魔道大会 ⑤
「………………!……」
目が覚めたのは選手の控え室だった。いつの間に気を失ったのか分からないが一先ずは生きている。
試合会場で彼の策略に陥った私はその後どうなったのか…………それともあれは幻で実はまだ試合前なのか…………。
「お疲れさまでした。次の試合は明日の午後になりますので午前中の内に受付までお越し下さいませ」
私の横から運営の女性スタッフが声を掛けてきた。辺りをキョロキョロと見渡すが、控え室には私とどう見ても負けた感じの全身包帯グルグルの怪我人が一人居るだけだ。
「え?……私……ですか?」
「ええ。一回戦勝利おめでとうございます」
「は、はぁ……」
とりあえず相鎚を打つが試合に関しては一切合切記憶が無い。しかしこれは現実のようだ。
──ガチャ
「お、おめでとうございにゃす……ナターサどの……」
じいやが控え室へと入ってきた……が、何だか口がへの字に曲がって足取りも覚束無い。フラフラと歩いては腕をブラブラとさて時折壁にぶつかっている…………うん、これは間違いない。
「じいやお酒飲んだ?」
「ひゃい! 隣のしとが美味しそうに泡々したジュースを飲んでたのでー、同じ物をー頼んだらー……こうにゃっちゃいましゅた!!」
「…………はは」
彼との試合の最中にじいやの声が聞こえてきた様な気がしたが、どうやらこの様子では気のせいだったのだろう。私は試合のことは有耶無耶のまま…………あ、
「そう言えば彼はどうなった!?」
「…………あ、あちらに……ヒック!」
じいやが小さく指差す先には先程の包帯グルグルの怪我人が…………
(マ、マジですか……!?)
どう見ても全治うんカ月とかの大重体な包帯グルグルミイラ男が私の仕業だと!?
(アワワワワ……! ダーン家に殺される……!!)
私は手で顔を覆い俯き、お先真っ暗な人生に落胆した。
「だ、大丈ヴでしゅよ♪」
「んな訳あるか……」
じいやは彼の顔に手を当てると彼はムクリと起き上がり、まるで操り人形の様に不恰好な歩き方で控え室を去って行った。
「な、何をしたんだ!?」
「……ヒック! 自宅まで歩いて貰いますた♪」
「………………ぅぅ、胃が痛い」
後のことを思うと気が思いやられるが、とりあえず生きている様なので一安心と言った所だろう。もしもダーン家が攻めてきたらお詫びとして腹でも斬ろうかな……はは。




