魔道大会 ④
疑惑の念を拭えず困惑する私を余所に、彼はゆっくりと足下に魔法陣を展開し始める。歓声が一際大きくなり、魔法の発動を今か今かと心待ちにしているようだ。
私も魔法陣を展開しようとするが、いくら念じても真面な魔法陣が発動できずにいた。
「……どうした?」
ニヤニヤと彼は笑う。その後ろには魔法陣をより現れし水龍がグルグルと空を泳いでいる。
「……クッ!」
気合で魔法陣を展開し、僅かながら水龍を防ぐための木を地面から生やした。
「その程度で俺の魔法を止められるとでも!?」
彼は指差し水龍が私の方へと口を大きく開けて突進してきた!
「グアァァァッ!!」
木ごと吹き飛ばされ、私は観客席の壁へと激突した。
「やれ水龍!」
私を咥えた水龍が中央へと舞い戻り私を地面へと叩きつける!
「グゥゥ……ッッ!」
衝撃で意識が飛びそうになるが、私は必至で魔法陣を張り続ける。しかし張っては消え張っては消えを繰り返すばかりで維持が出来ない。
「ナターシャ! その程度なのか!!」
ニヤニヤと笑い続ける彼を私は睨みつける……!!
「コレも貴様の仕業なのか……!!」
「さあぁぁ?」
殺してやりたい程に憎たらしい笑みを浮かべ水龍を操る彼。正直このままでは何も出来ずに負けてしまう……!
「うわぁぁぁぁ!!!!」
全力で雄叫び、有らん限りの魔力で魔法陣を展開!!
「……ちっ、まだやれるのか」
魔法陣から数多の蔓が伸び、彼目掛けて襲い掛かる!!
──バタッ……
彼を捉える目前……私の意識は消え失せ水龍の口だけだ大きく見えた…………。
──シュルッ……
「…………」
消え行く意識の中、フワフワとした何かが私を包む。目を開けることは叶わぬがとても心地良い気分だ……。
「後は任せろ……」
聞き慣れた声だが聞き覚えのない口調。私はまるで優しい泉に浸かるかの様に沈んで溶けていった…………。




