↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拉致られたら学園長になっていた  作者: 津山直太
北の方でちょっと暴れてくる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/32

第29話 はめられたのはオレか

「芹佳、ドローンはいつもの屋上に誘導しておいてくれ」


 そういって、スーツの上着を着なおし、胸のポケットにスマホをしまった。

 ドローンはゆっくりと浮上すると北の方角へ飛んで行った。

 装甲車の方を見ると、サッチャンと星野が窓にべったりと張り付き、こちらを見ている。

 芹佳が指した遠くにある岩を警戒しながら、運転席に乗る。


「総ちゃん、どうなっているの?」


「ドローンはハッキングして、北の学舎へ送った。詳しいことはまた今度な。あー、2機は回収して持って帰らなくちゃだな……」


「総ちゃん、何を隠しているのかな?」


「隠していないぞ、話すと長くなりそうで面倒だから黙っているだけだ」


「それを隠し事って言うんだよ!」


「一応説明しただろ。スマホが劇的にバージョンアップしたって。今はここまでだ」


 車の窓から、岩を観察しているが全く動きがない。


「なあ、サッチャン。オレたちが中央から北に向かっているときに、あんな岩ってあったか?」


 少し遠くの岩を指さす。


「どうだろ? この辺って、ずっとこんな景色だから覚えていないよ」


「そうだよな。オレも覚えていないもんな」


 オレは装甲車のエンジンをかけ、岩に向かって発車した。


「ドローンの操作はあの岩の方から行われていたらしいんだよな。あの岩、怪しいだろ」


「そういわれると、怪しい」


 助手席の星野が相槌を打ってくれる。

 数分ほど車を走らせると、岩の前についた。

 幅5m、高さ5mほどのコロンとした岩だ。

 車が止まると同時にサッチャンが降りて、岩をくるっと周って戻ってきた。


「入口らしきところもないし、人の気配もしないよ」


「了解。さて、お前たちは予定通り中央へ向かえ。何かあったら、遠慮なく電話するんだぞ。バッテリー切れているかもとかは電話してから考えろ」


「でも、この辺を調査するんじゃないの?」


「じき玄川が到着するから、奴にやらせる。玄川がついたら「みどり」って叫びまくって、出発できなくなるぞ」


「それは困る。お兄ちゃん、わたしたち行くよ」


 オレは運転席をサッチャンへ明け渡し、ドームのような岩へもたれかかった。


「玄川はどれくらいで着きそうだ」


 小声で芹佳に問いかける。


「予測だと、1時間半くらいかしら」


 芹佳も小声で答える。

 装甲車の窓が開き、星野が顔を出す。


「おにいちゃん、ありがとね。助かったよ、向こうに着いたら連絡するね」


「ああ、連絡待っているぞ」


 星野が顔を引っ込め窓が閉まると、クラクションが2回鳴り、装甲車は走り出した。


「さて、芹佳。この岩って本物か?」


「本物のフェイクね」


「入り口はどこだろうな」


「どこでしょうね?」


「いや、どこか探せよ。何かのセンサーで探せるんだろ?」


「やってるわよ! 岩の周りをクルクルっと回りなさいよ。少しずつ、岩から離れるようにしてね」


「了解」


 ペタペタと岩を触りながら、一周した後、蚊取り線香のように渦を巻きながらゆっくりと歩く。

 頭のナツキはピクリとも動かないが、しっかりと頭にしがみついていて、落ちることはなさそうだ。

 5mほど岩から離れたところで、胸ポケットのスマホが振動した。


「どうした芹佳」


「爆発するみたい」


「何が?」


「岩が?」


 岩を見ると無数のひび割れが生じていた。

 右手で胸ポケットのスマホを抜き取り、左手で頭のナツキを掴む。

 両手を腹の下にして、地面に伏せた。

 地を揺らすような振動と、耳を貫くような轟音が響く。

 少し遅れて、体中に打撃と刺さるような痛みが駆け巡る。

 頭にも衝撃を受け、一瞬、意識が朦朧とする。

 あまりの痛みにうめき声さえ出ない。

 おびき出されたのはオレの方か? 畜生が!

 腹の下のナツキが暴れるが外へ出ないように抑え込む。

 土砂降りのような岩のつぶてが止み、意識が途切れた。


 ♢♢


「学園長! 学園長!」


 体が激しく揺さぶられ、野太い叫び声で覚醒する。


「玄川、けが人は揺らすな。お前、オレに止めを刺そうとしているか?」


「生きてる? 大丈夫ですか、学園長」


「言いたいことは山ほどあるが、とりあえず離せ……」


 玄川は掴んでいた肩を放し、少しだけ距離を開けた。

 すかさずナツキが寄ってきて、顔を舐め始める。


「玄川、オレの出血はどうなってる。負傷が背中側で状況がわからん。報告しろ」


「は、はい。少し血はにじんでいますが、流血はありません」


「そうか、頭は運よく大丈夫そうだ。打撲と……骨折は」


 足先から腕まで、関節を動かしていく。


「折れてはいないようだな。だが、動くのは無理そうだ。うっ」


 起き上がろうとしたところで、激痛が走り力が抜ける。


「玄川。ドローンは制圧した。サッチャンと星野は中央へ向かった。これ以上の攻撃は無いはずだ。オレは少し寝る。北の学舎まで運んでくれ」


 オレは再び意識を手放した。

「ニャー」というナツキの悲しそうな鳴き声が聞こえた気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。