第31話 アレックス研究所編 財閥 オーウェン家 その一
エドワード・オーウェン(男)(53)
誕生日 5月12日
慎重 178㎝ 体重76㎏
血液型ab型
趣味 読書 自己投資
容姿 顔はほっそりとしてて鼻筋が整っており、髪は金髪で左にくしで綺麗に流れ、整っている。
瞳は赤く、常に疑うような鋭い目付き。
長身で普段は黒のスーツ姿。チェックのネクタイに、胸ポケットに三角形に折り曲げたハンカチが入っている。
高そうな腕時計を身につけている。
概要
代々一流企業の核を成す財閥グループ、オーウェン家の85代目の頭首。
中年男性で性格は落ち着いており紳士的で常に敬語。冷静沈着だが諦めない情熱も兼ね備えており、
持ち前のポジティブさと観察力で大手企業を動かし、代々に恥のない成果を挙げている。
発電所を開拓しコンコルドに太陽を注がせた特殊部隊、ハンターズに目を付け、金銭の交渉をする為にやってきた。
場所 宮殿 会議室 第三者視点
白を基調とした会議室。
白いカーテンが壁に隔て、大きな絵画とシャンデリアが装飾された室内。、
ハンターズのメンバーは、ボブ・ジャックスとナナ、ブレス、マリア、クラシア、ショウだ。
クラシアとショウはハンターズの衣装で氷銃剣を持ち、扉の警備をしていた。
ハンターズ一同は扉から現れた者達を迎え入れる。
「久方ぶりです。ボブ・ジャックス大臣」
一番前にいる中年の長身の男性が快く口を開く。
「ようこそ。今日は来てくれてありがとう、エドワード・オーウェン殿。」
その男性に代表、ボブ・ジャックスは歓迎し二人は握手を交わす。
「会うのは予算案の時以来かな?」
「ええ、そうですね。今回も似たような内容ですが。」
「ああ大筋はわかっている。さぁ、座りなさい。」
「はい、失礼します・・あ、」
エドワードはジャックスの後ろにいるパーカーの少女に気が付き、彼女に目を向ける。
「もしかして、あなたがナナですか?」
「・・はい。」
ナナは急に話を振られ少し驚いた。エドワードは表情を緩め、
「あなたの話は政府を通じて聞いています。地上の開拓に貢献し、このコンコルドに光を照らしてくれたと。
話の前にあなたにお礼を言いたい。」
とナナに向け、
「本当に・・ありがとう。」
と背筋を曲げ、深く頭を下げた。
プライドが高いと知られるエドワードが深く頭を下げた光景に、エドワードの連れを含む一同はぎょっとし、
「そんな。大したことなんて・・でもありがとうございます。嬉しいです。」
ナナは彼の失礼のないように謙虚に対応したが、嬉しさを隠し切れない様子だった。
その後一同は席に座り、オーウェン家のメンバーとハンターズの取引が始まる。
「え~まず私の紹介からでよろしいでしょうか。ジャックス大臣。」
向かい側に座っているジャックスは、
「ああ、構わない。」
と言い、男は頷く。
この落ち着いた風貌で対応をする中年の男こそ、今回のメインとなるエドワード・オーウェンだ。
くしで整えられた金髪。長身で鼻筋が整っており財閥の当主に相応しい落ち着いた素振り、そして風貌があった。
そんな彼エドワードはまるで機械のような平坦なトーンで、
「まず私は代々数多の大企業の資本。言い方を変えれば企業の核を担う3大財閥家。その内の一つを成すのがオーウェン家。
私エドワード・オーウェンはそのオーウェン家85代目の頭首です。」
と自身の家系を紹介し、胸に手を添えた。
「我々オーウェン家は多くの金融業を商い、そのお金で海運業や電力、通信業など、
色々な業種に携わり、その結果多くの資金を獲得する事に成功しました。
そして一族は政治にも関わり、議員や知事にも努め、その経由で国に資金の提供を我々は行っております。」
「ああ、建設や医療の資金にいつも役立っているよ。」
「ありがとうございます。
そんな私が今回あなた達をお招きした理由・・それは、」
エドワードは目を凛々しくし、
「あなた方ハンターズに、二つの条件付きとして資金提供の協力の交渉をする為です。
ハンターズは資金の調達に悲鳴を上げているとお聞きしたので。」
と告白した。ジャックスは、
「それは・・どういう風の吹き回しだ?。」
と信じられない発言に訝しんでいる様子。
「おやジャックス大臣。今回の内容は聞いておられないのですか?」
「勿論知っているが・・いざ本人からその内容を聞くと驚くよ。」
「はい。確かに驚くのも無理はないです。私も他の方と同様、あなた方の行動には疑問を持っておりました。
イロディアンが蔓延り、荒廃と化した地上をもう一度蘇えらそうと奮闘する特殊部隊がいると。
政府の方から通じてそれが耳に入った時は・・正直引いておりました。何かの絵空事かと。」
「はは・・まぁ、エドワード殿の言う通り、否定は出来ないね。
今まで積み重ねて来たものを壊すのは簡単だが、もう一度蘇らせるには多大な労力が必要だ。
富のやりくりをしているそなたなら理解できるだろう?」
「ええもちろん承知しております。お金は欲しい物が買え、所有者の心を満たせる一方、
一歩使い方を間違えれば、簡単に自己破産しますから。」
やれやれと彼は、後ろの扉で警備として立っているクラシアを見る。
「・・あれが噂の氷結エンジンと氷銃剣ですか。あの装備でイロディアンに対抗して戦うということですね。」
「ああ。」
「作成者は確か・・・」
エドワードはハンターズ一同を見渡し、
「それはこの彼女だ。」
ジャックスは隣にいるマリアと目を合わせ、
「はいそうです。私が作りました。」
と彼女は自信満々に答えた。
「あなたがマリア博士。あなたのお話しも聞いております。
大学であの装置と武器の論文を出し博士号を獲得して、32歳の若さにして研究員のリーダーを勤めていると。」
「はいその通りです。」
「そしてあの武器と装置を実際に作り、ハンターズの武装に貢献した。
実に博士として褒め称える程の成果を上げている方だと。」
「はい・・」
称えられたマリアはそれほど嬉しくない様子だった。
それを見たエドワードは首を傾げ、
「あまり、喜ばしい事ではないようですね・・・。」
とマリアの事を察した様子だった。
「そうですね・・成果は褒められる事ではありません。
肝心の成果は惨憺たるものでした。確かに氷結エンジンと氷銃剣、
この二つでイロディアンの動きに対応は出来ました。
しかし奴らの再生能力には結局抗えず、多勢に無勢な状況を強いいられ、
その結果、この数年間で100名近くの隊員を・・失いました。」
エドワードはその訴えに同情し、うつむく。
「ええ・・もちろん聞いております。あなたのその無念には心中お察しします。
そして多数の犠牲者を生んだ貴方方は、
政府や関係者からは税金の金食い虫だの、疫病神だの厄介者扱いされていた・・と言うわけでですね。
ジャックス大臣が管理していなければ、とっくに解体されていたでしょう。」
「ああ、我々の事をしっかりと予習済みだな。そのまま過ぎて怖いくらいだよ。」
エドワードはコップに注いである紅茶を飲み、ハンカチで口を軽く拭いた。
拭いたのを見計らいジャックスは、
「だが俺達ハンターズは解体されなかった。俺の大臣の肩書き関係なく。
もちろんうるさいくらいバッシングは受けたが・・どうしてだと思うかねエドワード殿。」
と予習尽くしたエドワードを試すように仕向けた。
エドワードは一瞬上を向き答える。
「そうですね・・私の推測でありますが、皆また外に出たいという願望があるからでしょう。
確かにあのイロディアンと対峙して、荒廃した地上を復活させるなんて無謀にも程がある・・と政府の皆は思っていたはずです。
かく言う私もそうでしたから・・・。
ですが同時にイロディアンを殲滅し地上が甦らすことができ、
この隔離された地下都市からおさらば出来るとも思っていた。
そんな微かな希望を皆は持っていたから、ハンターズは解体されなかった・・と考えますよ私は。」
「ふ・・随分と弁舌が立っているじゃないか。まぁ・・そなたの言う通りかもしれないな。」
「ええ。」
「エドワード殿も我々の事を無謀だと思っていたのだろう?」
「ええ勿論。ですが私は考えを改めました。
私もあなたたちに・・資金提供としてあなた達に協力したい。
金は使うからこそ価値がある。
金を眠らせて見ているだけの傍観者だなんて、上に立つものとして恥ずべき行為です。」
と声を強く発して訴えるエドワード。ジャックスやハンターズの皆はエドワードの眼差しに押されつつも、
協力してくれると言う言葉に喜びをかみしめていた。
「とてもそれは嬉しい事だエドワード殿。だが条件があるのだろう?それを聞きたい。」
「はい。あなた方に依頼したいこと。それは・・」
とおもむろにタブレットを出し、
「こちらの地上の研究所を調査して頂きたいのです。」
と一同に見せた。画面には曇り空に照らされた研究所の画像が表示されている。
研究所の門の前に名前が表示されており、
「アレックス研究所?」
とジャックスは気がつく。
「はい。ここの地域の田舎の山奥に設立している研究所です。
この南区から大きく西に向かった場所にあります。」
「しかし何故こんな田舎の研究所に目を向けたのだね?。」
「それはこの財務諸表です。」
エドワードはページを変え、アレックス研究所の財務諸表のデータに切り替えた。
「これはアレックス研究所の11年前の財務諸表です。
知人が研究員を勤めておりまして・・私もたまたま通じて知ったのですが、これを見てください。
過去の損益計算書です。」
とエドワードは、11から20年前の損益計算書を一同に見せた。
暫く見つめた一同、一番に気づいたのはマリアだ。
「・・11年から14年の間の損失額が桁違いに大きい。」
気づいたマリアにエドワードはおお・・と言った表情で、
「その通りです。11から14年前に計上されている損失額がこんなにも膨らんでいます。二桁ぐらい違いますよね。
研究費もほら・・年々増えております。
この数字から察するに、この期間何らかの大掛かりな実験が機密で行われていた・・と推測出来ます。
そしてこの実験が行われた翌年にイロードのパンデミックが発生した。
この研究とイロードのパンデミックが何らかの因果関係があると私は思います。」
ジャックスは唇をかみしめ、うなる。
「エドワード殿・・言いたい事はわかるが、これだけではそう言い切れないだろう。
単に研究に失敗したかもしれないし?」
「確かにそうですね。ですがこの11年から14年の三年間に、何処からかの補助金が支給されています。
この貸借対照表ですが。」
エドワードがタブレット越しに見せた貸借対照表、そこには数億という補助金が計上されていた。
「凄い数字ね・・・田舎の研究所にこんなに資金が送られてくるなんて。」
その膨大な数字にマリアも、顔に手を当ててあぜんとした。
「ええ・・数字はうそをつきません。明らかにおかしいのです。
過去の貸借対照表を見てもこんな膨大な補助金は支給されておりませんでした。
何処からこんな補助金が舞い上がってきたのか知りもしませんが、おかしいのは皆さんお分かりでしょう?」
「つまり、我々にこの研究所に向かってその秘密を調べて来て欲しい・・と言いたいのだな?」
「はい。この膨大な金を使い、研究に失敗したこの翌年にイロードのパンデミックが発生しました。
イロードとの因果関係が何かわかるかもしれません。」
「どうしてそう言い切れるのだね?」
「私はイロードの災害は自然から発生したものではない、人為的な災害だと私は思うのです。
戦争や飢餓と同じ。誰かがやれと仕向け、その裏で金儲けをする。その匂いがイロードにも漂うのです。
この研究所に行けば何か掴めるかと・・イロードの陰謀や企みが、です。」
それを聞いたジャックスは、納得し頷きつつも不満げな様子。
「・・私は今一乗り切れん。こんな田舎の研究所を調べても何も出ないと思うが・・皆はどう思う?。」
とジャックスはハンターズ一同に目を向けた。ブレスはその言葉に腕を組み、こう答える。
「・・ジャックス大臣、俺は出撃してもいいと思います。
俺達は10年間、この2000平方キロメートルの狭い空間の中で停滞しています。
イロードの謎を解明し、イロディアンを殲滅し、地上の開拓に繋げる。
そのビジョンに繋げられる可能性が少しでもある以上、突き進んでみる価値はあるかと。な、お前ら?」
と一同に顔を向けたブレス。
ナナやマリア、警備しているクラシア達もブレスの意見に力強く頷いた。
「この通りですジャックス大臣。皆は乗り気です。この賭け、乗ってもいいかと。」
ジャックスは心なしか嬉しい様子。
「お前達・・・もちろん俺もその図に乗っかりたい。
だが今の残存兵力を見ても同じ事が言えるかい?今何人だ?」
「今度新人が配属されるので、それを含めたら15人・・です。」
「そうだろう。流石に少なすぎる。前回の発電所で多くの兵士が犠牲になってしまった。
それにこの研究所に行くにも、道中に蔓延るイロディアンとの遭遇は免れない。
もっと増員して、装備を強化させて行ってからの方がいい。」
「ですがもう資金がないでしょ?前回の戦いの際に色々使いましたから。」
「だな・・・耳が痛い。どうするか?」
とジャックスがうなり、考え込んでいると黙って聞いていたエドワードが、
「ジャックス大臣。私共で宜しければ今からでも資金の提供をします。」
と胸を張り、そう告げた。
「え?・・だがまだアレックス研究所に行くとは決めていないぞ?」
「別にそれは後回しでも構いません。いったでしょ?私達はあなた達に協力したいって。
これはビジネスでも何でもありません。私の純粋な思いです。
あなた達が地上を開かしてくれる希望になることを信じています。
そのためなら資産を出すことを惜しみません。」
「エドワード殿・・・」
エドワードのその純粋な眼差しにジャックスは溜息をこぼす。
「今度また発電所に行かれるのですよね?。イロディアンの残党狩りにへと。
あとあの滞っていた計画を実行する為に。」
「ああ・・イロディアンの残党狩りと同時に、発電所に繋げる地下のトンネルを再度建設する。
イロディアンが発電所の内部にいる以上、侵入を懸念して長年停滞していたからな。」
「私共々そちらも協力します。お困りでしょうから。」
「ふ・・反論も出来ないね。よし、いいだろう。そなたの意志に乗った。」
ジャックスは立ち上がってエドワードに握手を交わそうと立ち上がった。
するとエドワードはジャックスを怪しく見上げる。
「ちょっと待ってください。条件は二つあります。
アレックス研究所に行くまでの資金提供はその一つに過ぎません。二つ目もきちんと聞いておくべきです。」
ジャックスは一本取られたという素振りを見せた。
「そうだったな・・さすが商業者だ。思わず乗るところだったよ。で、もう一つは何なんだ。」
「それはですね・・」
エドワードは頬をかき、そわそわと言いよどむ。
「これは私もどうかと思いますが・・親としても、人としても」
「どうしたのかね?さっきまであれほどの威勢があったじゃないか。」
「・・わかりました。」
エドワードは緩んだネクタイをしめ、ふっと息を整えた後、こう告げる。
「私の息子、アルス・オーウェンを地上に連れていって欲しいのです。」
「・・・え?」
一同はその無謀な頼みにあぜんとした。
ーーー第32話に続くーーー
今回は久しぶりに新キャラを出して話を進めました。
正直大人の会話ってアクションの描写よりも難しいな・・とこの話しを通じて思いました。
次回はエドワードの息子が出るのですが、とてもわがままなショタです。お楽しみに~




