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過去に転生したので、崩壊した世界的アイドルを復活させることにした  作者: 柳田


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第二話 作戦


その前に、一つだけ疑問がある。

それは、スマホに届いた「クエスト」を本当にする意味があるのかどうか。

よくアニメや漫画で見るものだと、こういう強制的に始まったクエストには何らかの報酬やペナルティがある。


しかし、俺のスマホに表示されたクエストにそのようなものは見当たらなかった。



ちなみに、今までの画面をハックして表示されたメール内容は、律儀に「重要メール」としてメールアプリに保存されていた。

ちゃんと文章も補足されて。




〈クエスト:Alu-dolを結成しましょう〉


近々後悔されるサバイバル番組「School pop」に出て、Alu-dolを結成してください。




この際誤字は気にしないでおこう。

Alu-dolの結成については、デビューメンバーを押し上げて、デビューさせればいい話だ。


そう、たったそれだけなんだが⋯⋯

もしそうしてデビューさせた場合、Alu-dolは六年後に崩壊する。


それを知っている以上、少し後ろめたさを感じるのも事実。

多くのファンが悲しむ姿をネット越しに見ていたから。そして俺も、Alu-dolを推していた一人のファンだから。


どうにかしてAlu-dolを救いたい。


(未来を知る俺が、何かしら行動することで彼らを変えることができないか?)


例えば、リーダーのキム・オジェが闇金と関わりを持たないよう見張ったり、突如姿を消した副リーダーのソヌ・ジンやコ・テユンと仲を深め、相談にのる⋯⋯など。


“ファンが悲しむ姿を見たくない”というアイドルとしての気持ちと、“推していたアイドルがもう一度落ちる姿を見たくない”という一ファンの気持ちが混ざり合う。


そして俺は一つの結論を出した。


サバ番の間に、メンバー六人と絆を深め、俺は途中で退場。そして六人のデビューを一人の視聴者として見守る。


(我ながらいい作戦だ)


腕を組み、得意げに頷いていると、良すぎるほどのタイミングで俺のスマホにメールが届いた。




〈クエスト:Alu-dolを結成しましょう〉


First mission : Alu-dolの副リーダー、ソヌ・ジンの悩みを解決しましょう (0/6)




俺の思い描いた作戦とピッタリマッチした内容に、小さくガッツポーズをする。

俺の作戦は、間違ってなかったみたいだ。


文章の終わりにある“0/6”というのは、これから攻略するメンバーの人数と見ていいだろう。

そう、六人のメンバーに関するミッションをクリアすればいいわけだ。

そしてそれは、最終的にクエストのAlu-dol結成に繋がっている。


(最高の状態でAlu-dolをデビューさせられるってことか。それなら六年後の陥落も拭えるどころか、より人気になるかもしれない)


立派なAlu-dolを作るためにも俺は一肌脱ぐことを決意した。





ということで、だ。


アイドルのサバ番に出ることになった以上、最低限歌とダンスは出来たほうがいい。

School popの参加者の実力は分からないが、クエストを達成するまでの間生き残らないといけないのを考えると、かなりの実力がないと無理だ。

それも、最終ステージに残るレベルには。


俺は次の日からダンスと歌の練習を始めた。


まずは“ウジュン”に慣れるのが第一優先。

十数曲歌っただけで枯れる喉や、ただの皮である腹筋に関しては、二ヶ月の間に鍛えればいいだけだ。


問題は、ダンスだ。

俺はC'monの頃からダンスが他メンバーより苦手だった。皆と見劣りしないレベルで踊るのが精一杯。

多分、サバ番最終ステージにギリギリ残れるかどうかのレベル。


そして何より、今の俺は颯人ではない。

チェ・ウジュンの体で、圧倒的に少ない筋肉で俺のアイドル時代のダンスが踊れるとは到底思えない。


(やっぱまずは体作りか。ほんと、なんでこいつはこんな体でサバ番に応募したんだよ⋯⋯)


見た目がカッコいいからと、周囲に促されたりでもしたのだろうか。


(にしても、お腹が空いた)


とりあえず近くのコンビニで何か買おうと、ある程度の金が入っていたウジュンの財布を片手に俺は家を出た。


そしてすぐに、本当の最優先事項が何なのかを知ることとなった。


「⋯⋯これ、なんて書いてんだ⋯⋯⋯?」


普通に話すことはできる。実際、難なく店員とも話せていた。

が、帰り際に渡されたクーポン。

俺はそれを、読むことが出来なかった。


⋯⋯今考えればおかしな話だ。

俺は生粋の日本男児で、韓国語も全く勉強してこなかった。それなのに普通に話せるのは、転生の時についてきたギフトのようなものなのだろうか。それとも体の主が韓国人だからか。染み付いた韓国語を口に出すくらいは造作もないと。


会話はできるが、読み書きが全くできない。


そんな事実に直面した俺は、急いで家へ帰り、動画サイトを開いた。


――― 幼児・児童向け 初めての韓国語


本当の最優先事項は韓国語の勉強だった。


(話すことは出来るんだ。二ヶ月もあれば読み書きもマスターできるだろ⋯⋯)


それと平行に体作りと歌の練習をする。

なかなかにハードな二ヶ月間になりそうで、俺は顔をひきつらせた。


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