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「っはっ……?」
目が覚めた瞬間、全身が火であぶられたような痛みに顔をしかめた。
……生きてる?
俺はまだ、生かされているのか?
朦朧とする頭の片隅で、限定万年筆を買いにいけなかったことを深く後悔した。
限定万年筆を買うためだけに働いてきたのに。
「そんなに落ち込まないで」
顔のすぐ近くに、ブロンド娘の顔があった。
「誰だっ!?」
「そうねぇ。人はわたしをこう呼ぶわ。女神様って」
「へん。女神かよ。ダンプカーに跳ねられて、命を助けてくれたってわけか?」
「痛いでしょう? ごめんなさいね。どうやらこっちの手違いで、あなたを死なせてしまうところだったの」
「手違いで殺されそうになったのか? 冗談じゃない。慰謝料として、限定万年筆を買ってこいっ!!」
あら? それは……、と女神がお茶をにごす。
「うくつなことを言わないでね? あなたはこっちの手違いで死にそうになった。そうなのよ。だからね、わたしがたった一つだけ願いを叶えてあげることに決まったの」
「その対価はなんだ?」
つっけんどんに返したのには理由がある。
女神だなんて言ってるけど、こいつ、ラノベに出てくるような駄女神なんじゃねぇのか?
だとすると、対価が気になる。
「対価なんてないわよ。わたしは早く仕事を済ませたいの。お願いだから一つだけお願いを言って」
「お願いだからお願いとかわけわからん」
「そこをなんとか。ね? あなた、一度死にかけたのよ? 限定万年筆が欲しいならそれでよしだし、なにかお願いして」
全身粉砕骨折に近い割に、奇跡的に右手だけがノーダメージだ。これなら願い事を書くことができる。
だが、まだだ。
まだやらんっ。
「それには願い事を書くための特別な筆記用具が必要となる」
「あら? それもそうねぇ?」
あなたって頭いい、と褒められても嬉しくないっ。
なんだこの駄女神!! チョロすぎじゃないかっ!?
つづく




