第28話 アレックス研究所編 日常 その一
一部名前を変更します。氷結弾を氷銃剣、水発射装置を氷結エンジンにします。
キャラクター紹介
カリナ・アジール(8歳)
慎重125㎝ 体重28㎏
誕生日12月2日 血液型О型
容姿 頭から胸ほどの長さの黒髪ロングに、前髪はぱっつん。目はたれ目で瞳は赤茶色。
肌は白で細見。服装はピンクの桜の柄のパジャマ。
常にくまのぬいぐるみを持ち歩いている。
概要
ナナと病院で偶然出会った幼い女の子。
病気で入院しており、舐め腐った口調をしているが、
性格は明るめで誰にも優しく接し、自分以外にも苦しんでいる人がいる事を
確認する為に病院にいる患者を眺め、徘徊するアクティブな所もある。
しかし重度の病気を抱えており寿命が二年と宣告された。
そのため刻々と寿命が迫りくる怖さを拭いきる為に、
無理してでも明るく接する癖が着いてしまう。
明るさで拭った反動で急に涙を流したり、自分の弱い所を他人に見せるのが苦手となってしまった。
いつか地下都市から外に出て太陽を浴び、広い世界を歩みたいという願望を持つ。
場所 コンコルド南区 市街地 視点 ナナ
あの戦いから早一か月が経過した。
私はある所に向かうため街を歩いている。
カリナの所だ。あの子のお見舞いにいこうとマリアさんの付き添いのついでにと。
あの子は大丈夫だろうか?病気は悪化していないか・・死んでいないか?色々不安がある。
数時間後にはマリアさんと合流し、少し実験に付き合って欲しいと彼女に言われた。
それまでの間時間が空いてるし、ここから近いカリナの所に行く事にした。
「・・・・」
道中の赤いレンガの建物が並ぶ街を眺め、歩く。
様々なお店の看板、規律よく店に置かれている観葉植物。人通りも少ないこじんまりとした風景。
日差しの差した街。
何処か懐かしいようなノスタルジックさを感じる。
マリアさんが前言ってたっけ?地上にあった古い建物を解体して再利用しているって。
眼の前に真っ白い光が刺してくる。スポットライトのように照らされ、手で遮り
日差しに導かれるように上をむく。
気づいたころには青空が視界いっぱいに映っていた。
「あったかい・・」
目に映る満点に広がる青空と太陽の恵みは、心の声が漏れるほど暖かい光が私の体に包み込んだ。
改めて見て思った。
ああ・・コンコルドに・・この暗い街にようやくこの光が刺したんだと。
あの重厚に冷え切った配線だらけの鉄製の壁の空とは全然違う。開放感が私に、いやここの周り全体に暖かさが伝わってくる。
周辺の重っ苦しいとも思えたレンガの建物は太陽の光で明るく彩りが加わり、おとぎ話のようなメルヘンな雰囲気を出している。
「・・・・」
でもそれだけでは駄目、景色だけ変わっても。
後はこの日光で病者の影響にどう及ぼすか・・・ただ街に光を刺しただけでは駄目だ。
それではただのインテリアだ。この光の為に多くの犠牲者を生み出した。懸命に生きている人に未来を与えないといけないんだ。
ここまで死んだ人達を報いる為に・・・
通り過ぎた子連れの家族が目に入る。手を繋ぎ、笑いあっている三人の家族は皆素顔で外に出ていた。
数週間前は太陽の光にやられないようにサングラスの着用を義務化していたが、
一か月もすれば皆眼も慣れてきて、一週間前に緩和が決定した。
私も前までサングラスをつけていたが今は外している。やっぱり素顔で外に出れるのはいいことだ。
ここは戦場じゃない、日常ぐらいはしがらみに開放されようーーー
ーーーー病院に着き、彼女が入院している部屋のドアの前に立つ。カリナ・アジールと表記している事を確認。
ドアをそっと横に開き、
「こんにちは。」
とそろりと言うと、白いベットの上に彼女はいた。
「あ、おねーさん。」
カリナだ。
彼女は私がきてぱぁっと嬉しそうな笑顔を向けた。
カリナは布団を膝にかけ、熊のぬいぐるみを抱きながら、ゲームをしていた。
「久しぶり、元気?」
「うん元気だよぉ。」
「そうなんだ。よかった。」
カリナはゲーム機を置きベットから出る。長い黒髪をなびかせ私にギュッと抱き付いた。
「会いたかったよ」
私の腰くらいの背の彼女。腰を包むように彼女は私を抱く。
「私もよ。」
小さい背中を包むように抱いた後、そっと離し目線に合わせ椅子に座る。
「動いて大丈夫なの?」
「うん。元々病気の人を見るために動いていたし大丈夫なのだ。」
そう言って彼女はパジャマ姿でおてんばにくるくると回った。良かった元気そうで。
鼻に付いていたチューブも取れてる。ぬいぐるみと一緒に持ってた点滴も見当たらない。
気のせいかは前来た時よりも表情が明るくなったような気がした。
「太陽が見れて嬉しいねお姉さん。お姉さんの言う通り太陽が見れたよ。
お姉さん何かしたのぉ?」
「いや、私は何もしてないよ。あなたと同じように良き未来を願っていただけ。」
「ふーん。」
私は何も知らない振りして返す。
彼女は窓に刺す午後の日差しを見て、その後私の顔を見て太陽のような眩しい笑顔を振りまいた。
私も微笑んで返す。
こんなに自然な笑顔を見せたことは確かなかった。
前のカリナはどこか無理して明るく接していたというか、多分寿命が刻々と迫る恐怖を明るさで取り繕っていたんだろう。今思えばそうだったのかもしれない。
でも今の彼女は正真正銘で明るい、純粋にそう見えた。くるくる回り終わったカリナは。
「久しぶりにお話しよ。お姉さん。」
「うんいいよ。」
それからはカリナと一緒にベットに座って一緒にゲームをしたり色んな話しをした。
家族のことや病気のこと、日常の事など。
「そう、今回復は順調なんだ。」
ゲームをして動画を一緒に見て、一息付いた後病気の状態に付いて聞いた。
「うん。お医者さんが太陽が出てあてぃしの体の調子が良くなっているって言ってた。」
「寿命は?二年って・・・」
「それも伸びる可能性があるって。私、生きられるんだって・・。」
彼女は徐々にしんみりとした口調になる。彼女は続けて、
「あてぃし嬉しかったんだ。これからも生きていけるんだって・・いつかこの地下都市から出られる可能性が、夢がもしかしたら
かなうって思ったんだ。」
と、話す度に声が上澄んでく。カリナの顔は涙ぐむように力を込められていた。
「本当に・・嬉しくてね。本当に・・・・お母さんやお父さんも喜んで・・・ちょっと・・ごめんねお姉さん。」
彼女は鼻をすすり泣く声を押し殺し、目を抑えながら後ろを振り向いた。
「カリナ・・・」
涙を長し背中が縮こまる。
そう言えば前も彼女は涙を流すとき私に誤ってた。カリナは弱さを他人に見せるのが駄目だと思っているんだろう。
まだ幼いのにそんな思考に・・でも彼女の気持ちもわかってしまう。
私も発電所で必死に人を救うと言う気持ちで戦った。
イロディアンもロボットにも・・でも本音は怖かった、痛かった。
その場から逃げたかった。人を救う資格が私にあるのかと、国を・・カリナを・・皆をこの力で守れるのかと。
重圧に・・負の感情の波に負けそうになった。くたばった時、マリアさんが私に説得しなければ多分・・心折れてただろう。
そう・・自分の弱いところなんて誰にも持っている。だから、
「・・・いいんだよ。」
「え?」
彼女は涙をぽろぽろ落とし、顔を上げる。
「思いっきり・・泣いていいんだよ。泣きたい時は、隠す必要なんてないよ。人の弱い所なんて誰にでもある。だから・・・」
私は彼女に教えた。今はさらけ出していいと。私は手を広げて、
「おいで・・」
と彼女を私の体に誘った。すると彼女はうるうると大きな雫を目から滴り落ちらせ、
「う・・お姉さぁん。」
と泣きじゃくった声で私の胸に飛び込んだ。私のパーカーを掴んで
「うぇ、ぐす・・怖かったよぉ・・本当はとっても怖かったのぉ・・」
彼女の今まで隠していた本音は私の服にうずくまって、こもって聞こえた。。
「そう・・辛かったね。」
私は彼女を優しく包みギュッと抱きしめる。暫くカリナは私の中で思いっきり泣いて・・沢山泣いて・・・
そのまま寝てしまった。私も気づいたらベットの上で寝ていた。
ぼやけた視界に天井が映る。左を向くとカリナが横向きにすやすやと寝ていた。
頬についた涙は乾燥して水垢のようになっている。私はハンカチで彼女の頬を拭いた。
スマホを見ると一時間くらい立っている。そろそろマリアさんとの合流時間だ、戻らないと。
彼女にメモを残そうと机に座って書いていると、
「あれ、お姉さん?行っちゃうの?」
カリナが目をこすりながら起きた。書いた音で起こしたかな。
「あ、ごめん。うるさかった?」
「ううん大丈夫。ありがとうお姉さん。今日は来てくれて、沢山甘えちゃったね。」
「全然いいよ。むしろカリナの本音が聞けて良かった・・・」
私は彼女に近づき、カリナの長い黒髪をあげ、額にキスをした。
すると彼女のポヤポヤした眼は一気に見開き、
「やぁん//お姉さん大たぁん//」
表情は一気に赤くほとばしり、照れ笑いし布団の中に入った。まるで芋虫のように丸くくるむ。
ちょっと・・そんなに照れる?スキンシップのつもりだったんだけど。
「・・こっちまで恥ずかしいじゃん。」
なんだか私も恥ずかしくなった。まだこの子には刺激が強かったかもしれない。
布団の中で羞恥心に浸っている彼女。
「・・じゃ私そろそろ帰るね。また近いうちにくるよ。」
ドアを開けようと手を掛けた時、
「あ、待ってお姉さん。忘れてた。」
彼女の声に振り向く。ロールケーキのようにくるんだ布団からカリナの顔がにょきっと出てきた。可愛い。
「何?」
「お姉さん覚えてる?おじいちゃんの事。」
「えっと・・・隣の病室の?」
「うん。青くなって石みたいのも生えてモンスターみたいな感じで亡くなったおじいちゃん。」
「その人がどうかしたの?」
カリナはさっきのテレ顔から一変して真剣な顔に変わった。
「うん・・私の聞き間違いかもしれないんだけどさ。誰にも言えないから、せめてお姉さんにって・・・」
このセリフから察するに家族やここの医者には言えないこと、何だろう?変な緊張が走る。
「何?」
私はカリナの方へと向き直す。彼女は布団にくるんだまま話した。
「私ね、この前いつも通りに病院をさまよったの。ここにいる人達がどうなっているか。」
「うん。自分以外でも苦しんでいる人がいるって確認するためでしょ?」
「そうなの。でもそれとは別でね・・気になる事があって、夜に歩いてたの。
もう太陽で体良くなってるから少しくらい中で夜に歩いてもいいって、それでいつも通り患者さんを一通り見てきたの。」
「うん」
「その帰りにね、ここの入口の前の部屋でね・・」
「えっと・・受付?事務室の事?」
「あ、うんそれかも。遠くからだけど事務室で話しているのが聞こえたの。
私、エレベーターで戻ろうとしてたから来るまでそのお話を聞いてた。」
「その内容が隣のおじいちゃんに関わってるって事?」
「そう。青くなったおじいちゃんの事を話してた。おじいちゃんの死体の処理をどうするかとか家族の事とか。」
「うん。大事な事だもんね。」
彼女の表情は神妙と言うか、眉にしわを寄せてる。何か引っかかるようなもどかしい表情をしていた。
「そのお話しの中でね気になる事があって、青くなって死んだ事は秘密にしてって言ってたんだ。」
「え?」
「この形で死んだ人には厳密な死因は問わないって言ってて。後で意味を調べてその言葉の意味がわかったの。」
「え、それはつまり・・情報の隠蔽ってこと?」
「そうなの。もしかしたらあの青くなって死んだおじいちゃんは、青くなって死んだということにはならないのかなって・・・」
どういうこと?
「何のために・・じゃあ死因はどうなるの?」
「わからない。もしかしたら私の聞き間違いかも・・その後はエレベーターがきたから後の話はわからない。」
「そうなんだ・・」
確かに、気になる内容だ。
「ごめんねお姉さん、こんな話し誰にも出来ないから・・」
「ううん全然大丈夫。確かにそれは気になるね。」
カリナはうんと頷く。
「じゃ、私は帰るね。」
私は彼女に手を振ってカリナも笑顔で振り返し、病院を後にした。
もう夕方か。ほのかな赤い光が都市全体を照らす。
入り口前でカリナのいる窓を見ると、彼女が私を見下ろしていた。
笑顔でじゃあねと口を動かして、手を振る。私もそれを返し、街の方へと歩く。
その後、マリアさんと合流してカフェで夕食を食べた。
ケーキを美味しそうに食べるマリアさん。
マリアさんの口にはクリームが付いている。彼女は気づいていない。
・・・カリナが言っていた病院の事。情報の隠蔽・・マリアさんなら何か知っているかも。
「ねぇ、マリアさん・・」
「うん、何かしら?」
マリアさんは等分したケーキをフォークで刺しながら私を見つめる。
「・・・・」
「うん?」
「・・・口にクリームがついてるよ。」
「あら、ありがとう。」
マリアさんはスマホを鏡代わりにして、口に付いている事に気が付いた。
・・・まだ言わない方がいいかな。確証がない以上は。
この後は研究所に行って、マリアさんの実験に付き合う事にした。
ーー第28話に続くーー
新章の開幕です。今回は久しぶりの日常回でした。今まで10話くらいは戦闘ばっかでしたので、
自分もほんわかした気持ちで書きました。日常を挟みつつちょっとした伏線を加えて無駄のない回に
しようと工夫もしました。次回はマリア博士とナナの実験の手伝いです。お楽しみに。




