それって、等積変形ってことですよね」
そうだわ。
そんな言葉あったわ。
でも、ベクトル習ったら使わないから、そんな言葉とっくに忘れていた。
「次の授業に」
「はい」
「せんせー、やだときたくない。ねてていい?」
「ちゃうだーめだって」
「えーいいじゃん」
「はい、さよーならー」
最後の担当生徒を見送って、上がりの時間になった。
高校で、俺が部活してる間、飲食とかコンビニでバイトしてた人たち、少しだけ尊敬した。
来週は入学式。
スーツも揃えなきゃ。




