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第32話 財閥 オーウェン家 その二 

キャラクター紹介


アルス・オーウェン(男)(12歳)


慎重150㎝ 体重40㎏


血液型A型


趣味 ボードゲーム ハムスターの世話


容姿 髪はアゴくらいの長さの金髪で、体が丈夫じゃなくヒョロっとしており、肌は白くまるで少女のような見た目。


瞳の色は茶色でまつ毛は長くつり目。


服装は黒の蝶ネクタイをかけたワイシャツに、下は黒のサイドにつりが付いたズボンを履いている。




概要


エドワード・オーウェンの息子。


喘息もちで体が丈夫じゃなく、性格は内向的である一方、


わがままで特に地上に出てみたいという願望が大きい。


その背景には、将来さらに喘息が酷くなる可能性があり、長時間歩く事も難しいと宣告された。


そのため今歩ける内に、広い世界を歩みたいという願いが、わがままに拡大されたため。


自分勝手な所があるがハムスターのサタンの世話を自分でしたりと、世話好きな一面も。


執事から銃の訓練を受けており、特にライフルの射撃はお手の物。




第三者視点


場所 ハンターズ本部




ハンターズ一同はオーウェン家の資金提供の取引をした後、

本部に戻り食堂に一同達は集まった。

ブレスが本部で特訓していたマラシイ達に、今回の流れと例の件を説明する。


「・・というわけだわかったかお前ら?」


「わかったじゃないですよブレス隊長・・本当にその交渉を良しとしたのですか?」


聞いていたマラシイはコップを握ったまま固まり、完全にドン引きしていた。



「そうですよ。息子さんを地上に連れていくだなんて。一般人に、それも子供、正気の沙汰じゃない。」


フラッサもマラシイに便乗し、困り果てた様子だった。沈黙が流れる。



「・・だがこれで資金提供は滞りなく遂行するようだ。オーウェン家のお偉いさんは。

ガキ一人抱える代わりに兵器の増設と強化の為の金をくれるし、

何よりアレックス研究所を調べてイロードの事が何かわかれば、それくらい安いもんだろ?俺もそのことは気になるからな。」



ブレスは周りの沈黙の雰囲気を払拭しようと、今回の件の利点を話す。

だがマラシイは、


「・・ですがいくら子供をイロディアンの蔓延る地上に連れて行くのは・・・放射能の心配もあるし、一応南区の近辺なら一か月は地上にいても大丈夫というデータはありますが。」


あまり気の乗らない様子。


ブレスは顔をかく。


「ああ、放射能とイロディアンのことは一応新兵器でカバー出来る。

高電圧付きの巨大装甲車を今後作る予定だと・・。だろマリア博士?」


ブレスの隣でコーヒーを飲んでいたマリアがアイパッドをテーブルに置き、答える。


「ええ、金銭の支援があれば装甲車の強化は余裕よ。


電磁ネットの巨大な電力を付与した装甲車。

その電力はイロディアンも寄せ付けない。地上の開拓を広げるのだったらこの兵器は欠かせないわ。

アレックス研究所にもこれで楽に行けるようになるでしょう。」


といいマリアはタブレットを机に置いた。


タブレットの映像には、小さい黒いかまぼこの形をした高電圧発生装置。

それを上部の四方に付けた装甲車の3d映像が表示されている。



「この装甲車は特殊な合金をつけた装甲車よ。

並の装甲車だと、この強い電圧が内部にも伝わって大変だわ。

今までは資金がひもじかったから作るというアウトプットが出来なかったけど、今ならできるわ。」


マリアはにんまりと嬉しそうに兵器について語り、ご満悦な様子だ。

聞いていたマラシイは、


「ちょっと待ってくださいマリア博士。アレックス研究所に行かないと資金提供してくれないのでは。」


と言うと、


「大丈夫よ。さっきもブレス隊長が言ってた通り、また南区の発電所に行くじゃない?」


「ええ・・発電所の内部にいるイロディアンの残党狩りですよね?」


「それもそうだけど、毎回あの発電所に行くまで外部のイロディアンと戯れるわけにもいかないじゃない?」


「ええ・・」


「それであの計画を再建設するの。」


「あの計画って?・・あっ・・もしかしてあの数年前に止めた。」



「そう、地下から発電所に行けるトンネルの建設。その計画にも資金を送るとのことよ。


それが達成できたらさらにお金の提供とのこと。

このトンネルの建設は、我々ハンターズとオーウェン家の信用作りってことね。」


「そ、そうですか。」


マラシイはなまじ納得した様子。


「あの計画は発電所の中にイロディアンがいるから、発電所とコンコルドを繋げる

わけにいかないと止めたんですよね。イロディアンの拡大を不安視して。」


「そうよ。でもナナがイロディアンを倒せるお陰で

その突発口を開いてくれた・・おかげこのトンネルの建設が進めるわ。」


マリアは向かい側に座り、クッキーを食べてるナナを見て微笑む。


「良かったです・・」


ナナはそう言い、小さく笑い返した。

後ろで椅子にもたれかかっていたロバートが、


「しかしそんな太っ腹な報酬を受けても、やはり子供を地上に連れて行くのは正当化は出来ない。

どんな子供何ですか?病弱しか聞いてないですよ隊長。」


とブレスに問いた。


「ああ・・アルス君は・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それは先程の会議に遡る。


「この子が家の息子、アルス・オーウェンです。」


とエドワードが隣に座っている息子に手をかけた。


息子、アルスは小さくハンターズ一同に向け、頭を下げた。


「12歳の彼は昔から生まれつき喘息を患い、体が丈夫じゃないのです。

満足に学校にも行けないものでしてね。」



とエドワードは優しい口調で息子の説明をする。息子アルスは体は病弱を体現化するようにほっそりとしている。。


肌は白く、金髪で顔全体を覆うくらいに長く、まるで女の子のようだ。


彼は真顔で、ワイシャツにつけてるリボンを整えている。



「そんな波乱万丈の彼に医者が追い打ちをかけましてね。将来さらに喘息が悪化すると宣告を受けました。

その時はもう満足に外も出れないという可能性が出ましてね・・困り果てたものですよ。」


とアンニュイに語るエドワードにジャックスは、


「そうか・・・それで、もう一度彼を付与した要件を言ってくれ。我々の聞き間違いかもしれないからな。」


と訝しみ、探るように言う。


「はい。彼アルス・オーウェンを地上に連れていって欲しいのです。

実はこの交渉がメインです。勿論アレックス研究所もとても大事ですが、この件に比べたら二の次です。

先程おっしゃった通り、彼は喘息を患って将来さらに重荷を抱えて生きることになります。


そんな彼の願いは外の景色を見てみたいとの事です。彼は一度も地上の景色を見たことがありません。地下都市に移動する前はまだ赤ん坊でしたからね・・・彼がまだ動ける内にこの願いをかなえてほしいのです。

将来彼に喘息に負けないように、絶望から立ち上がれるように。」



口調に熱が入り、懸命に訴えるエドワード。


一同は何言っているのか困惑する中、ブレスが口を開く。



「エドワードさん。あなた自分が何を言っているのかわかりますか?

あなたが言っているのは、病弱な子供を戦場に送ってくれと言っているのと変わりありません。

そんなのこの子の為にならない。地上の景色をみたいと言っても、あるのは荒廃した大地と都市、

そして人間の血にうえた感染者、イロディアンが徘徊しているだけです。

そんな地獄の景色をみたら、喘息の前に引きこもりになる事間違いなし・・いや精神が崩壊しかねません。その要件、俺達は拒否致します。」



と率直に意見をぶちかましたブレス。それを聞いたエドワードは、ふっと鼻で笑い、



「そうですよね。私もこの要件が通ると思うほど馬鹿ではありません。ですが、この要件は何としてでも通します。

アルスの為に、息子の願いを叶える為に、父親として出来る事をするまでです」


と意地でも引き下がらないエドワード。


ブレスは彼の諦めの悪さから眉をひそめ、


「・・いかれてる。」


と漏れるようにぶちまけた。



「ええ、上に立つものはいかれてなんぼです。

そちらには新兵器の装甲車を作る予定があるじゃないですか。そうですよねマリア博士?」


と探るような目付きでマリアをみる。マリアは観念するように溜息をし、


「ええ、そうです。高電圧装置をつけてイロディアンを跳ね除けます。」


「なら心配ない。イロディアンに襲われる心配はそれで挽回できる。そこに息子を乗せればいい話です。無論私共がその兵器の費用を請け負うつもりです。」


「・・エドワード殿。」


とジャックスが挙手をする。


「もし息子の連れていくのを断ったらどうするんだい?」


エドワードは考え腕を組み、



「そうですね。この資金提供の交渉はなかったことに致します。

息子に希望を持たせることが出来ない以上、社会に変革を成し遂げても意味がない。

変革が起きても彼は殻に閉じこもった状態で過ごすことになる。

そんな彼を見てしまったらもう私はまともに生きていられません。あの時こうすれば良かったなんて

思いたくはありません。やらない後悔は凄まじいのですから。」


「・・・・」


「アルスが地上の景色を見て、今後の良き未来に活かせるのなら、

私は全財産を捧げても構いません。これは地上の開拓を目指すあなた達にしか頼めない。」



とエドワードは椅子を引き、立ち上がると、


「どうか、お願いします!

息子を外に連れていって下さい。」


と一同に深くお辞儀をした。これにはアルスも


「お父さん・・」


と言葉を漏らすほど。初めて出した彼の声は中世的だ。


「・・顔を上げろエドワード殿。」


顔を上げたエドワード。


眉に皺が出来るほど強く目をつむったジャックスは、


「わかった。そなたの要件、引き受けよう。」


と目を開け、答えた。


「ジャックス大臣!?」


とこれにはマリアも声を上げるほど、ジャックスは続ける。


「その代わりちゃんと装甲車の中で待機する事だ。外に出たら命の保障はしない。

それでいいなアルス君?」


ジャックスの言葉にアルスはそっと目を逸らす。


まるで何かもの足りない・・と、そんな風に目を動かした後、彼はこくりと頷いた。




「はい。ありがとうございます!息子の願い、是非とも叶えてください。」


エドワードは自分のことのように歓喜し、交渉の会は幕を閉じた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


コンコルド南区 路地裏


夜のネオンの光が集うはん華街。


「お父様・・・今後の予定はそんな感じです。」


会議が終わった数時間後、ショウは仲間に聞かれないようはん華街の路地裏に周り、電話をしていた。


「まさかオーウェン家が手を組む何て思いもよらなかったです。」


「ああ・・彼は人の弱みを探って、確実に取引を成功させる恐ろしい男だからな。彼の洞察力は私も見習いたいよ。」


「ええ・・」


「それよりも今度はアレックス研究所か・・・あそこは確かあの実験に関わっていたはずだ。」


「大丈夫ですか?ナナもいますし、真実を暴かれたら・・・」


「そうだな・・。お前は回り込んでカプセルの中にいるあいつらを起動させて、ハンターズを翻弄させろ。廃棄されてなければな。

その時はナナ・・いや大樹はお前がやれ、できれば傷つけず鹵獲しろ。」


「はい。やってはみます・・

ワニ型は送れないですか?。ブレス隊長もいますし、俺では戦力不足です。

少しでも戦力を補いたいのですが・・」


「ワニ型の製造は間に合わないかもしれん。実験体が不足しているからな。西区にいるあいつには私が連絡をとる。お前がすっぽかした時の保険にな。」


「西区・・パラサイトですか。あいつはちょっと癖があるから苦手です。

何かアドバイスはありますか?

俺一人でやってみますが正直鹵獲できる自身がありません。どうすれば・・・」



少しの間があく、ショウの耳に車の通る音が顕著になる。


「お前は昔から高い技術力と素質はあるが、自信がない。その勇ましいモヒカン刈りは飾りか?」

ショウの髪は金と黒の混じった、トサカのようなモヒカン刈りだ。


「いえ・・・」


「いつまでも俺は生きていない。他人の意見に乗ったままではいつか奈落におちるぞショウ。

自分で考えて動くんだ。お前は私の自慢の息子だ。義理なんて関係ない。」


「はい・・ですがやっぱり自身はないので何かアドバイスを、」


「まったく、強いて言えば財閥家の息子・・外に出たいとか言っていたな。その少年と接触して・・・」


それから電話越しの男はショウに話を続け、


「えっと・・・」


ショウは脳みそで言われたことをシミュレーションし、出来るのかと体が硬直した。


「おいショウ、聞こえてるか?」


「あ・・はい。確かにいいですね。行けると思います。」


「ああ、頼んだぞ。」


「はいお父様。」


そう言いスマホの電源を切ったショウは、


「アルスと接触・・外に出させ・・俺がインセクターに変身して襲撃・・研究所に・・・」


とぶつぶつ呟きながら、夜の人通りが多いはん華街を歩き出した。



ーーーーーーー第33話に続くーーーーーー


今回も財閥家メインの話でした。

息子のアルス、エドワードの執念、新兵器、ショウの事情などかなり詰め込んだ回かなと思います。

次回は久々に南区の地上の発電所に行こうと思います。トンネルの建設の件も触れるつもりです。

お楽しみに~

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