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Character!!  作者: あがpay
第8章
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-最終決戦-

そうだ。


「俺はもう、逃げない。こいつらの期待だけは……絶対に、裏切らない!!」


俺はついに決心した。

俺の体から溢れ出した冷気が、和真の放った闇の隕石を……いや、傑聖高校を覆い尽くしていたすべての『闇』を、一瞬にして凍結させた。


「なっ……僕の『闇』が、凍る……!?」


和真が驚愕に目を見開く。

物理的な温度の低下ではない。

俺の力は、事象の凍結。

和真の闇が持つ「すべてを消し去る」という現象そのものを、空間ごと停止させたのだ。


「黙れっ!! 君に僕の何がわかる!!」


和真が叫び、漆黒の魔神が俺に向かって極太の闇のレーザーを放った。

触れればすべてが無に還る、絶対的な死の光。

だが、俺は逃げなかった。


「わかるさ。和真、お前は俺と同じなんだよ」

「……何?」


戸惑う和真に、俺は言葉を続ける。


「才能がありすぎたお前は、周囲から『兵器』としてしか見られなかった。誰も『黒桐和真』という一人の人間を見てくれなかった。……だから、能力そのものを憎んだんだろ」


和真の肩が、ビクッと震えた。


「才能がないと蔑まれ、誰も中身を見てくれなかった俺と、まるっきり同じだ。お前はただ…誰かに、自分自身を見てほしかっただけなんだよ」


大衆が消費するのはいつだって、わかりやすい能力という記号だけなのだろう。


「違う……僕の理想は、誰もが平等な……っ!!」

「嘘をつくな!!」


俺の怒鳴り声が、凍りついた空間に響き渡った。


「能力がなくなることで、社会の不平等がなくなるのかどうとかは正直わからない。でもな……だからって、他人の、こいつらの『なりたい自分』まで奪って、逃げていい理由にはならないんだ!」


俺は右手を天に掲げた。


「おじいちゃん、今だよ!」


背後で恭子が、最後の力を振り絞って時計の文字盤を回転させる。


『タイム・アクセル!』


恭子の援護を受け、俺の身体能力と冷気の出力が限界を突破する。


「――『アブソリュート・ゼロ』!!」


俺は凍りついた闇の壁を蹴り砕き、一瞬にして和真の懐に潜り込んだ。

和真が慌てて防御の闇を展開しようとするが、それよりも俺の氷が彼の周囲の空間をロックする方が早い。

完全に無防備になった和真の顔面に、俺は能力でもなんでもない、ただの『拳』を力いっぱい叩き込んだ。


ドゴォォォンッ!!


「がはっ……!!」


和真の体が吹き飛び、中庭のコンクリートに激突する。

すると、主が意識を失いかけたことで学園を覆っていた闇が、ガラスが砕けるようにパリンと音を立てて霧散していった。

空から、暖かな太陽の光が俺たちに差し込んでくる。


「あ、あぁ……」

地面に倒れ伏した和真は、失われゆく自分の闇を見つめながら、虚ろな声で呟いた。


「僕の、国が……。誰も苦しまない、平等な世界が……」


俺は和真のそばに歩み寄り、その胸ぐらを掴んで強引に引き起こした。


「……目を覚ませ、和真」


俺は、和真の顔を真っ直ぐに睨みつけた。


「お前が本当に欲しかったのは、能力のない世界なんかじゃないだろ。お前という人間を、ちゃんと見て、殴ってくれる『誰か』だったはずだ」


俺は掴んでいた胸ぐらを離し、彼に向かって右手を差し出した。


「お前が作った狂った計画は、俺が全部ぶっ壊してやった。だから…もう一度、ここから始めろよ。化け物でも、兵器でもない、ただの『黒桐和真』の一人の人間として」


差し出された俺の手を、和真は呆然と見つめていた。

自分を兵器としてしか見なかった大人たち。

畏怖の目を向けていた生徒たち。

だが、目の前にいる田中結城という男だけは、自分の最大の力である【闇】を正面から打ち破り、その上で、ただの人間として手を差し伸べてくれているのだろう。


「結城、くん……僕は……」


そして、和真の目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

世界を滅ぼそうとした悪魔は、ただの一人の孤独な少年に戻り、子供のように声を上げて泣きじゃくった。

彼は誰かに自分を見て欲しかった、自分という人間はここにいると誰かに気づいて欲しかった、ただそれだけなのだろう。


「結城くーん!!」

「よくやったぞ、人間!」


振り返ると、自己蘇生で傷を癒したレイ先輩と、結衣がボロボロの姿で駆け寄ってくるところだった。

その後ろでは、恭子が安心したように微笑みながら、へたり込んでいる。

そんな、最高の仲間たちをみてポツリと思わず声が漏れた。


「最高に面倒くさい一日だったな」


そういいつつも、なぜだか口角はあがっていたみたいだ。

差し込む陽光と、俺を呼ぶ馬鹿なチームメイトたちの声。

誰も俺に「親の幻影」を重ねない。

誰も俺の「才能」を過剰に期待しない。

ここは、俺が俺のままでいられる、最高の居場所だった。


俺は小さく笑い、彼らに向かって手を振り返した。

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