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婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!  作者: 山田 バルス
第一章 剣聖、黒衣の騎士 カール=キリト誕生編

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第71話 アッシュ視点 特別な3人

【新作始めました】プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!レベル99になってシナリオをぶち壊す!


アッシュ視点:「あいつらは、やっぱり――特別だ」

谷に再び静けさが戻ったころ、アッシュは一本の短剣を地面に突き立て、深く息を吐いた。

火照った体を冷やすように、風が頬を撫でる。けれど、それでも胸の奥は熱を持っていた。


「……ったく。命懸けにも程があるぜ、まったく」


小さく笑って呟きながら、アッシュは仲間たちの姿を見やった。


剣を鞘に納めたカールは、あいかわらず落ち着いた顔をしていた。

いや、本心はどうだか知らない。けれど――


「本当に、どこまでも背中を預けられる奴だな。お前ってやつは」


戦いの最中、竜の咆哮にも怯まず、仲間に的確に指示を飛ばし、最前線で斬り込んだ男。

一見冷静で寡黙な剣士。でも、命を懸けてでも守ろうとするものがある時、その瞳は――燃える。


「……本物の“剣聖”ってのは、こういう奴なんだな」


そう、心から思った。

ただ強いだけじゃない。誰よりも信頼できる剣の使い手。それが、カール=キリトだった。


そして――


「セリア=フォン=ルゼリア、か……」


彼女の戦い方は、華やかで、美しくて、それでいて、冷静だった。

氷魔法と連携のセンス、そしてなにより、あの場で恐怖を超えて突き進む勇気。


「お姫様ってのは、もっと守られるもんかと思ってたが……お前、誰よりも戦ってたな」


氷封の魔法陣を展開しながらも、カールの剣を信じて走る姿は、まさに“戦う貴族令嬢”。

正直、あの瞬間――惚れそうになった。


いや、惚れたかもしれない。

けど、あの視線の先にいたのは……間違いなく、カールだった。


「はは……手強いな、お前らの関係」


そう呟きながら、もう一人の少女を見た。


リアナ=クラウゼ。天才魔術師と呼ばれた少女。

雷精霊の力を一手に扱い、あの竜の頭上に雷槍を叩き込んだ魔導士。


「最初は、ちょっと近寄りがたかったけどな……」


口は悪いし、態度もつっけんどんだ。

けれど、それでも、あの風の逆流に巻き込まれた後、誰よりも早く立ち上がろうとしていたのは彼女だった。


「“あいつのために戦いたい”って気持ち、隠してるつもりでも……見えてるぜ、リアナ」


そう――

彼女もまた、カールを見ていた。セリアと同じように。けれど少し違う形で。


「あーあ。三角関係ってやつか……」


アッシュは頭をかきながら、苦笑した。

けれど、不思議と羨ましいとは思わなかった。むしろ、見ていて、ただ心が温かくなった。


「……お前らと一緒にいてよかったよ、マジで」


誰もが自分の力を尽くして、誰かを信じて、共に戦った。

それは、アッシュがこれまで経験してきたどんな戦いよりも、ずっと「信じ合う強さ」に満ちていた。


谷に残る風の音が、静かに鼓膜をくすぐる。

アッシュは短剣を抜き取り、それを鞘に納めながら、笑った。


「さあて、剣聖様。次はどんな騒ぎに巻き込んでくれるんだ?」


そう呟いて、仲間たちの背を追った。

風が、再び彼のマントを揺らした。


それは、まるで新たな旅の始まりを祝福するように――。

【新作始めました】プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!レベル99になってシナリオをぶち壊す!

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